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いま注目の1冊! 篠田節子『仮想儀礼(上・下)』

15年前に刊行されたロングセラーがついに念願のドラマ化!

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 12月3日からスタートしたドラマ「仮想儀礼」(NHK BS/BSプレミアム4Kで全10回。毎週日曜22時~)は、柴田錬三郎賞を受賞した傑作『仮想儀礼』が原作です。女性のプロデューサーが作品に惚れこんで実現したもので、作者の篠田さんも「面白い」という脚本に仕上がりました。主演は青柳翔さん(正彦役)と大東駿介さん(誠役)。
 小説は、役所のエリートコースから転落した正彦と、女で人生をしくじった誠が、金儲けのために宗教を起こそうと目論むところから始まります。でっちあげた「聖泉真法会」は、女たちの孤独や罪悪感などネガティブな感情と、赤裸々な欲望を吸い込んで膨れあがり、二人のコントロールを超えて暴走。巨額の金が動き、新興大教団の教祖が登場し、やがて劇的な結末を迎えます。
 2008年に単行本が刊行されたこの作品は、古びるどころか、物語の力で宗教の闇を予言的に抉りだしています。いまこそ読まれるべき小説、いえ問題作といっても決して大袈裟ではありません。

波 2024年1月号「いま話題の本」より

著者紹介

篠田節子シノダ・セツコ

1955(昭和30)年、東京生まれ。東京学芸大学卒。東京都八王子市役所勤務を経て1990(平成2)年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。1997年『女たちのジハード』で直木賞、『ゴサインタン』で山本周五郎賞を、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞を受賞。2011年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、2015年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、2019年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞し、2020年紫綬褒章を受章した。他の著書に、『夏の災厄』『弥勒』『ブラックボックス』『長女たち』『肖像彫刻家』『田舎のポルシェ』『失われた岬』『セカンドチャンス』など多数。

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