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文学の友人

「新潮」5月号
特別定価950円
4月7日発売


◎武満徹氏('96年没)の最後の随筆集となった『時間の園丁』を編集していた頃、闘病中の武満氏と幾度かお目にかかった。世界的音楽家が深い関心を寄せる創造者達の名を口にする時、A・ソクーロフ(映画)、大江健三郎(文学)、北野武(映画)、R・ウィルソン(演劇)といった領域を超えた固有名の拡がりと氏の熱い口調の生々しさに、「これが同時代文化なのだ」と思った◎本号では、文学にとってかけがえのない〈同時代の友人〉である映画に焦点を充てた。名匠テオ・アンゲロプロス監督と柳美里氏の対話。ゴダールとストローブ=ユイレの現在性を徹底討議する蓮實重彦氏と浅田彰氏の対話、そして四方田犬彦氏のベオグラード滞在から生まれたクストリッツァ論。もし武満氏が御存命なら、今年公開されるこれらの監督の最新作に駆けつけるに違いないと思う◎舞城王太郎氏の大型長編「ディスコ探偵水曜日」の第一部(280枚)を掲載する。
(編集長・矢野優)