本阿弥光悦はもちろん実在の人物です。生没年も両親や息子の名もわかっている。一方で、光悦とはひとつのブランドの名称でもあります。書・漆・陶と複数の分野にまたがり、桃山文化の一頂点をなすブランドとしての光悦――そのイメージは、じつは時代時代で、大きな揺れを見せてきました。
 
芸術新潮
2024年1月号(定価1,500円)12月25日発売
芸術新潮メールマガジン[2023/12/25] うまく表示されない場合はブラウザでご覧ください
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編集長から
光悦となにわ女子
それぞれの美の軌跡
 池田大作氏が亡くなりました。大特集「本阿弥光悦の眼」の主人公は、日蓮法華宗の在俗信徒のリーダーで文学好きの教養人。見方によっては、何やら池田氏に似ているような……。
 それはさておき、本阿弥光悦はもちろん実在の人物です。生没年も両親や息子の名もわかっている。一方で、光悦とはひとつのブランドの名称でもあります。書・漆・陶と複数の分野にまたがり、桃山文化の一頂点をなすブランドとしての光悦――そのイメージは、じつは時代時代で、大きな揺れを見せてきました。特集では、「えらび・ひろげ・つくる」をキーワードに、個人光悦とブランド光悦を現代の視点で重ね合わせ、全貌を探ることを試みました。
 時代による評価の大きな揺れという意味では光悦以上なのが、第2特集「なにわ女子のきらめき 近代大阪画壇ものがたり」でご紹介する大阪の女性画家たち。彼女たちの運命にさまざまのことを思いつつ、その作品の素晴らしさをご堪能ください。
芸術新潮編集長 高山れおな
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最新号PICK UP
光悦の、気味わるいほどの奥行
 吉川英治『宮本武蔵(三)』(新潮文庫)より。武蔵は初めて本阿弥光悦に出会い、お茶をふるまわれた際に、その茶碗を見てこんなふうに思ったそうです。
〈そこらの土を子供が捏たように不器用に見える茶碗だった〉
 ところがお茶を飲み終わってあらためて茶碗を見つめるうち、
〈その茶碗から心へひびいて来るなにものかに烈しく打たれた〉
 そして、茶碗についての感想を求められると、こう答えています。 [→]全文を読む
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●目 次

【大特集】本阿弥光悦の眼 えらび・ひろげ・つくる

巻頭グラフ

信仰と芸術のあいだ
光悦はいかにして光悦となったのか?
解説 松嶋雅人

本阿弥家と法華信仰
文 安中尚史

光悦さんぽ
鷹峯から上京区本阿弥辻子へ


紙と墨の黄金比
解説 根本 知


温故知新のアート・ディレクター
解説 福島 修


明るい茶碗
光悦と私
(1)四百年ぶりの帰還 潮田洋一郎
(2)金属から入る 内田鋼一
(3)天衣無縫の独楽どくらく茶碗 千 宗屋

妙秀グレートマザー伝説
~『本阿弥行状記』より
イラストレーション 伊野孝行

展覧会案内


◆ 第二特集 ◆

なにわ女子のきらめき
近代大阪画壇ものがたり

◆ Art News interview ◆

桑島十和子
「美術監督」という幸せなしごと

◆ Art News exhibition ◆

やさしくてあったかい
みちのくの仏さま、大集合!

◆ Review ◆

  • マーク・ディーン・ヴェカ/
  • 「となりの国の絵本 躍動する韓国イラストレーションの世界」/
  • 倉俣史朗/金子富之

◆ Regular Features ◆

◇ 巻頭 ◇

Goods & Shop

時と光の美術館〈81〉
ショーメ

時と光の美術館〈81〉
SPECIAL
ヴァン クリーフ&アーペル

絵育のススメ〈5〉
ポーラ美術館

新連載 とんぼの手帖〈1〉
劉生、さいごのお正月

◇ 連載 ◇

幻々夢譚〈13〉
絵・文 と金

千住博の知となり肉となり〈6〉
新春特別対談
お相手 井上洋一 様
文化交流が育む豊穣なる世界

山下裕二の
新・今月の隠し球〈24〉
神谷 恵(下)

福井江太郎の
駝鳥がゆく!!〈10〉
十六代 樂吉左衞門 さん

定形外郵便〈114〉
文 堀江敏幸

◇ PICK UP ◇

movie 北村紗衣
book 諏訪 敦
recommend 編集部のおすすめ!
ぐるぐるキョロキョロ展覧会記〈42〉小田原のどか
exhibition 全国展覧会情報

次号予告

▼芸術新潮特別企画

冬の芸術村でひたる
光悦の「美」
しょうざんリゾート京都
ROKU KYOTO,
LXR Hotels & Resortsに泊まろう

KYO AMAHAREで出会う
空間の記憶とモノのときめき

最先端の絵筆で着物を描く
東村アキコのNEO美人画2023

伊勢の神域にギャラリー誕生!!
―二見興玉神社境内地内 海風美術店―

NFTアートカレッジ 10 Adam byGMO
SNSで交流し、NFTで販売する
帰ってきた絵のある暮らし

連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈58〉
円成寺《大日如来坐像》

ART CAFE SPECIAL
GALLERY'S PLAZA

「千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗」は今月休載します。

〉「芸術新潮」最新号 試し読み

芸術新潮 チケットプレゼント
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【1】「マティス 自由なフォルム」
フランス・ニース市マティス美術館の全面協力のもと、150点以上の作品がお目見え。とくに、縦4メートル、横8メートルにもおよぶ切り紙絵の大作《花と果実》は、本展のための大規模修復を経て初来日となります。また、最晩年のマティスが室内装飾や司祭服をデザインし、マティス芸術の集大成ともいわれる「ヴァンスのロザリオ礼拝堂」を体感できる空間も出現。[→]全文を読む
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【2】「あべのハルカス美術館開館10周年記念 円空―旅して、彫って、祈って―」(大阪)
生涯に12万体の仏像を彫ると誓ったといわれる江戸時代初期の僧・円空(1632~95)は、修験道を修め、各地の霊場を旅し、神仏を彫って祈りを捧げました。円空の軌跡は、生誕、入寂の地である岐阜県、愛知県、三重県などの東海地方を中心に、北海道から近畿地方まで、全国のさまざまな地で確認することができます。[→]全文を読む
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今月のおすすめ本
【新刊】
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『「十二国記」絵師 山田章博の世界』
山田章博/著、芸術新潮編集部/編
稀代の絵師の、美しくも豊饒なる世界をたっぷりと!
【単行本初収録となるイラストも】
小野不由美による「十二国記」の壮大な物語を、山田章博は麗しいイラストで彩ってきました。マンガ家であり、イラストレーターとしても超売れっ子の山田は小説の装画・挿絵、アニメやゲームのキャラクターデザイン等、幅広いジャンルで活躍中。インタビューから制作現場密着取材まで、「芸術新潮」の大好評特集を大幅増補!
近世の京で活躍した二人
とんぼの本
『血と笑いとエロスの絵師 
岩佐又兵衛』
辻惟雄、山下裕二/著
父は信長に謀反を企てた荒木村重
江戸初期、凄絶な復讐譚を長大な絵巻に仕立てる一方、当世風俗を描き「浮世絵の元祖」と呼ばれた謎多き絵師がいた。京、福井、江戸を渡り歩いた波乱万丈の人生と濃密な作品群をご堪能あれ。
『蕪村 放浪する「文人」』
佐々木丞平、佐々木正子、小林恭二、野中昭夫/著
マルチアーティストの全貌を紹介
絵筆をとれば文人画から俳画まで自在にこなし、俳句を詠んでは芭蕉とならび、書も抜群な総合芸術家・蕪村。旅を重ねた若き日から、京に腰を落ち着けた晩年まで、変貌し続けた歩みを丹念に追う。
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