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今月の表紙の筆蹟/写真は、坪内祐三さん。

波 2021年6月号

(毎月27日発売)

100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2021/05/27

発売日 2021/05/27
JANコード 4910068230614
定価 100円(税込)
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【筒井康隆掌篇小説館】
筒井康隆/美食禍
阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第45回
【トマス・ピンチョン『ブリーディング・エッジ』刊行記念特集】
池澤夏樹/世界はゲームだぜ
矢部太郎/複雑な物語、8K的描写、長い!……けど面白い!
【小林信彦『決定版 日本の喜劇人』刊行記念特集】
ケラリーノ・サンドロヴィッチ/私の人生を決めた『日本の喜劇人』について
[特別掲載・小林信彦インタビュー]小林信彦/ぼくは幸運だった(抄)――『決定版 日本の喜劇人』巻末付録より
【道尾秀介『雷神』刊行記念】
[対談]道尾秀介×高橋ユキ/取材の本音、創作の真髄。

佐久間文子『ツボちゃんの話―夫・坪内祐三―』
ヤマザキマリ/過去が縦糸横糸となって織り込まれていく

金原ひとみ『アンソーシャル ディスタンス』
尾崎世界観/依存する人に依存する

白石一文『ファウンテンブルーの魔人たち』
白石一文/「新しい戦争」の時代

芦沢 央『神の悪手』
北野新太/将棋が作家に求めるもの

梓澤 要『華の譜―東福門院徳川和子―』
大矢博子/悲しみの連鎖を断ち切って

石井光太『近親殺人―そばにいたから―』
神田桂一/日本の殺人事件の半分以上が「近親殺人」である

山口由美『勝てる民泊―ウィズコロナの一軒家宿―』
東 良和/コロナで窮地のビジネスが最先端に躍り出た舞台裏
【越谷オサム『いとみち』(新潮文庫刊)映画化記念】
横浜聡子/映画「いとみち」日記
【私の好きな新潮文庫】
武田鉄矢/老いの味わい
 沢木耕太郎『人の砂漠
 青山文平『半席
 小山鉄郎『白川静さんに学ぶ 漢字は怖い
【今月の新潮文庫】
フィリップ・プルマン、大久保寛 訳『ブック・オブ・ダストI 美しき野生』
村山由佳/大人が読むべきファンタジー
【新潮選書ベストセレクション2021】
佐伯啓思『死にかた論』
[インタビュー]佐伯啓思/生は常に死によって脅かされている。

猪木武徳『社会思想としてのクラシック音楽』
岡田暁生/「洞察」と「愉悦」があふれる本
井上章一/音楽史から見る「権力」と「社会」

片山杜秀『尊皇攘夷―水戸学の四百年―』
平山周吉/東野英治郎「黄門さま」の遺伝子の突然変異

ドナルド・キーン『日本を寿ぐ―九つの講演―』
キーン誠己/感動を語り伝えること
【コラム】
三枝昂之・小澤 實/掌のうた

[とんぼの本]編集室だより

先崎彰容『国家の尊厳』(新潮新書)
先崎彰容/令和日本のデザイン
【連載】
ジェーン・スー/マイ・フェア・ダディ! 介護未満の父に娘ができること 第9回
永田和宏/あなたと出会って、それから…… 最終回
内田 樹/カミュ論 第7回
南沢奈央 イラスト・黒田硫黄/今日も寄席に行きたくなって 第18回
二宮敦人/ぼくらは人間修行中 第7回
小松 貴/にっぽん怪虫記 第18回
川本三郎/荷風の昭和 第37回
第34回三島由紀夫賞・山本周五郎賞決定発表
編輯後記 いま話題の本 新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙の筆蹟/写真は、坪内祐三さん。

小林信彦さん『決定版 日本の喜劇人』のカバーはある映画の植木等。笑顔千両です。
◎二〇世紀の終り頃、「小説新潮」編集部へ異動した僕は、上司からクレイジー映画の脚本家田波靖男さんを紹介されました。田波さんは往年の慶應ボーイらしい都会的な紳士で、映画黄金期の大脚本家なのに偉ぶるところは毫もないのですが、バーで一度「君は幾つ?」に「二九です」と答えると、少し差をつける感じの笑顔で「僕は二九の時、『ニッポン無責任時代』を書いて日本中を沸かせてたよ」。東宝の会議に出る正体不明の男がいて、これが実は詐欺師。やがて彼は行き詰まり、逮捕されるために酒の勢いを借りてハイジャック事件を起こした、「そいつを平均無責任男(たいらひとし)の原型にしたんだ」。
◎田波さんが小社と縁が出来たのは、旧友の私小説家岡田睦さんから「エンタメ雑誌に小説を持込む。お前も書け」と誘われたから。二人の原稿は活字になりませんでしたが、田波さんは「小説新潮」に渡辺晋や三船敏郎の評伝を執筆するようになります。岡田さんは週刊誌の「黒い報告書」を書いていましたが、これも田波さんに譲ります。「睦が困ってるから時々上納金を渡すんだ。人付き合いは下手だし、離婚して家を出されたし……」。うまく生きていけない友人を憂える大人の顔っていいものだな、とノンキな若輩者はぼんやり眺めていました。
坪内祐三さんの書評に導かれて今度初めて読んだ岡田さんの短篇「ぼくの日常」に田波さんが登場していました。虚実皮膜の味。岡田好きの坪内さんに上の話をしたら喜んでくれたろうなあ。坪内さんが急逝して一年半、田波さんは没後二一年、そして岡田さんは2010年以来消息不明の由。
▽次号の刊行は六月二十九日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

1967(昭和42)年1月、わずか24頁、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後といった時代でした。この後、1969年に隔月刊に、1972年3月号からは、毎月刊行の月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしました。

 創刊号の目次を見てみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行した北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイ。続く「最近の一冊」では、小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイ。続いて「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 以来41年、2007(平成19)年6月号で通巻450号を迎えました。読書情報誌としての重要な役割の情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。小川国夫『青銅時代』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、遠藤周作『イエスの生涯』(「聖書物語」を改題)、小林信彦『ちはやふる奥の細道』『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』などなど。

 2007年1月号からはレイアウトもリニューアル、頁数も増え128頁となりました。これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みで、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。