新潮社

刊行秘話

“自分の本”が、文豪たちと同じ本棚に収まるところに価値がある大貫卓也(『マイブック』企画・デザイン)

『マイブック』は1999年の初刊行以来、アートディレクター・大貫卓也さんの企画・デザインで制作を行っています。刊行当時のお話を大貫さんに伺いました。

発端は、新潮社側から手帳を作りたいので(当時の)新潮文庫のキャラクター・Yonda?(大貫さんデザイン)を使わせてほしいという話でした。他によいアイデアがあるのではと熟考し、生まれたのがこの文庫のような白い本です。文庫と同じ見た目で中身は白く、自分で書くことで完成させる本があったら、どんな文学作品よりも思い出深いものになるのではないかと思いました。

こうして1999年に生まれた『マイブック』。初版3万部でスタートしましたが、1ヶ月も経たないうちに重版がかかり、増刷を重ねて翌年1月には9刷39万部に達しました。

こだわったのは、手帳としてではなく「本」として売ること。自分が書いたものが、文豪やいま活躍している現代作家の文庫と同じように本棚に収まるところに価値があるのではないかと思いました。新潮文庫の特徴であるスピン(栞)をもちろん『マイブック』にもつけて。手書きというのはアナログでオールドな手法ですが、ワンクリックで消えてしまうデータとは違うところがよいのではないかと思います。

25年の時を経て愛され続ける一冊には、刊行時から変わらない魅力が詰まっていました。

歴代の『マイブック』
新刊

マイブック―2026年の記録―

大貫卓也/企画・デザイン

    マイブックには、日付と曜日しか入っていません。これは2026年のあなたがつくる、世界に一冊だけの本。どんなふうに使うかはあなたの自由です。日記をつづってもよし。手帳として持ち歩くのもよし。誰にも思いつかないオリジナルな使い方を試してみるのも、きっと楽しいでしょう。毎日使い続けて完成させたなら、他のどの本よりも記憶に残る、とっておきの「自分の本」になっているはずです。

    539円(税込)