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原節子の《幻の自筆エッセイ》掲載 「新潮」1月号

「大女優の素顔が浮かぶ」――朝日新聞12/6朝刊で話題!

「新潮」2017年1月号
「新潮」2017年1月号

 戦前から戦後の高度経済成長期にかけて活躍し「永遠の処女」と呼ばれた大女優、原節子(1920-2015)。
 女優を引退後、50年以上も表舞台に出ることのないまま昨年9月に亡くなりましたが、石井妙子氏の『原節子の真実』(小社刊、新潮ドキュメント賞受賞)をはじめ関連書籍の出版がその後も続くなど、相変らず根強い人気を保っています。

 このたび、その原節子の幻の自筆エッセイ「手帖抄」が発掘され、文芸誌「新潮」の2017年1月号(12月7日発売)に掲載されました。

 このエッセイは、原節子が「想苑」という雑誌の1946年11月号に発表したものです。「想苑」は当時、福岡県久留米市の金文堂出版部が発行していた季刊雑誌。「手帖抄」という文章は、これまでの原節子研究や関連本においては紹介されたことがなく、その存在は知られておりませんでした。このたび、立教大学教授の石川巧氏が、たまたま知人に見せられた「想苑」誌の中から偶然見つけたことで、エッセイが久し振りに日の目を見ることになりました。

 内容は、電車の中で見たいくつかの出来事をきっかけに、戦後日本の世相や敗戦後の日本人の精神を浮き彫りにしていくというもの。原稿用紙にすると5~6枚という短さですが、戦争・敗戦という苛酷な時期を過してきた女優の、一個人としての率直な考え方が綴られた貴重な記録です。また、九州で発行された雑誌に書いたということは、デビュー直後から彼女に影響を及ぼし続けた義兄・熊谷久虎監督が大分県出身で、終戦前後の「九州独立運動」などにも関わっていたことを考えると、興味深いものがあります。

「新潮」1月号では、エッセイ「手帖抄」を完全収録するとともに、前述の石川巧氏と石井妙子氏による解説も加えて、この短い文章の意味を検証しています。
 原節子ファン、映画ファンだけでなく、多くの読者の関心を呼ぶことでしょう。

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