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いま注目の1冊! 筒井康隆『エロチック街道』

動乱の幕末、ジャズが日本にやってきた!? 驚天動地の名作、舞台化!

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 筒井康隆さんの短篇集の中でも小社担当編集者が偏愛するのが『エロチック街道』。純文学あり実験小説あり、謎かけや漫才のスタイルあり、さんや小松さんと囲んだ雀卓での会話劇あり、「早口ことば」あり(例えば「隣りの竹屋焼けよく柿食う客焼け爛れた」「屏風の鋲をジョーズ上手に描写坊主病死」「生まごげ生まごごげ生まごごげげごごげ」)、時代小説というジャンルを揶揄からかい尽くした時代小説の傑作「時代小説」あり。
 集中、「ジャズ大名」は超ウェルメイドなエンタメ音楽小説。三人の黒人が楽器もろとも南九州の小藩に漂着し、やがて城をあげての大ジャムセッションが始まる……。作者作曲のテーマ曲楽譜付き。読んでいて体がリズムを取り始めることウケアイの名作ですが、ついに舞台化なる! 千葉雄大、藤井隆出演、福原充則演出、KAAT神奈川芸術劇場ほかで上演。映画版(岡本喜八監督)もNHK-FMのラジオドラマ版(由利徹、佐藤B作出演)も傑作でしたが、あの大狂騒をライブで味わえる舞台版もどうしたって期待度絶大です。

波 2023年12月号「いま話題の本」より

著者紹介

筒井康隆ツツイ・ヤスタカ

1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。1997年、パゾリーニ賞受賞。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。2002年、紫綬褒章受章。2010年、菊池寛賞受賞。2017年、『モナドの領域』で毎日芸術賞を受賞。他に『家族八景』『敵』『ダンシング・ヴァニティ』『アホの壁』『現代語裏辞典』『聖痕』『世界はゴ冗談』『ジャックポット』等著書多数。

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