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今月の表紙の筆蹟は、川端康成さん。

波 2022年5月号

(毎月27日発売)

100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2022/04/27

発売日 2022/04/27
JANコード 4910068230522
定価 100円(税込)
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阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第56回
【特集 川端康成没後50年】
中島国彦/〈初公開〉川端康成・谷崎潤一郎、佐藤亮一宛書簡のたたずまい――新潮社社長室のたからもの、ふたたび――
[単行本未収録小説]川端康成/春の目
【燃え殻『それでも日々はつづくから』刊行記念特集】
椎木知仁/ダメな自分の愛し方
エル・デスペラード/鎮静と高揚、女性エピソード多め
宮城谷昌光『公孫龍 巻二 赤龍篇』
佐藤賢一/今や古代中国は

帚木蓬生『花散る里の病棟』
池上冬樹/凄味と情感があふれる「町医者四代」の物語

中野信子、三浦瑠麗『不倫と正義』(新潮新書)
橘 玲/男にとって、女の「恋バナ」は永遠の謎である

永田和宏『あの胸が岬のように遠かった―河野裕子との青春―』
梯 久美子/二人でいるということの痛みと豊かさ

仁志耕一郎『咲かせて三升の團十郎』
末國善己/七代目市川團十郎の気概

東畑開人『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』
塩谷 舞/こころと人間関係をシンプルにしすぎる前に

内多勝康『53歳の新人―NHKアナウンサーだった僕の転職―』
栗下直也/仕事の現場では情熱が何にも勝る武器

岡本行夫『危機の外交 岡本行夫自伝』
佐藤 優/岡本行夫氏が死の瞬間まで努力していたこと

小松 貴『怪虫ざんまい―昆虫学者は今日も挙動不審―』
丸山宗利/コマツと世間のスキマ
【短篇小説】
北村 薫/水 その2
【今月の新潮文庫特別篇 ライオネル・ホワイト、矢口誠 訳『気狂いピエロ』刊行記念特集】
滝本 誠/ノワール極上のエクスタシー!
山田宏一/妄執、11時の悪魔、気狂いピエロ
【私の好きな新潮文庫】
藤田 智/賢治を胸に、今日も畑へ
宮沢賢治『新編 宮沢賢治詩集
宮沢賢治『新編 銀河鉄道の夜
宮沢賢治『注文の多い料理店

【コラム】
三宅香帆/物語のふちでおしゃべり 第2回

三枝昴之・小澤 實/掌のうた

太田肇『日本人の承認欲求―テレワークがさらした深層―』(新潮新書)
太田肇/会社は「見せびらかし」の場?

[とんぼの本]編集室だより

【連載】
ジェーン・スー/マイ・フェア・ダディ! 介護未満の父に娘ができること 最終回
南沢奈央 イラスト・黒田硫黄/今日も寄席に行きたくなって 第29回
二宮敦人/ぼくらは人間修行中 第18回
伊与原 新/翠雨の人 第5回
高嶋政伸/おつむの良い子は長居しない 第5回
春画ール/春画の穴 第7回
川本三郎/荷風の昭和 第48回
編輯後記 いま話題の本 新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙の筆蹟は、川端康成さん。

◎田中角栄が少年時代、新潮社の懸賞小説に応募した、というのはベストセラー『私の履歴書』にも記された割と有名な話です。
◎初めての収入は原稿料だったと言い、「新潮社が雑誌『日の出』を創刊するにあたって懸賞小説を募集した。私は「三十年一日の如し」という小説を投稿した。一等入選の夢は破れたが佳作の下くらいにはなったのか、五円のカネを送ってきた。これを機会に小説家になれるかも知れぬとほのかな夢をいだいた」。昭和七年、角栄十四歳の時。
◎右のエピソード、小社資料室へ定期的に問合せが来ますが、残念なことに元首相の名前も作品名も「日の出」の懸賞欄には見当たりません。応募はともかく、「佳作の下くらいに」なったかはどうもアヤシイ。
◎若書きの小説の出来は不明ながら、『私の履歴書』は世評通りの面白さ。徳富蘆花『おもいの記』を愛読し、主人公に憧れたとありますが、元角栄番の政治記者早野透氏によれば(中公新書『田中角栄』)、「『私の履歴書』の文章は、蘆花の『思出の記』と文の調子がよく似ている」。実際、蘆花作品を覗いてみると登場するのは、貧しい生活、不在の父、気丈な母、上京する少年等で、若き日の闇将軍が夢中で読み、後年半生記を書く際に無意識にでも模倣しておかしくなさそう。例えば蘆花の主人公は上京の旅上、胡麻の蠅に所持金の大半(五円)を盗まれるし、角栄は上京初日に悪い運転手に財布の中身を殆ど(五円)巻きあげられます。
◎蘆花の小説は『デイヴィッド・コパフィールド』の影響下にある由。するとあの新潟の少年は当初の志のまま小説家になっていたらディケンズの孫弟子だった訳です。それが妙な具合にディケンズ的人物そのものになる。人生だなあと思わせますねえ。
▽次号の刊行は五月二十七日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

1967(昭和42)年1月、わずか24頁、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後といった時代でした。この後、1969年に隔月刊に、1972年3月号からは、毎月刊行の月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしました。

 創刊号の目次を見てみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行した北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイ。続く「最近の一冊」では、小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイ。続いて「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 以来41年、2007(平成19)年6月号で通巻450号を迎えました。読書情報誌としての重要な役割の情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。小川国夫『青銅時代』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、遠藤周作『イエスの生涯』(「聖書物語」を改題)、小林信彦『ちはやふる奥の細道』『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』などなど。

 2007年1月号からはレイアウトもリニューアル、頁数も増え128頁となりました。これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みで、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。