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どうしよう、プレーリードッグが書斎に穴を掘っていた!

ヒト、動物に会う―コバヤシ教授の動物行動学―

小林朋道/著

756円(税込)

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発売日:2014/02/15

読み仮名 ヒト、ドウブツニアウコバヤシキョウジュノドウブツコウドウガク
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 207ページ
ISBN 978-4-10-610557-9
C-CODE 0245
整理番号 557
ジャンル 生物・バイオテクノロジー
定価 756円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2014/08/22

岡山の山野を駆けめぐる狩猟採集少年の魂をそのままに、動物行動学者となったコバヤシ教授。研究のため、教育のため、そして何よりも抑えきれない好奇心のため、“動物まみれ”の日々を送っています。あるときはプレーリードッグに借家を破壊され、またあるときは小さなヒミズに多くを学び、そしてまたあるときは飛べないドバトに求愛され――。動物行動学のエッセンスに触れる、忘れがたき動物たちをめぐる十一の物語!

著者プロフィール

小林朋道 コバヤシ・トモミチ

1958(昭和33)年、岡山県生まれ。岡山大学卒、理学博士(京都大学)。鳥取環境大学環境学部副学部長・環境マネジメント学科長・教授。同ヤギ部顧問。ヒトを含むさまざまな動物について、動物行動学の視点で研究してきた。『ヒトはなぜ拍手をするのか―動物行動学から見た人間―』『先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます!』など著書多数。最新刊に『先生、ワラジムシが取っ組みあいのケンカをしています! 鳥取環境大学の森の人間動物行動学』。

著者ブログ (外部リンク)

目次

はじめに
1 自転車にからまっていたカラスの話
2 庭で暮らすカナヘビを追いかけ回した話
3 街の迷い犬を田舎に送った話
4 プレーリードッグと一緒に住んでみた話
5 小さなヒミズに畏敬の念を持った話
6 土の中の魅惑的な生き物たちの話
7 「コウモリを連れたタクシー運転手」の話
8 ドバトは人間をどう認識しているか考えてみた話
9 アカネズミが食べるドングリ、貯めるドングリの話
10 トンビのため“狩り”に明け暮れた夏の話
11 口の中で子を育て雌から雄に性転換した魚の話

インタビュー/対談/エッセイ

波 2014年3月号より ヒトの脳と動物の関係

小林朋道

昨年、ニホンザルの脳内で、ヘビを見せたときのみ強く反応する神経が見つかった。実験では、サルの威嚇顔や手、幾何学的模様なども見せられたが、発見された神経はヘビに対して選択的に反応した。従来から、ヒトも含めた多くの霊長類がヘビに特別な恐怖を示すことが知られていたが、その現象が、細胞レベルで確認されたと言ってもいいだろう。このような発見は、ヒトの形態や精神が、いまだに、ヒトの本来の生息地(自然の中)に適応しており、自然との接触を前提に組み立てられていることを示唆するものである。
また、近年の脳研究の発展により、次のような知見も得られている。ヒトが生物を認識しているときは脳の側頭葉の一領域が活動し、無生物を認識しているときは、その領域は活動しない。つまり、ヒトの脳には、生物を認識するための専用の情報処理系が備わっているということである。そして、不幸にも、その領域に何らかの損傷を受けた場合、生物の違いを理解することも、生物の活動の理由を推察することもできなくなる。生物の世界が混乱した事物の映像にしか見えなくなるのである。さらに、患者によってはその混乱が自らの生活領域にまでおよび、何でも食べようとしたり、行動が支離滅裂になったりすることもあるという。
ちょっと深刻な話になってしまったが、私が言いたかったことは、「生物とふれあうことは、ヒトの心身の健康な成長にとってとても大切なことだ」ということである(もちろん、生物とさえ触れ合っていれば万事うまくいくということではないが)。ヒトの精神をつかさどる脳についてだけ考えても、生物を認識する専用の神経系が存在し、さらには、ヒトの生存に特に重要な影響を与えうる生物(ヘビなど)に対しては、特に選択的に反応する神経も存在している。日常生活の中ではそれを意識することはないが、ヒトはこういった脳の活動に支えられてこそ、あたりまえの世界を感じて生きることができるのである。その上で思うのだが、「網膜の視神経は光を受けるからこそ正常に発達する。われわれの脳も、鋳型になる刺激を待っているのではないだろうか」。少なくとも小学生までの子どもたちが、生き物に対して示す強烈な関心は、それと無関係ではないだろう。
私は、昆虫から哺乳類までさまざまな生物たちと濃厚なふれあいをもつことができる環境で育った。「今も、子どものころと変わりない環境で生きていますね」と言われれば……反論しづらいが。
本書は「」に連載したものに書き下ろしを加え、全体をブラッシュアップしたものである。平たく言えば、個人的な楽しい思い出を、楽しんで書いたのだ。でも、おそらく、生物の知られざる習性や、生物と知性と感情で深くふれあって喜んでいるヒトの話を聞いて嫌な思いをするヒトはあまりいないだろう。むしろ、そういう話を聞いて楽しい気持ちになるヒトはたくさんいるだろう。
読まれた方の脳が益々活性化されますように!

(こばやし・ともみち 鳥取環境大学教授)

担当編集者のひとこと

「ヤギ部」ってなんだろう?

 本書の著者・コバヤシ教授こと小林朋道氏の勤務先は、鳥取環境大学環境学部環境学科。名称も、風光明媚な立地も、とにかくエコてんこもりです。小林教授はそこで学科長を務めるかたわら、ヤギ部顧問としても活躍しています。
 聞き慣れないこの部活の内容はというと、まずは当然ながらヤギを飼い、ヤギによる除草(=ヤギに食べてもらう)の実験を行い、さらにはヤギの糞から作った肥料で野菜を育てることだとか。これが沖縄だと、さらにヤギ料理の研究も加わるところですが、幸い鳥取なので、可愛いヤギさんたちの命は安泰のようです。
 この一見とぼけた味わいの活動は、本書にも通じるところがあります。部員あるいは読者は、おもしろおかしいエピソードの中で動物行動学のエッセンスに触れ、ヒトと自然とのかかわりについて深く思いを致すことになるからです。
 なお、本書の章扉にあしらわれたイラストレーションは、著者の手によるもので、文章と同様に静かなユーモアを湛えています。また、著者提供の写真の数々も、お楽しみください。

2014/02/25

蘊蓄倉庫

コウモリが頭を上にしてぶら下がるとき

「狩猟採集少年」がそのまま大人になった動物行動学者・コバヤシ教授は、研究と教育、そしてなによりも抑えられない好奇心のため、動物まみれの日々を送っています。
 高校教師だった頃には1年間ほど、友人から預かったオオコウモリのクロ(とプレーリードッグのロッキー)を借家で飼っていました。もちろん、大家さんには内緒です。  教授は、普段は頭を下にして木の枝にぶら下がっていたクロが、“ある事情のとき”だけ、頭を上にしてぶら下がることに気づきます。その事情とは……オシッコやウンチをするときでした。
 普段どおり頭が下であったなら、どうなるか。想像に難くありません。クロは急いで用を足すと、そそくさと元の姿勢に戻ったそうです。
 本書には、忘れがたき「相棒たち」の様々なエピソードと、動物行動学のエッセンスがぎっしり詰まっています。
掲載:2014年2月25日

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