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「新潮」4月号
             定価900円
             3月7日発売


母かたの祖と父かたの祖
 安岡章太郎氏が以前本誌に連載した「流離譚」は、土
佐の郷士で幕末維新時に数奇な運命を辿った父かたの群
像に光を当てた、氏の長編代表作ですが、その対となる
のが、今号の巻頭一挙掲載「鏡川」二五〇枚。母かたの
家系が、これまた揃って傑出した個性の持主で、晩年葬
式の旗持ちをして暮した漢詩人・西山麓の落魄ぶりが、
胸を衝きます。
 かたや、長編「火の山」で母かたの家系を描いた津島
佑子氏は、短期集中連載「笑いオオカミ」をスタート。
日系ペルー人と暴走族の抗争に端を発する新鋭星野智幸
氏の野心作「目覚めよと人魚は歌う」と合わせ、小説は
豪華三本立てです。
 好評のシリーズ「21世紀への対話」第四回は、碩学白
川静氏と詩人吉田加南子氏の「漢字──古代と現代の架
橋」。表紙に続いて、今号からは本文レイアウトも一新
しました。
■年間講読料一〇八〇〇円(12冊 税・発送費込)