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海外名作新訳コレクション。痛ましくも麗しい遺作、満を持して新訳で復活。晩年の文豪がパリでの青春を回想する。

移動祝祭日

ヘミングウェイ/著、高見浩/訳

637円(税込)

本の仕様

発売日:2009/02/01

読み仮名 イドウシュクサイジツ
シリーズ名 Star Classics 名作新訳コレクション
発行形態 文庫、電子書籍
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-210015-8
C-CODE 0197
整理番号 ヘ-2-15
ジャンル 文芸作品、エッセー・随筆、評論・文学研究
定価 637円
電子書籍 価格 702円
電子書籍 配信開始日 2016/04/22

1920年代、パリ。未来の文豪はささやかなアパートメントとカフェを往き来し、執筆に励んでいた。創作の苦楽、副業との訣別、“ロスト・ジェネレーション”と呼ばれる友人たちとの交遊と軋轢、そして愛する妻の失態によって被った打撃。30年余りを経て回想する青春の日々は、痛ましくも麗しい――。死後に発表され、世界中で論議の渦を巻き起こした事実上の遺作、満を持して新訳で復活。

著者プロフィール

ヘミングウェイ Hemingway,Ernest

(1899-1961)シカゴ近郊生れ。1918年第1次大戦に赤十字要員として従軍、負傷する。1921年より1928年までパリに住み、『われらの時代』『日はまた昇る』『男だけの世界』などを刊行。その後『武器よさらば』、短編「キリマンジャロの雪」などを発表。スペイン内戦、第2次大戦にも従軍記者として参加。1952年『老人と海』を発表、ピューリッツア賞を受賞。1954年、ノーベル文学賞を受賞。1961年、猟銃で自裁。

高見浩 タカミ・ヒロシ

1941年、東京生まれ。出版社勤務を経て翻訳家に。主な訳書に『羊たちの沈黙』『ハンニバル』『ホット・ゾーン』『ヘミングウェイ全短編』『日はまた昇る』『武器よさらば』『サラの鍵』『父と息子のフィルム・クラブ』『ヘミングウェイの妻』『思い出のマーニー』など。著書に『ヘミングウェイの源流を求めて』がある。

目次

はじめに
覚書
サン・ミシェル広場の気持のいいカフェ
ミス・スタインの教え
“ユヌ・ジェネラシオン・ペルデュ”
シェイクスピア書店
セーヌの人々
偽りの春
副業との訣別
空腹は良き修業
フォード・マドックス・フォードと悪魔の使徒
新しい文学の誕生
パスキンと、ドームで
エズラ・パウンドとベル・エスプリ
実に奇妙な結末
死の刻印を押された男
リラでのエヴァン・シップマン
悪魔の使い
スコット・フィッツジェラルド
鷹は与えない
サイズの問題
パリに終わりはない
年譜
解説

コラム 新潮文庫で歩く日本の町

宮崎香蓮

「カメラの発生を追う」というテーマのテレビ番組のレポーターとして、初めてヨーロッパに行って来ました。ダゲール、フェルメールダ・ヴィンチ(後の二人は「カメラ・オブスキュラ」を絵に活用しています)の跡を辿ってフランス、オランダ、イタリアを数日間で、という強行軍です。
 食べ物がおいしいのはイタリアでしたが、街が魅力的だったのはやっぱりパリで、少しだけ観光できたけれど、欲を言えばカフェでのんびりしてみたかった!
 そこで帰国後読み始めたのが、パリのカフェがふんだんに出てくるヘミングウェイの回想記『移動祝祭日』。ただし、読み始めてすぐに「あ、これは教養のない私には歯が立たない」と悟って(フィッツジェラルドは好きだけど、エズラ・パウンドもガートルード・スタインもジェイムズ・ジョイスもシルヴィア・ビーチもよく知らないのです)、まずウディ・アレン監督の「ミッドナイト・イン・パリ」のDVDを観ました。
 婚約者と憧れのパリに来たギルは、毎晩20年代にタイムスリップして、ヘミングウェイやゼルダとスコットのフィッツジェラルド夫妻やスタインやピカソやダリやブニュエルなどに出会う。そしてピカソの恋人だったアドリアナ(マリオン・コティヤール!)に魅惑されて……。
 この映画を観てから文庫本に戻ったのは正解で、あの時代のサロンや若い芸術家たちの雰囲気を飲み込んでから読むと、ヘミングウェイが懐かしんでいる街やかつての友人たちがぐっと身近になります。映画で現代の骨董品屋(?)を演じていたレア・セドゥ(可愛い!)の顔をシルヴィア・ビーチに当て嵌めて読みもしました。
 この作品はフィッツジェラルド夫妻に冷たい書き方をしていると言われているそうですが、私は小説の中で「女性の業を十分に発揮して、男を振り回す登場人物」が好きなせいもあって、ゼルダは魅力的だし、スコットがぞっこん惚れ込んでいるのも伝わってきて、悪い気はしませんでした。
 訳者の高見浩さんの丁寧な解説によると、この作品を書いていた時期のヘミングウェイの状態は精神的にも肉体的にもあまり良くなかったそうです。事実、この作品の発表前に猟銃自殺を遂げてしまいます。
 苦しい晩年に回想したせいか、『移動祝祭日』には、いい意味で「いいところ」しか書かれていません。この作品のヒロインと言っていい最初の妻ハドリーと貧乏生活を送っている描写は明るく、やさしく、希望に満ちていて、作者が結局自殺したことを知ると儚くも感じるのですが、それでもなお美しい情景に読めます。
 ヘミングウェイは成功した今よりも、過去のパリでの日々の方がずっと幸せだったと思っているようです。映画の方は、ギルとアドリアナが1890年代のベル・エポックへタイムスリップして、アドリアナはその時代に夢中になり、ギルは「昔の時代を良かったと思うことはもうやめよう」と決意します(この後、素敵なラストが来る)。アレン監督はヘミングウェイと違って、「生きていかなくちゃ」という道を示している気がしました。

(みやざき・かれん 女優)
波 2017年7月号より

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