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日本は「エロ大国」だった! 古典文学を読み解き、性愛あふれる日本人の姿を明らかにする。

本当はエロかった昔の日本

大塚ひかり/著

594円(税込)

本の仕様

発売日:2018/05/01

読み仮名 ホントウハエロカッタムカシノニホン
装幀 飯野和好/カバー装画、新潮社装幀室/デザイン
雑誌から生まれた本 新潮45から生まれた本
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-120517-5
C-CODE 0195
整理番号 お-98-2
ジャンル 古典
定価 594円

兄と妹の近親姦から国作りが始まる『古事記』、義母を犯して子を産ませた光源氏が、結局、妻を寝取られるという「不倫の恋」満載の『源氏物語』、セックス相手によって人生が変わる「あげまん・さげまん」神話、男色カップル弥次喜多の駆け落ち旅『東海道中膝栗毛』など、古典文学の主要テーマ「下半身」に着目し、性愛あふれ情欲に満ちた日本人の本当の姿を明らかにする、目から鱗の一冊!

著者プロフィール

大塚ひかり オオツカ・ヒカリ

1961(昭和36)年横浜市生れ。古典エッセイスト。早稲田大学第一文学部日本史学専攻。『源氏の男はみんなサイテー』、『ブス論』、『愛とまぐはひの古事記』、個人全訳『源氏物語』全六巻、『女嫌いの平家物語』、『本当はひどかった昔の日本』、『昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』、『女系図でみる驚きの日本史』、『源氏物語の教え』など著書多数。

書評

ギリシャのエロスと日本の古典

江川達也

 キリスト教が支配していた中世ヨーロッパは科学的に遅れていた。ヨーロッパが世界を席巻したのは、ルネッサンス以降である。そう、ギリシャ哲学の復活、ネオプラトン主義によって、ヨーロッパは世界をリードすることが出来た。ギリシャ哲学の原点はギリシャ神話にある。そしてギリシャ神話の中心にエロス(愛と性)の肯定があるのだ。このギリシャ神話よりも、よりエロスに溢れた神話が日本の神話だ。言ってしまえば、日本文化は、西洋文化の2000年先を走っているのだ。もっと先かもしれない。古典を原文で読むとその事に気付く。
 大塚さんの母国語は現代日本語ではない、と私は思っている。彼女の母国語は古文(昔の日本語)なのだろう。解読するように読むのではなく、心に響く言葉として古典が読めるのだと推測する。今まで、いろんな人が源氏物語を現代語訳してきたが、まるでダメだった。現代語訳することに意味がない。原文を心で読まないと意味がないのである。なので、私は、原文と現代語(私の訳)と絵を併記した漫画の源氏物語を描いた。源氏物語の現代語訳をあれこれ読むと原文からかけ離れた訳がされている。多分、明治以降に入って来たキリスト教的ヨーロッパ思想の世界観によってねじ曲げられた教育を受けた日本人が現代語訳し、ヨーロッパの言語を日本語の中に入れて改造された現代日本語を使っているからなのだと私は思っている。文化を逆行させたキリスト教の性を抑圧した世界観では、古典は、理解不可能だ。そのフィルターで解釈すれば、明らかに辻褄のあわない現代語訳になるのだ。大塚さんの書かれた源氏物語の訳と解説というかナビゲーションは、キリスト教的世界観からの視点をなくし、古文を母国語とする人が原文中心にそれを現代の日本人に伝えようとしている姿を感じさせる。大塚さんの今回の本でも書かれていた「帚木」で光源氏が紀伊守の屋敷に方違えで泊った時の「おもてなし、ってのは、下半身のおもてなしもないとあかんでしょ」という、今でいうと「性接待する女の子は用意してないの? そういう娘を出してよ」と下半身接待を迫る言葉に関しても、きちんと解釈されている。私も源氏物語を訳す時、他の人はどう訳したのか気になっていろいろ読んでみた。この言葉を「というような冗談を言った」みたいな感じで訳しているものもあり、思わず私は心の中で「ちょっと待ってよ。ここは、枕営業の強要であって、冗談を言ってんじゃないでしょ」ってつっこんでしまった。私の視点から見ると多くの源氏物語の現代語訳は、エロスを肯定してないので辻褄があわない。本当に原文を読んだことがあるのか疑わしく思ってしまうのは、私だけだろうか。源氏物語の原文は、「隠語(淫語、陰語と言った方がいいかも)」で溢れてることも原文を深読みするとわかる(母国語が古文の大塚さんは当然、そこら辺は全て味わっておられるようだ)。女性器や男性器を意味する言葉等、性的な意味を持たせる言葉の宝庫が源氏物語だ。源氏物語の「帚木」を解読しながら一番私が個人的に気に入った隠語は、「芽」という言葉だ。当然この「芽」は女性器を意味する。また、「女」「目」「愛」という言葉も「め」には、含まれるのだ。源氏物語は直接的な性描写は薄いとされているが、自然の描写によって、性的な描写をしていることは、原文に馴れると一目瞭然だ。そう、自然にエロスを感じて自然にとけ込むのが日本人の性なのだ。世界の文化を2000年以上先取りしている。いや、もっとかもしれない。そもそも、日本の成り立ち自体が男の神と女の神がまぐわって出来たエロい子供たちなのだ。そう、日本の地形はエロスなのである。地形や自然がエロスなのだ。私も何十年も地形のエロスを世に問うて来たが、これは、日本の古典の流れからの整合性のある主張なのだ。
 古典を原文でいきなり読むのはかなり難しいだろう。まずは大塚さんのこの本を読み常識を洗ってから参ろう。

(えがわ・たつや 漫画家)
波 2015年12月号
単行本刊行時掲載

目次

はじめに エロ大国ニッポン――エロに支えられた国
第一章 日本の古典文学はエロいという常識――権力のエロ肯定から生まれた文化
エロの危機/不倫文学の『源氏物語』、男色カップルの『東海道中膝栗毛』/『古事記』『日本書紀』に書かれた近親姦
【コラム1】『古事記』における性と愛――「マン損傷神話」はなぜ多い?
【コラム2】英雄には必ず嫉妬深い妻がいる――オホクニヌシと仁徳天皇
第二章 エロいほうがエラかった平安貴族――日本に「チン切り神話」がない理由
母が決める「就職」「結婚」/命名権も母にあり/日本に「チン切り神話」がない理由/処女性を重視しない母系社会/「世話女房」より「セックスアピール女」/外戚政治はセックス政治/性愛サロンから生まれた日本文学
【コラム3】恋の歌は必要不可欠――雅に託されたエロ
第三章 『源氏物語』がどんな時代にも生き延びた理由――花鳥風月に託された性
花鳥風月が伝えるメッセージ/流行歌が性愛シーンの伏線/催馬楽が牽引する『源氏物語』の性/なぜ『源氏物語』はダイレクトな性表現を避けるのか
第四章 『万葉集』の「人妻」の謎――不倫が文化だった平安時代に消えた「人妻」
『万葉集』以後に多い人妻不倫/「人妻」はどこからきたか/律令の導入で浮上した結婚観/本当は血なまぐさかった歌垣
第五章 平安古典に見る「正しい正月の過ごし方」――「睦月」と「ヒメ始め」
小正月の性的行事/餅を食う意味/性と笑い
第六章 なぜ日本のお坊さんには妻子がいるのか――「日本化」して性にゆるくなった仏教
出家後はいかなる“好色”もOK/日本仏教のゆるい性愛観/日本にくるとゆるくなる性規制/日本人向けにエロくアレンジ/「日本化」してエロくなる
第七章 あいまいな性の世界がもたらすエロス――日本の同性愛
日本は同性愛者にとって暮らしにくいのか/“女にて見む”ということば/あいまいな男女の境界/“女にて見む”のエロス/男にも女にも欲情される存在――両性具有のパワー/時代の変わり目に強まる性差意識
【コラム4】古典文学の中の女性同性愛――性虐待と男性嫌悪
継父に性虐待を受けた姫君/女性同性愛を描いた西鶴
第八章 「エロ爺」と「エロ婆」の誕生――貧乏女とエロ婆の関係
老人の性は究極のエロ/笑われる老人の性欲――エロ姿の誕生/貧乏女の急増が性愛の価値の低下を招く/エロ女が「イタい存在」に/平安の草食男子/エロ爺・エロ婆の発見
第九章 あげまん・さげまんのルーツ――日本の「女性器依存」はなぜ生まれたか?
女性器依存大国ニッポン/武士はブスと結婚すべし――「醜パワー」をベースにした女性器依存の思想/ルーツは古代中国?/一目で分かる性器の具合/「女性器依存」と男社会
【コラム5】究極の女性器依存?――異形の女性器が国難を招く
第十章 ガラパゴス化した江戸の嫌なエロ――西鶴、近松、南北
本当はエロくなかった西鶴/恋愛不自由時代に女性虐待的エロ/ブ男による犯罪的エロ/女不在のグロの世界へ
第十一章 河童と男色――なぜ昔の河童は可愛くないのか?
男色と河童/『根南志具佐』のけなげな河童/男色の歴史と暗黒面/エログロ河童は男色のマイナスイメージの反映?/河童と被差別民/河童はなぜエロいのか――美女の厠に現れる神
【コラム6】芸能と性
日本のセックス・キャラクター/芸能と男色/芸能を生む性の力、それを支える権力者
第十二章 「外の目意識」が招いた「エロの危機」――「処女膜」の発見が招いたもの
「外の目意識」がもたらす国の発展とエロの危機/尊ばれなかった純潔/処女膜の発見と対西洋意識の芽生え/日本史上最大の「エロの危機」/「処女」賛美論の登場/古き良きエロに満ちた日本を取り戻せ
【コラム7】本当はエロかった歌舞伎――ロリコン芸能と売春
【コラム8】文豪のアレンジよりエログロな古典文学の原話
残酷さが救いだった時代の『さんせう太夫』/エロがエラかった時代の色男・平中のひらめきと誤算/本当はエロかった浦島太郎
本当はエロかった日本の年表
主要参考文献一覧
[特別対談]日本のエロスは底なしだ! まんしゅうきつこ×大塚ひかり

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