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今月の表紙の筆蹟は、ガブリエル・ガルシア=マルケスさん。

波 2024年3月号

(毎月27日発売)

100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2024/02/27

発売日 2024/02/27
JANコード 4910068230348
定価 100円(税込)
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筒井康隆/カカント シリーズ第13回
阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第78回
【角田光代『方舟を燃やす』刊行記念特集】
最相葉月/「認知的不協和」の世界
逢坂冬馬/自分の考えを縛る、「役割」という幻想
【特別エッセイ】
マリ=フィリップ・ジョンシュレー、村松 潔 訳『あなたの迷宮のなかへ―カフカへの失われた愛の手紙―』(新潮クレスト・ブックス)
最果タヒ/錯覚は恋の中

ガブリエル・ガルシア=マルケス、旦 敬介 訳『出会いはいつも八月』
旦 敬介/最晩年の新しい冒険

澤田瞳子『のち更に咲く』
たられば/「身近な死」と自分にとっての「物語」

高橋源一郎『DJヒロヒト』
菊地成孔/著者にしか書けない老人性の炸裂

砂原浩太朗『夜露がたり』
南沢奈央/人間の業という、とても愛おしい焔

浜田哲二、浜田律子『ずっと、ずっと帰りを待っていました―「沖縄戦」指揮官と遺族の往復書簡―』
佐藤 優/手榴弾の安全ピンを抜いた、私の母

大澤昭彦『正力ドームvs.NHKタワー―幻の巨大建築抗争史―』(新潮選書)
大西康之/一つでも実現していたら、深刻な経営難に陥っていただろう

三浦英之『涙にも国籍はあるのでしょうか―津波で亡くなった外国人をたどって―』
東えりか/東北を取材し続ける新聞記者だからこそ書けたルポ

最果タヒ『落雷はすべてキス』
[マンガ書評]池辺 葵/最果タヒ『落雷はすべてキス』にあてて
【談話&対談】
【九段理江『東京都同情塔』芥川賞受賞記念】
[談話]九段理江/二人の編集者

筒井康隆『カーテンコール』
小川 哲『君が手にするはずだった黄金について』
[対談]小川 哲×筒井康隆/不謹慎であればあるほどいい
【特別読物】
バッキー井上/京都裏寺俺の点鬼簿篇 第六部
【小説】
阿刀田 高/ささいな出来事
北村 薫/不思議な時計 後篇
【私の好きな新潮文庫】
木村綾子/増殖する『人間失格』
 太宰 治『人間失格(装画:城所昌夫、昭和43年43刷より)』
 太宰 治『人間失格(装画:山下清澄、昭和56年89刷より)』
 太宰 治『人間失格(カバー装幀:唐仁原教久、平成18年156刷より)』
【今月の新潮文庫】
新潮文庫編集部/世界を震撼させた作家 その終わりと始まり
 安部公房『飛ぶ男
 安部公房『(霊媒の話より)題未定―安部公房初期短編集―
【安部公房生誕100年記念 安部公房と私】
安部公房『箱男
笑う月
砂の女
他人の顔
無関係な死・時の崖
[エッセイ]
浅野忠信/箱男
一穂ミチ/夢の通い路
頭木弘樹/「あ」だから出会えた
小島秀夫/少年、穴に墜ちる
【コラム】
[とんぼの本]編集室だより

大嶋 仁『1日10分の哲学』(新潮新書)
大嶋 仁/日常に溢れる哲学の「きらめき」と「ひらめき」

三枝昴之・小澤 實/掌のうた

三宅香帆/物語のふちでおしゃべり 第24回

崎山蒼志/ふと、新世界と繋がって 第18回
【連載】
杏/杏のパリ細うで繁盛記 第2回
橋本 直(銀シャリ)/細かいところが気になりすぎて 第17回
近藤ようこ 原作・梨木香歩/家守綺譚 第18回
椎名 誠/こんな友だちがいた 第3回
エリイ(Chim↑Pom from Smappa!Group)/生時記 第19回
坪木和久/天気のからくり 第7回
川本三郎/荷風の昭和 第70回
編輯後記 いま話題の本 新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙の筆蹟は、ガブリエル・ガルシア=マルケスさん。

◎北村薫さんの泉鏡花賞受賞作『水 本の小説』で、「波」編集長らしき人物が「パロディの場合、元ネタが分からなくても、作家がのっていれば面白いですよね」と宣います。その通りなのですが、「あの元ネタはこれか!」と発見する喜びも大きくて……。
◎十代の頃、筒井康隆さん「座右の駅」にヒイヒイ笑ったものの、中の「自民党の歌」の歌詞の元ネタが分からずにいたら、後年談志師匠の高座で〽孝行糖。孝行糖。孝行糖の本来は粳の小米に寒晒し、に出会って変な声が出そうになりました。最近叫んだのは、「モロッコへの道」を観ていてボブ・ホープが「どうやって鎖が外れたか、お客さんに説明しても信用してもらえないだろう」と呟いた時。小林信彦さん「唐獅子源氏物語」冒頭で、前作「唐獅子電撃隊員レイダース」の末尾の危機をどう脱したか、主人公が「あないにけったいな成り行きを説明して、読者が信用すると思うか?」と嘯く元ネタはこれだった! 実に何十年ぶりかの氷解。
◎この珍道中映画の傑作「モロッコへの道」、小林さんの『決定版 世界の喜劇人』刊行に合せたシネマヴェーラ渋谷での特集(3/30~4/19)で上映されますので、ぜひ。
◎パロディとは違いますが、『暗夜行路』に出てくる「梅のつき出しのあった時」に、以前の新潮文庫は〈吉原の風習。正月は客に甘露梅を出した〉みたいな注をつけ、米国でも〈プラムのオードブル〉説があった由。ところが歌舞伎座で「助六」を観ていたら、髭の意休が揚巻の花魁道中に「例のつき出しか」と鼻の下を伸したので跳びあがりました。梅のつき出し=花魁道中(普通は桜の季節にやるが繰り上げてする場合の呼称)なんですね。歌舞伎好きの志賀直哉研究者がいたら、とっくに意味が分かっていたんだろうなあ。
▽次号の刊行は三月二十七日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。