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習近平を最もよく知る元大使による一級の分析(インテリジェンス・レポート)。

習近平の中国

宮本雄二/著

821円(税込)

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発売日:2015/05/16

読み仮名 シュウキンペイノチュウゴク
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 232ページ
ISBN 978-4-10-610619-4
C-CODE 0231
整理番号 619
ジャンル 政治、外交・国際関係
定価 821円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2015/11/13

猛烈な反腐敗闘争、戦後秩序を揺さぶる外交攻勢、急減速する経済の立て直し──。二〇一二年の総書記就任以来、習近平は猛烈なスピードで改革を進めている。基本的な方向性は間違っていない。しかし、まさにその改革によって、共産党一党支配の基盤は崩れていかざるを得ない。危ういジレンマに直面する中国は今後、どこに向かうのか。中国大使をつとめ、習近平を知悉する外交官が描いた「苦闘する超大国」の実情。

著者プロフィール

宮本雄二 ミヤモト・ユウジ

1946(昭和21)年生まれ。宮本アジア研究所代表。京都大学法学部卒。1969年に外務省に入省。駐ミャンマー大使、沖縄担当大使を経て、駐中国大使(2006~2010年)。2010年に退官。

目次

はじめに
第1章 共産党の「隠したがり体質」が陰謀論を生む
やたらに範囲が広い「国家機密」/気分はいまだに地下組織/弱者メンタリティー/すべての事実が陰謀論に収まる/政権維持のためにも情報開示が不可欠に/事故を起こした列車を平気で埋められる神経/世界も「隠したがり体質」の改善を求めている
第2章 組織は強大でも人材不足の共産党
共産党を過小評価した私の判断ミス/あらゆる組織に党組織/四川大地震で発揮された底力/共産党の基本構造/7人の最高指導者/憲法の前文にも「共産党の指導」/党中央を支える「中央書記処」/党中央の「頭脳」中央政策研究室/扱いがやっかいな「中国式相談」/入れたい人は入らない、入れたくない人は入りたがる/末端の腐敗は深刻/テレビドラマが描いた「対策」の実態
第3章 現政権を呪縛する江沢民の「遺産」
ダークホースだった江沢民/中南海を教えた側近・曾慶紅/毛沢東時代を反面教師に/江沢民に封じられた胡錦濤/江沢民の功績はトウ小平のおかげ?/負の遺産としての腐敗問題/おざなりだった腐敗防止対策/温存された江沢民の権力/胡錦濤の逆襲と敗北
第4章 必要悪としての権力集中
ソ連共産党の前例に学んだこと/指針は《16文字原則》に/薄煕来事件の衝撃/トップが強くないと共産党がもたない/権力集中を支持した党内世論/進みすぎた縦割り行政/「小組」が作られる理由/権力掌握のカギは人民解放軍にあり/習近平の人民解放軍人脈
第5章 「トラ退治」はどこまで進むか
「反腐敗」の真剣度/トラもハエもともに叩く!/朋友・王岐山/「大トラ」徐才厚と周永康/“トラ”を叩いて何を得たのか/「大トラ」はもう退治されない?/紀律検査委員会という諸刃の剣
第6章 「みんなの党」になった共産党の矛盾
易姓革命におびえる共産党/“統治の正当性”に対する江沢民の答え――「三つの代表」理論/暗礁に乗り上げた「みんなの党」路線/ずたずたにされた伝統的価値観/「立派な人」がいなくなった/経済改革なくして持続的成長はない/成長モデルの転換が急務に/格差問題の象徴としての「三農問題」/「民主」の問題は絶対に避けられない
第7章 習近平は中国をどこに向かわせようとしているのか
習近平との会食/スジを通し続けた父・習仲勲/2020年までに結果を出す/「共産党の指導」という限界/習近平の仕事のやり方/習近平指導部の持つ危機感と「二つの百年」/「中国の夢」とは何か/曲がり角に立つ中国共産党の統治
第8章 「軍拡」を必要以上に恐れるな
「軍事大国で当然」と考える中国人/「外に出る軍隊」となった人民解放軍/西太平洋では存在感をアップ/共産党による人民解放軍支配の構造/中央軍事委員会は「軍人の仲良しクラブ」/軍による習近平揺さぶり?/始まった軍の大改革/国家安全委員会という新たな仕掛け/優先されるのは常に経済である/対外強硬論の背景/対外強硬路線の限界とリスク
第9章 中国の未来と日中関係の行く末
既存秩序の最大の受益者/アメリカにとって代わる日は来ない/中国脅威論を理解できない中国人/理念に行動の裏づけがあるか/ベストシナリオとワーストシナリオの間/対中二重アプローチ
おわりに

担当編集者のひとこと

習近平と最も多く会食した外交官

 2012年の総書記就任以来、習近平は激烈な反腐敗闘争を展開しています。これまでに標的になった人物には、胡錦濤前政権の「官房長官的立場」だった党中央弁公庁主任(令計画)、軍人のトップである党中央軍事委員会副主席(徐才厚、郭伯雄。主席は習近平)、公安畑のトップである党中央常務委員(周永康)などがいます。まさに権力の中枢を狙い撃ちにしていて、これまでの中国共産党の常識ではありえないほどの激しさです。
 習近平がこれほどまでに反腐敗闘争を展開しているのは、そうしないと中国共産党の統治がもたないと考えているからですが、反腐敗闘争に代表されるさまざまな「改革」は、深刻な矛盾をはらんでもいます。つまり、改革が進めば進むほど、共産党の統治の正当性が問われることにもなるのです。
 進むも地獄、退くも地獄。その危ういナローパスを、習近平の中国はどのように進もうとしているのか。それを対中国外交の最前線で活躍した元大使が分析したのが本書です。
 著者の宮本雄二氏は、2006年から2010年にかけて駐中国大使を務めました。宮本氏は2007年、まだ浙江省の党書記を務めていた習近平といち早く会食し、この年だけで3度会食の場を共にしています。後に習氏本人から「私と最も多く会食した外交官」と言われるようになってもいます。
 日本とは比べものにならないほど激しい権力闘争を展開している中国の政治家たちと深く付き合い、彼らの思考パターンを熟知する宮本氏の分析は、それ自体が一級のインテリジェンス・レポートと言えます。「彼らの立場だったらどうするか」を疑似体験しつつ、一種ロールプレイングゲームのような感覚でお読み頂ければ幸いです。

2015/05/25

蘊蓄倉庫

「中国脅威論」を理解できない中国人

 日本に暮らしている日本人にとって、「中国脅威論」は当然にも思える感覚ですが、当の中国人たちはなぜ中国脅威論が世界で高まっているのかが理解できないそうです。著者の宮本さんによると、これは中国人のものの考え方が理由だと言います。
 その中国人の考え方とは「中国の国策は平和と発展であり、世界の平和と発展のために大国としての責任を果たす。ただし、領土や主権、海洋権益といった中国の生存と発展のために不可欠なものについては一切譲歩しない」というもの。つまり、中国人の中では、自国の核心的な利益を守ることと、世界の平和と発展のために努力することの間に矛盾が生じない。その立場からは、中国が自国の権益を守るのは当然で、それに挑戦してくる相手が悪いのだから、世界の平和と発展を損なっているのは相手側である、という理屈になってしまうのです。
 中国人には、その「核心的利益」の主張がそもそも自分勝手であるという発想がないので、「中国脅威論」がぴんとこないのだそうです。
掲載:2015年5月25日

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