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「新潮」8月号
           特別定価900円
             7月7日発売


 二人のケンジ
──丸山健二と中上健次

 電波高校を卒業、通信士の職を得てまもなく会社倒産
の危機に直面して、突如書き始めた小説「夏の流れ」が、
史上最年少(22歳)で芥川賞を受賞、ほどなく信州に居
を定めて作家生活に入って三十年余。文壇の外から毎年
テンションの高い意欲作を問うてきた丸山健二氏の存在
に畏敬の念を覚えるのは、私ばかりではないでしょう。
今号の巻頭一挙掲載
「生者へ」三六〇枚は、その丸山氏が自らの凶暴な「心
のプルトニウム」のありようと、その遍歴を赤裸に明か
した注目の自伝です。
 福田和也氏が論じる故中上健次も、丸山氏と同じく、
お上品で衰弱した同時代の文学に活を入れてくれたひと
り。共に高卒作家の二人のケンジが、現代文学を牽引し
てきたことの意味合いを、改めて考えさせられます。
 小説は稲葉真弓、川上弘美、津島佑子氏と、気鋭三女
流の饗宴。〈21世紀への対話〉第八回は、養老孟司・藤
原新也両氏の「自然と人工の両極」です。
■年間講読料一〇八〇〇円(12冊 税・発送費込)