オトナノケンシキ
大人の見識


阿川弘之

軽躁なる日本人へ。急ぎの用はゆっくりと、理詰めで人を責めるな、静かに過ごすことを習え……。

軽躁なるものを勇豪とみるなかれ、かつて戦国の名将はそう戒めた。国を誤る指導者の愚があり、滅亡の淵から救い出した見識もあった。英国流の智恵とユーモア、フレキシビリティを何より重んじた海軍の想い出……、歴史の中へ喪われゆく日本人の美徳と倫理をあらためて問うとともに、作家生活六十年の見聞を温め、いかなる時代にも持すべき人間の叡智を語る。

発行形態 : 新潮新書
判型 : 新潮新書
頁数 : 191ページ
ISBN : 978-4-10-610237-0
C-CODE : 0236
整理番号 : 237
ジャンル : 文学
エッセイ
発売日 : 2007/11/19

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阿川弘之
アガワ・ヒロユキ

1920(大正9)年広島県生まれ。東大国文科を繰上げ卒業、海軍に入り、中国で終戦。戦後、志賀直哉に師事し、『春の城』、『雲の墓標』、『山本五十六』『米内光政』『井上成美』の海軍提督三部作などがある。『食味風々録』は読売文学賞受賞作品。1999年に文化勲章を受章。

老人の不見識――序に代えて
第一章 日本人の見識
信玄の遺訓と和魂
東條の演説
局長ならば名局長
沈黙を守った人々
国家の品位
上手な負けっぷり
第二章 英国人の見識
獅子文六さんと英国
ベントン虐殺事件
幸福であるための四条件
ユーモアとは何か
第三章 東洋の叡智、西洋の叡智
武士道とジェントルマンシップ
大人の文学
われ愚人を愛す
静かに過すことを習へ
第四章 海軍の伝統
精神のフレキシビリティ
ラッパのひびき
最後の訪欧航海
不思議な防空演習
最大の文化遺産?
第五章 天皇の見識
日独伊三国同盟
ヒトラーを礼賛する「民の声」
ポリュビオスの言葉
「四方の海みなはらからと思ふ世に」
第六章 ノブレス・オブリージュ
『自由と規律』
ヘンリー王子と日本の皇族
昭和の陛下の軍事学
第七章 三つのインターナショナリズム
プラウダの匂い
あいつだけ向こう岸
映画『東京裁判』
陸軍の立派な軍人たち
第八章 孔子の見識
デカンショ節
五分間論語
祖国とは国語
治国平天下
漢学と朱子学
温故知新




荘厳と滑稽

 かつてフランス皇帝ナポレオンは「荘厳と滑稽とは紙一重である」という名言を残しました。11月新刊『大人の見識』の中で、著者の阿川弘之さんは、勲章をジャラつかせて東大の卒業式にやってきた東條英機首相の「赫々たる」演説に、はからずも場内から失笑が漏れたシーンの想い出を語っています。勇猛果敢なスローガンと、破滅への道をひたはしった歴史とは、紙一重なのかもしれません。

掲載:2007年11月22日
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