あらすじ
命懸けの「嘘」で、異端の皇子が新しい国を目指す!
男女逆転宮廷ファンタジー。
海に浮かぶ
この国では女は龍の声を聞く力を持つが、生まれながらにその力を持たない者は「
一方、女にしか聞こえない龍の声を聞く
自らの性別を偽り王を目指す皇子・日織を中心に、秘密、野望、愛、復讐……様々なバックストーリーを抱えたキャラクターたちによって紡がれる建国ファンタジー。心震わされること間違いなし!
龍の声が聞こえるか否か。女であるか、男であるか。己の力ではどうにもあらがえないものが理由で命すら奪われる世界に挑む主人公の姿は先の見えない時代を生きる私たちに勇気を与えてくれることでしょう。日本の太古の文化にどこか似た、雅でいて質実剛健の世界観が物語に彩りを添えます。
まずは最初の一章を読んでみてください。幼い頃に主人公が受けた心の傷と、巧みに伏せられた仕掛けが重なり、運命のうねりに呑み込まれていく。その規格外のスケールを体感できることでしょう! 龍が空を駆け、その関わりがすべてを決めるその世界は一見するとシンプル。だからこそそこで生きる人々の「ままならなさ」が胸を打つのです。
この新たな宮廷ファンタジーを描くのはイラストレーター・千景氏。繊細なタッチで様々なキャラクターのバックグラウンドを内包した筆力を是非実際に手に取って見てみてください。
造本にも工夫があり、通常、新潮文庫nexの背は黄色からピンクへのグラデーションで統一されていますが、このシリーズは特別に金の特色が使われています。この装幀は新潮文庫nexでは初の試みです。今後もこの仕様でシリーズは続いていく予定です。
海に浮かぶ
この国では女は龍の声を聞く力を持つが、生まれながらにその力を持たない者は「
一方、女にしか聞こえない龍の声を聞く
大海に浮かぶ
地の底で眠る龍は、
地龍と対をなす存在の
龍は、地龍を鎮める皇尊に危険を知らせ、助言をするという。故に、皇尊の一族の女たちは龍の声を聞く
この世界特有のことばの意味を説明します。
央大地(ひさしだいち) | 巨龍の上にできたと信じられている、九つの国から成る火山島。その途方もない大きさから、大地と呼ばれている。 |
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龍ノ原(たつのはら) | 央大地にある国。地龍を鎮める役目をになう神国。 |
龍稜(りゅうりょう) | 龍ノ原の中心に位置する、皇尊が住まう宮を擁する巨大な岩山。 |
皇尊(すめらみこと) | 龍ノ原の統治者であり、龍を鎮める役目を負う。皇尊がいなくなれば、央大地は海に没すると信じられている。 |
遊子(ゆうし) | 皇尊一族の女性が当然聞こえてしかるべき龍の声を、生まれながらに聞けない女性を指す。 |
禍皇子(まがつみこ) | 男性でありながら、龍の声が聞こえる能力をもって生まれた者を指す。 |
龍鱗(りゅうりん) | 地龍の鱗と伝えられているが、その形や大きさは歴代皇尊しか知り得ない秘宝。 |
キャラ設定と文体のリズムがいいので徐々に引き込まれ、この先、どうなるんだろというときに、物語の真ん中でガクンとギアが上がるのだ。うまいなあ。こうなると、あとは一気読み。まったく素晴らしい。
本書はファンタジーだ。だが言うまでもなく、これと似た例は、現実にいくつもある。たとえば龍の声を聞く力を、「出産」や「見た目」などと置き換えて考えてみればいい。(中略)日織の気持ちや「遊子」たちの状況は、そのまま今の私たちの生きるこの社会なのだ。それをどう覆していくのか。覆せるのか。異世界ファンタジーとしてのロマンをたっぷり味わいつつ、その芯は実に骨太。なんとも楽しみなシリーズが始まったものだ。
龍の声を聞くかどうか、ただその一点において生き方を制限された人々の、
悲嘆が、諦念が、幻想の中に寒々と横たわっている。
あなたの怒りは血潮である。あなたの覚悟は骨肉である。
存在を許されなかったあなたこそが、世界を変えてくれる。
新たな神話が、今、始まった。
TSUTAYA BOOKSTORE ららぽーとEXPOCITY 丸山理沙さん
なんと壮大なテーマで描かれた作品なのでしょう! 大きなうねりを持つ過酷な運命に立ち向かう日織達を応援しながらあっという間に読み終えてしまいました。ドラマティックなストーリー展開と魅力的なキャラクターたち。
これは人気作になっていくだろうという予感がします。まだまだお話は序章に過ぎないことをひしひし感じています。早く続きが読みたいです。
有隣堂 町田モディ店 原田明美さん
これぞ求めていたファンタジー小説!!!
ファンタジー初心者さんにも玄人さんにもオススメします!
とある理由から龍に殺された姉の復讐を果たすべく立ち上がった日織皇子。彼(彼女)の運命やいかに!? 胸熱展開が非常に多く、読み始めたら途中でやめるのが困難でした。お時間がある時にじっくり読んでくださいね。
椿書房 渡部哩菜さん
ものすごい作品に出会ってしまった。本当に出会ってしまったとしか言いようのない物語でした。主人公の日織が壮絶すぎて。言葉が見つかりませんでした。亡き姉の無念を晴らすため。能力が備わらなかったがために、排除されてきた同じような子どもたちのため。正体を偽り、並々ならぬ覚悟を持って、命を賭けて茨の道を行く。20年、その時を待っていたのです。なんて執念深いのか……。ちょっと根詰めすぎじゃないかと思うこともありましたが、そうまでしないと願う立場には届かないんだと言う、思いの強さに心が震えます。読み終えた時、ため息と涙が止まらず放心してしまいました。発売前ですが、続きを早くお願いします。待っています!! すみません、長くなってしまいました。私の中で本屋大賞2022です!!
未来屋書店 名取店 高橋あづささん
読み始めてすぐ目が覚めた。この「ファンタジー」、「運命」の光と影のコントラストは強く、なおかつ“色気”、“色香”をまとっている。かつて類を見ない「新しさ」に心震えた。
持たざる者、持ってしまった者たちの見る国、築いていく世界を見逃してはならない。男と女の枠を超え生きる彼らの姿は、今まさに私たち現実社会の在り方を大いに問うものである。
旭屋書店 新越谷店 工藤雅子さん
最後の一文を読み終えても、じっとりと体にはりつく雨や、その水気をとばす龍道の熱風、厚い雲を切り裂く一筋の光が脳内を駆け巡り、物語から抜け出せなかったです。
主人公の強い意志を持ちながらも自分が絶対の正義ではないことを自覚している姿、自分の正義がだれかの悪になるといった文も普遍でありながら今に通ずるなと思いました。とにかく続きが読みたい!
マルサン書房 サントムーン店 原田里子さん
冒頭から引き付けられ、ラストまでハラハラさせられました。ちょっと読もうとしただけだったのに続きが気になって止められませんでした。
のめり込める物語が読める幸せを感じます!
コメリ書房 鈴鹿店 森田洋子さん
理不尽な掟に、運命に抗おうとする日織の信念にもう胸が熱くなりました。
なんと勇敢なー!!! 果たして、第一巻のラストはどうなるのか。もう、どうかどうかご無事でと祈りながら読みました。なんというラストの描き方。もはや、神々しい。
そして続きはどうなるのか。読み終わり大河ファンタジーの幕開けに歓喜してます、いま、まさに!!!
未来屋書店 大日店 石坂華月さん
大河宮廷ファンタジーに魅せられた。理不尽な歪なしくみがまかり通る世界の中で生き延びるために嘘につつまれた自分として生きなければならない運命とはなんという悲劇か。
そんななか自ら皇位につき、悪しきしくみを変えようという望みをかなえんがため、人生をかけてきた日織皇子の行く末が晴れ渡る未来であることを願わずにはいられなかった。誰も好きで欺いているのではない。生きるためにこうするしかないのだ。読み進め、嘘がばれないようにとこれほど思ったことはなかった。何度もひやひやした。真実の姿、世界が堂々と開かれる未来であってほしい。日織皇子の願いが結実することを願ってはやく続きが読みたい。
ジュンク堂書店 滋賀草津店 山中真理さん
揺るぎない信念が悲しくて、皇子の代わりに泣いて怒って苛立って、新たなる物語に無我夢中でした。
岩瀬書店 富久山店 大内佳美さん
続きが気になり、最後の150ページはノンストップで読みました。
また、男装する女性主人公という設定においては、多くのケースで主人公を上回る男らしさを誇る男性が登場するという話も多いイメージでしたが、悠花は美貌と知性があるわりに人生に対してかなり受け身で、そこにある意味期待が持てる気がしました。今の時代に合ったフラットな男女関係や、純粋なバディものとしての面白さを今後もっと楽しめるのではないかと……。2巻も楽しみにしております!
八重洲ブックセンター 石神井公園店 志保井雅子さん
読んでいくうちに、没入感が強くなる読み応えのある作品でした。誰が皇尊になるのかを期待して読み進めていましたが、最後まで展開が読み切れず面白かったです。
未来屋書店 岡山店 水田奏絵さん
誰にも知られてはならない大きな秘密。知られたらすべてが終わるという設定と、龍という神秘的で恐ろしい存在が常にあって読んでいる間ずっとハラハラしていました。凛々しい日織と美しい悠花、どちらも魅力的で一気に読みました……が、最後に思ったのは「えっ? ここで終わるの!?」です。お願いです。早く続きを読ませてください。
SuperKaBoS 鯖江店 峯森和代さん
神の眷属(けんぞく)である龍が支配する龍(たつ)ノ原(はら)では、女たちは龍の声を聞く。その能力(ちから)をもたず生まれた者は闇に葬られる理(ことわり)。異端の一人である日織(ひおり)はその身を偽り男として生き、皇尊(すめらみこと)崩御にあたり次期皇位を目指す。命の尊厳を守る国に変えるために──皇位を狙う男たちの野望渦巻く闘いに日織は勝ち得るのか。そして日織の二人の妻たちを待ち受ける運命とは。壮大なる男女逆転宮廷物語、開幕!
日織(ひおり)は二十年来の望みを果たし皇位に即いた。だが、新しい御代の始まりを龍ノ原(たつのはら)に知らしめる宣儀の場で、龍を呼ぶ笛が鳴らない。日織を妬む者の仕業か。一方、反封洲(たんのほうしゅう)の使者が訪れ、一原八洲の律を犯すことを要求する。そして、妻の悠花(はるはな)が消えた。全ての試練は、偽りで御位を手にした己への罰なのか――最愛の妻を取り戻し、国を守るために下す途轍もない決断とは。男女逆転宮廷絵巻!
央大地(ひさしだいち)の八洲の一つ、反封洲(たんのほうしゅう)国主の長子・伴有間(とものありま)。冤罪により母と共に深い大地の亀裂へと落とされ、尊厳を踏みにじられて生き延びた壮絶な過去を持つ。ようやく救い出され臣下から信頼を得るも、父からは再び亡き者とされ、次期国主の座を異母弟に奪われそうになる。龍ノ原(たつのはら)より帰国した有間は、皇尊より賜った書札を携え、戦へ。復讐の鬼と化した男の壮絶なる国盗りが幕を開ける!
日織(ひおり)は、女の身であることを明かし、皇尊(すめらみこと)として龍に認められた。しかし世継ぎを残すために、はやく夫を迎えるよう進言する者が現れる。一方、御位を争った宿敵不津王(ふつのおおきみ)が、その座を狙い動き出す。左(さ)の大臣(おとど)・小勢乙名(こせのおとな)が彼を推すのは何故……。日織は信頼できる臣下もなく疲弊するなか、唯一心の支えである悠花(はるはな)の秘密を公にし、添い遂げたいと思うのだが、最愛ゆえに悠花が下した決断とは。
日織(ひおり)が皇位を全うすることを願い、悠花(はるはな)は「妻」の座を捨て、龍ノ原(たつのはら)を出立した。女として生きた姿を護領衆・悠火(ゆうび)に変えて、龍ノ原の北に隣接する逆封洲(さかのほうしゅう)へと潜入する。そこは若き国主・末和気(すえのわき)が治める豊かな国。だが、政(まつりごと)は、母の遠音(とおね)が牛耳っていた。日織が隣国との関係を築けるよう、知謀の才を尽くす悠火。しかしその頃、不津王(ふつのおおきみ)が皇尊(すめらみこと)の譲位を迫る一触即発の危機が日織を襲う!
悠花(はるはな)が姿を消し、日織(ひおり)は失意のなかにあった。そこへ不津(ふつ)が附孝洲(ふのこうしゅう)国主・目戸(まと)と共に軍勢を率いて龍ノ原へと進軍する。龍に守られし神聖なる地が戦場となることを避けるため、護領山(ごりょうさん)を越える決意をした日織。向かうは反封洲(たんのほうしゅう)・有間(ありま)の許。神に背く行為は、英断か。そして仮の夫である夏井(なつい)に、悠花を捜す役目を託すのだが……。はたして、皇尊(すめらみこと)が繰り出す謀(はかりごと)は希望への導きとなるか!?
龍ノ原(たつのはら)に攻め入る附孝洲(ふのこうしゅう)軍から逃れた日織(ひおり)は、八洲に二つの三国同盟を成立させ、奪還する策を講じる。約定を結ぶため各々の国に三手に分かれ、日織は附道洲(ふのどうしゅう)へと向かう。だがその道中、原因不明の体調悪化に苛まれる。龍ノ原を離れたことで、龍の怒りにより下された罰なのか。漸く附道洲に臨幸するも、何故か国主から面会を拒まれてしまう。命賭す皇尊(すめらみこと)の旅路に待ちうける応(いら)えとは。
ミカワ・ミリ
広島県生れ。角川ビーンズ小説大賞審査員特別賞を受賞し、『シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精』でデビュー。同シリーズが人気を博す。ほか、「封鬼花伝」シリーズ、「一華後宮料理帖」シリーズ、「ここは神楽坂西洋館」シリーズ、『君と読む場所』、「龍ノ国幻想」シリーズなど著書多数。