試し読み:本編

欲が出た時の顔

これは、プチ欲が出た時の顔。お菓子をもう一個取っていいんじゃないかとか、俺はもうちょっと寝てていいんじゃないかとか、人間って欲が出る瞬間があるわけです。
欲が出るから成功もするし、欲が出るから失敗もするわけなんですけど。こういう自分の中で欲が出た瞬間って、どんな顔をしてるのかな?と思ったんですね。
ひょっとしたらこのまま作家になれるんじゃないか?
黙ってたらもう一個取ってもわかんないんじゃない?
人間ってそういう、あれ?いけるんじゃない?みたいなとき、何とも言えない顔をする。そんな欲が出た瞬間の顔ばっかり集めた写真集があったら、ぜひ買いたいと思いました。
あー、この人、欲出てるわ、いけると思っちゃったんだろうな、ってのをたくさん見てみたい。ただ、どうやってその瞬間を写真に撮るかが、一番問題なんですけど。
という感じで、脈絡ないんですが、いつも、思ったことをそのまま描いてます。

おなかがバカーッてなって、しんでもいいから

これは、うちの子じゃなくて、お店に行ったら、どっかの子がお母さんに、ジュースを頼みたいんだと、一生懸命せがんでいる。
で、お母さんが、さっき飲んだでしょ、そんな飲んだらおなか破けちゃうよ、と怒ったら。
おなかがバカーッてなって、しんでもいいから、バナナジュースのみたいの!って。
すごい力説してて、わかるなあって。この「今さえよければ」感。面白い。人んちの子だから飲ませたいけど、自分の子が言ったら絶対飲ませない、という話でもあるんですけどね。

すごく好きはすごくきらいになっちゃうかもしれないから

すごく好きはすごくきらいになっちゃうかもしれないから、ちょっと好きくらいでいてください。
これは人の弱さですね。ちょっと好きくらいが、一番ずーっと近くにいられるんじゃないか。下手に結婚したりすると、離婚とかいろいろあるんじゃないかと、かえって怖くなる。そういう臆病な感覚って誰しもあるんじゃないでしょうか。
すごく好きになるってことは、かわいさ余って全く逆方向にすごく振り切れる可能性も秘めているってことに気づく。それこそ作る側に回ってみると、ほめられるほど不安になるんですよ。
音楽アーティストでも、最高傑作が出ちゃうと、それでこの人一丁上がりみたいな雰囲気が生まれますよね。それを出せる人がどれだけ希少か、一発屋になるだけでもどれだけ大変か、っていうのがあるのにもかかわらずです。
メジャーになればなるほど、メジャーだっていうだけの理由で嫌う人っていっぱいいるし、自分もそうだったし。ヒットするってうれしいけれども、長く考えたときに、それは本当に怖いなあって思いました。
だから、何となく好きくらいの方が、ずーっと支持してもらえるんじゃないかっていうわがままな話なんです。
商売として考えると、お菓子屋さんはお菓子が商品。芸人さんは本人が商品。「商品」を売って生活している人は、その商品を「好きになってもらう」のが仕事なわけです。恋愛に限らず、世の中のほぼすべてのものは「好きになってもらいたがってる」んですね。
そう考えると、やっぱり「定番商品」にみんながあこがれる気持ちが、よくわかります。


