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エロチック街道

筒井康隆/著

693円(税込)

発売日:1984/10/29

  • 文庫
  • 電子書籍あり

見知らぬ夜の街。裸の美女に案内されて、奇妙な温泉の洞窟を滑り落ちる……エロチックな夢を映し出す表題作。江戸末期、アメリカより漂着した黒人たちと、城をあげてのオールナイト・ジャムセッションが始まる! 底抜けに楽しい傑作「ジャズ大名」など、幻想小説、言語実験、ナンセンス、パロディ、純文学にいたるまで、著者独自の迷宮的世界を見事に展開する、変幻自在の18編。

  • 舞台化
    KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「ジャズ大名」(2023年12月公演)
目次
中隊長
昔はよかったなあ
日本地球ことば教える学部
インタヴューイ
寝る方法
かくれんぼをした夜
遍在
早口ことば
冷水シャワーを浴びる方法
遠い座敷
また何かそして別の聴くもの
一について
歩くとき
傾斜
われらの地図
時代小説
ジャズ大名
エロチック街道
解説 伊沢 昭

書誌情報

読み仮名 エロチックカイドウ
シリーズ名 新潮文庫
装幀 (c)PAUL WUNDERLICH「Kleine Nike」より/カバー
発行形態 文庫、電子書籍
判型 新潮文庫
頁数 336ページ
ISBN 978-4-10-117117-3
C-CODE 0193
整理番号 つ-4-17
ジャンル 文芸作品
定価 693円
電子書籍 価格 605円
電子書籍 配信開始日 2014/03/28

担当編集者のひとこと

 本を読むということは自由になることだ――と、中学生がそんな言葉では認識していませんでしたが、ほぼ似たようなことは感じていた記憶があります。とりわけ、こんな本を読んだ時には。
 短篇小説集ですが、純文学もあればショートショートもあり、漫才の台本みたいな会話体小説もあればハチャメチャな謎かけ(何々とかけて何々と解く)もあり、さらに歩き方講座(?)や寝る方法指南(?)もある。小説というものがこんなに自由であっていいのだから、人生も自由でいいのだ、という気にさせる本です。就中、「早口ことば」という短篇小説があって、これは作者がつくった早口ことばがずらずら並んでいるだけの作品。例えば、
 隣りの竹屋焼けよく柿食う客焼け爛れた。焼け爛れた客食った柿は隣りの竹屋の客。ややや焼けた竹藪に焼け爛れた客生えた。屏風が上手に屏風にジョーズをかいた絵。屏風が病気で坊主が数珠を上手にかいた。青巻紙巻き赤巻紙巻いた黄巻紙に決めた。青赤巻紙黄赤巻紙黄青巻紙は紛らわしい。東京都特許許可局強化課却下係共同組合。東京都特局感化課管理係感化院感電係員。
 さらに、思い出すたび幸せな気分になるのは「ジャズ大名」と「時代小説」。とりわけ後者は中里介山、白井喬二から池波正太郎に至る時代小説の語り口の大パロディで、三巻三十一章もありながら、たった三十四ページ。しかも「物語内容はなにもないのだ。ゼロに等しい」(井上ひさしさんの評言)。読みながらただ笑い続けるしかない傑作。読後、作者の精神の自由が感染していることウケアイです。(出版部・K)

2021/04/27

著者プロフィール

筒井康隆

ツツイ・ヤスタカ

1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。1997年、パゾリーニ賞受賞。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。2002年、紫綬褒章受章。2010年、菊池寛賞受賞。2017年、『モナドの領域』で毎日芸術賞を受賞。他に『家族八景』『敵』『ダンシング・ヴァニティ』『アホの壁』『現代語裏辞典』『聖痕』『世界はゴ冗談』『ジャックポット』等著書多数。

筒井康隆ホームページ (外部リンク)

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