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デビューから14年、全エッセイを網羅した決定版!

太陽と乙女

森見登美彦/著

1,728円(税込)

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発売日:2017/11/22

読み仮名 タイヨウトオトメ
装幀 川原瑞丸/装画、新潮社装幀室/装幀
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 410ページ
ISBN 978-4-10-464505-3
C-CODE 0095
ジャンル エッセー・随筆
定価 1,728円

登美彦氏はかくもぐるぐるし続けてきた! 影響を受けた本・映画から、京都や奈良のお気に入りスポット、まさかの富士登山体験談、小説の創作裏話まで、大ボリュームの全90篇。台湾の雑誌で連載された「空転小説家」や、門外不出(!?)の秘蔵日記を公開した特別書下ろしも収録。寝る前のお供にも最適な、ファン必携の一冊。

著者プロフィール

森見登美彦 モリミ・トミヒコ

1979年、奈良県生まれ。京都大学農学部大学院修士課程修了。2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、小説家デビュー。2007年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を、2010年『ペンギン・ハイウェイ』で日本SF大賞を受賞する。『四畳半神話大系』『有頂天家族』『有頂天家族 二代目の帰朝』はTVアニメ化もされた。ほかの著書に『四畳半王国見聞録』『聖なる怠け者の冒険』『夜行』等がある。

この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ (外部リンク)

目次

まえがき
(1)登美彦氏、読書する
わけいっても本の山/私の青春文学/車中の異界/本を読む人、並べる人/朗読していた頃/あんなにどきどきしたのはなにゆえか?/「オレンジの種五つ」と、憧れのパイプ/四畳半の内田百閒/子どもの目の開き方/深泥池と深泥丘/「こども」たち/ニセモノのイキモノたちのホンモノの世界
(2)登美彦氏、お気に入りを語る
私のとっておきシネマ/単純な応援 ツール・ド・フランス/思い出の映画/私のこだわり/すべてのアカダマは昭和へ通ず/子どもの頃の私は、「日曜日の昼は、将棋とルパン三世によって完成する」と思いこんでいた/磨り減らない『砂の器』/最強の団子、吉備団子/カレーの魔物/完璧なトンネル、イメージの国
(3)登美彦氏、自著とその周辺
太陽の塔は「宇宙遺産」/ラブドール、その名はコーディリア/濡れた英雄/お詫びしたい/とりあえず、書く/この文章はぶっつけ本番で書くのである/コミック版『夜は短し歩けよ乙女』へのコメント/舞台版『夜は短し歩けよ乙女』へのコメント/ぽんぽこ仮面に追われた私/内なる虎と再会するために/『詭弁 走れメロス』舞台化にあたってのコメント/『詭弁 走れメロス』再演にあたってのコメント/京都と偽京都/『有頂天家族』第二部刊行遅延に関する弁明/作家の字典「始」/旅先に忍び込む日常/或る四畳半主義者の想い出
(4)登美彦氏、ぶらぶらする
癒しの悪食/この文章を読んでも富士山に登りたくなりません/東京ショート・トリップ 歩いても歩いても廃駅/坂道でめぐる東京「山の手」散歩/ひとりぼっちの鉄道 単行列車で陰陽の脊梁をゆく/京都を文学的に散歩する/長い商店街を抜けるとそこは/近くて遠い場所へ/ならのほそ道
(5)登美彦氏の日常
恥ずべきことは何もない/京都とわたし/四畳半でハリボテの孤高/茄子への開眼/春眠暁日記/的を撃ちそこねた話/私と古事記 森を見る登美彦/幻想的瞬間/トイレの想い出/窓の灯が眩しすぎる/記念館と走馬燈/森見登美彦の口福/ヘンテコなシステムと遊ぶ人たち
(6)特別書き下ろし「森見登美彦日記」を読む
(7)空転小説家
スランプについて/仕事にとりかかることについて/物語の始まる場所について/東日本大震災について/作品の映像化について/文房具について/机上で冒険することについて/旅について/初心について/書けないというのはどういうことか?/仕事場について/書き直すことについて/時間について/小説と剃刀について/小説を書き終えることについて/美酒について/花粉症について/コンセプトについて/物語の作り方について/龍安寺の石庭について/アニメ「有頂天家族」について/京都を書くことについて/計画的無計画について/空転小説家
あとがき
森見登美彦著作リスト

インタビュー/対談/エッセイ

道半ばのエッセイ道

森見登美彦

小説執筆の傍ら、こつこつと書き溜めてきたエッセイが、ついに一冊の本に!  この機会に、「エッセイを書くということ」について、あれこれ伺いました。

担当編集者[以下(担)] このたび、デビューからこれまで、いろんなところで書かれてきたエッセイが一冊にまとまりました。まとめて読まれてみて、いかがでしたか?
森見登美彦氏[以下(森)] いや、思った以上にヘビーな本ができてしまいましたね。その場その場で全力投球で書いてきたものなので、一冊にまとめると次から次へと重い球が続く感じがする……。それは今回やってみてはじめてわかりました。
(担) 14年の間に書かれた90篇が収められているわけですが、14年前に書かれた文章を今読まれてみて、いかがでしょう。
(森) デビューして何年かの間に書いたものは、「面白いこと書かなきゃ」「読者を笑わせなきゃ」というのが強すぎて、読んでいて痛々しいですね。そんなに頑張らなくても、っていう……。今更修正してもしょうがないのでそのまま載せていますが、今見ると恥ずかしいです。逆に今は、どうしてもマジメなことを言おうとしてしまって、それがどうもなあ……。なんだか堅苦しくなっちゃって。
(担) 何か変化のきっかけのようなものはあるんでしょうか。
(森) どうぢゃろう……。東京の仕事場を引き払って、奈良に戻ったあたりが一つの区切りなのかもしれませんが。
(担) その端境期に書かれたのが、台湾の小説誌で連載された「空転小説家」ですね。これは海外向けということもあり、他の文章と比べるとちょっと異質な感じがします。
(森) 時期的にもマジメに悩んでいた頃だったので、それがモロに出ていますね。
(担) とても率直に書かれている印象を受けました。そういえば、「お詫びしたい」というエッセイの中で「嘘をついてすいません」というくだりがありますけど、収められているエッセイは何割くらいが本当なんでしょうか。
(森) それはもちろんものによって違いますけど、中には結構大胆に嘘を書いているものもありますね。たとえば最初のほうの、古本まつりの話――内田百閒全集を買ってどうこうっていう――あれ、たぶん嘘ですね。あんな記憶ないですもん。
(担) ええっ、そうなんですか。ロマンチックなエピソードの入った、とても素敵なお話でしたが……。
(森) いや、全集を古本まつりで買ったというのは本当なんですけど、あんな状況で買ったわけではない。
(担) そ、そんなきっぱりと……。では、ご自身で気に入ってらっしゃるお話はありますか?
(森) うーん……「カレーの魔物」とかでしょうか。
(担) おお! あのお話、私も大好きです。『冒険図鑑』を読まれていた黒田硫黄さんも大受けされたそうで、茄子になった森見さんのエピソードと共に、マンガにしてくださいました。
(森) 黒田硫黄さん、大学時代から読んでいるので、マンガにしてもらえて光栄です。

エッセイは荷が重い

(担) エッセイを書かれるときと小説を書かれるときとでは、やはり心持ちが違いますか。
(森) エッセイのほうが、責任を感じて緊張しますね。自分が主体ですから、思ってもないことを書いたらいけないんじゃないかとか、マジメに考えちゃうんですよ。小説とは緊張するポイントが違うのかな。小説の場合はもちろん小説として面白くなきゃいけないんですけど、何を書いても小説の人物がそう思っているだけで、僕の責任じゃないというか。エッセイの場合、嘘は書けないって思っちゃうんですよね。
(担) あれ……? ついさっき……。
(森) いやいや、なので、たまにあえて抵抗して、嘘を書いたりとか。面白い小説はともかく、面白いエッセイってどう書けばいいかわからないんですよ。人に伝えたい意見もないし、日々そんなに面白い出来事もないので。それに、自分が面白いと感じることと、読んだ人に面白いと思ってもらえることは別じゃないですか。そういう意味では、小説のほうが気が楽ですね。エッセイは荷が重い。だからあんまり書かないようにしているんです。
(担) とはいえ、気づいたらこの分量に……。
(森) なってましたね。集めてみたら意外とありました。全部を盛り込むのには、このタイミングがわりと限界でしたね。
(担) 富士山に登ったり、鉄道で旅をされたりと、どこかに行って書かれたものもありますが、そういうものだと書きやすいですか?
(森) うーん……。最終的にその場所について書かなくても別にいい、というならいいかもしれないんですが、どこかに行って写真も撮ってとなると、その場所についてきっちり書かなきゃいけなくなるので、お題の縛りがきつくなって、それはそれでめんどくさいかも……。
 つまりは贅沢なんですよね、僕が。勝手に書きたいんだけど、注文されて書くとそれはできない。かといって、本当に勝手に書けと言われても、何を書けばいいかわからない。結局、自分のエッセイに満足してないんですよ。エッセイについてはまだ悟りへの道半ばです。そんな状態で出して申し訳ないんですけど。

奈良は小説になりにくい?

(担) 今回のエッセイ集のために、「小説新潮」では「ならのほそ道」も連載していただきました。ご出身地の奈良について書かれるのは、実は珍しいですよね。
(森) 今まであんまり奈良を書いてないので、それはそれで面白かったです。いまだに奈良を小説にする方法がよくわからないんですが、エッセイのほうがまだ書きやすかったかな。
(担) 奈良を小説にしにくいというのは、なぜなんでしょう?
(森) なんででしょう。わかんない。たぶん、「奈良らしさ」みたいなことを考えていくと、我々の日常とは地続きになりにくいほうに転がっていっちゃうんですよね。大仏とか鹿とかのベタなイメージじゃないところで、どうやって奈良を表現しようかと考えると、どうしても万葉とか古事記とかの古代のイメージが出てきちゃって……。
(担) そういえば連載にも東大寺や春日大社などの観光名所は出てこないですね。今回の本誌の表紙は編集長の希望で、「奈良といえば」な写真をお願いしてしまいましたが……。
(森) あんまりわかりやすいところよりは、自分にとって意味のあるところを廻るようにはしました。
(担) 奈良で行ってみたい場所が増えたという方も多いのではないでしょうか。今回、志賀直哉旧居に行けて満足です!
 それから、書下ろし部分では、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞された前後、つまりデビュー前後の日記も初公開していただきました。とても面白かったので、他の部分も読んでみたいという欲がむくむくと……。
(森) いや、あれは大学院生の頃のだから、わりに面白かったときなんですよ。特に最近はマジメな日記になっちゃったので。
(担) 昔の日記を読み返されたりする機会はありますか。
(森) わりと近い時期のものを確認のために見返すことはありますけど、大学生の頃の日記を読み返すことはそんなにないんで、変な感じですよね。中身は変わってない部分もだいぶあるんですけど、状況はとても変わったなあと思います。
(担) 日本ファンタジーノベル大賞といえば、ちょうど再始動した同賞の選考委員をお願いして、先日選考会があったばかりです。
(森) 当時の自分に言ってもそんなん絶対信じないですよ。賞をもらうってことでさえ、ええってなってるのに、十何年後にはまさかその賞の選考委員をやっているなんて……。
(担) たびたび登場される親友の明石さんとは、今でもお付き合いはあるんでしょうか?
(森) ありますよ。彼も今は大事務所の弁護士やし、子どももいるし、状況はだいぶ違いますが、キャラクターは変わらないですね。
(担) それはなんだか嬉しいです。最後に、エッセイを読まれることに関してはいかがですか。お好きなエッセイ集などは。
(森) まえがきにも書きましたが、星新一の『進化した猿たち―The Best―』はすごく好きですし、内田百閒の随筆も好きです。「エッセイ」というより「随筆」なのかな。大正から昭和初期あたりの随筆は結構好きかもしれません。
(担) まえがきでは「眠る前に読むべき本」と書かれていましたが、そうした本はやはり寝る前に……?
(森) あとは、小説みたいに、「その世界に入っていかなきゃ」という読み方をするのがしんどいときですね。エッセイって、こちらのモードを変えなくても読めるじゃないですか。小説を読むときはわりに覚悟を決めて、「読まなきゃ」と思って読む。自分が小説を書いているときはその世界に入り込んでるので、そこから一度出てきてまた違う世界にぐっと入る、という作業が結構しんどいんですよね。ただ、書いているものから少し距離を置いて何か別の文章を読みたくなる時は実にしばしばあって、そういう時、随筆ならわりに気楽に読み始められます。
(担) 『太陽と乙女』も、読者の方にそんなふうに気楽に楽しんでいただけたらいいですね。
(森) そうですね。今は道半ばのエッセイも、あと10年か15年くらいしたらもうちょっとマシになるかもと思うんですけど。
(担) それは……古事記的時間からすればすぐですね! エッセイ大全集その二も、今から楽しみにしています!

(もりみ・とみひこ 作家)
波 2017年12月号より

イベント/書店情報

[特別描き下ろし漫画] 黒田硫黄/茄子のなりかた

大学生の頃から黒田作品を愛読し、影響を受けてきたと話す森見登美彦氏。
ラブコールに応えて(!?)、コラボが実現!
『太陽と乙女』のエッセイの中で「茄子になった」登美彦氏が、黒田作品に登場します。

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波 2017年12月号より

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