新潮社

試し読み

試し読み:「はじめに」

試し読み:本編

「はじめに」をご覧いただいていない方は先にこちらをお楽しみください。

第1章 ついつい考えちゃう

一番きたなくない部分ってどこだろう

 外へ行って、お店のトイレに入る時、我々男性だと、こういう形のトイレしかない時に、おしっこしたい時、便座を全部上げるわけです。ふたと、座る時用のやつと、両方上げなきゃいけないわけなんですね。ちょっと女性の方は、イメージしにくいかと思うんですけど。
 その時に結構、どこを持ってそのふたを開けるかって、一瞬、悩むんですよね。
 一番きたなくない部分ってどこだろう、って。
 結構あれ、きたないはずなんですけど、みんな、えいやって気合いで持ち上げたりしてるんでしょうか。
 あと、終わった後に手を洗って、ドアのどこ触って開けるか、みたいなことも、なんか気になりませんか?

 あれ、きれいになった手で、このドアのノブ触るんだ、っていう。

 例えば、こうやって下げるタイプのドアノブだと、たぶん一番外側の方が、緩い力で開くから、みんな外側の方を触るんじゃないかなと思って、内側の方を触ると、結構、力が必要なんですよね。で、開けにくかったりして。
 余計、ぎゅーっと持っちゃったりして、余計きたないじゃないかと思ったりとか。

 こうして、トイレを出るだけでも、時間がかかるわけです。
 果たして、一番きたない所って、どこなんだろう?
 そもそもきたないって、何だろう?って。
 そういうことも、ついつい考えちゃったりして、ますますトイレを出られなくなったりするわけです。



第2章 父だから考えちゃう

スノードーム

 下の子が、風邪引いた時。
 処方された粉薬で、「お薬飲むよ」って口にばーって粉入れて、ペットボトルの水を飲ませた。その飲み終わったあとの水が、スノードームみたいになるんですよね。
 結構な割合で口の中の水が戻るんで。この一連の流れを見てて、すごいなと。
 ちっちゃい子が飲んだお水を回し飲みするときに、「うちの子が飲んだあと、飲みたくないのよねえ」って、あるお母さんが言ってて。
 わかるわかるって思ってたんですが、粉薬を飲んだ時に、ついに、可視化されました。いつも、こんだけ戻ってんだ、なるほどって。



第3章 ねむくなるまで考えちゃう

若い頃、別にムチャはしなかった

 若い頃、別にムチャはしなかった。今も特にムチャはしないし、この先もきっとムチャをしない。
 世の中、かなりの割合の人が、実はこうなのではないか。
 僕も、まさにそうで。
 それこそ、結婚を決断するって結構勇気が要ることじゃないですか。で、決断するときに、でも結婚したらいろんなムチャなことできなくなるしなって思った自分がいて、その自分に笑っちゃったんです。したことねえじゃん、俺って。
 で結局、生返事で結婚することになったんですけど、ムチャをしたことないくせに、結婚したらできなくなるって思った自分がおもしろくて、定期的にそのことを自分で思い出してます。