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すべての失恋男たちに捧ぐ、爆笑妄想青春巨篇in京都。

太陽の塔

森見登美彦/著

529円(税込)

本の仕様

発売日:2006/06/01

読み仮名 タイヨウノトウ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫、電子書籍
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-129051-5
C-CODE 0193
整理番号 も-29-1
ジャンル SF・ホラー・ファンタジー
定価 529円
電子書籍 価格 583円
電子書籍 配信開始日 2018/06/01

私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった! クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

どういう本?

一行に出会う 彼女はあろうことか、この私を袖にしたのである。(本書9ぺージ)

著者プロフィール

森見登美彦 モリミ・トミヒコ

1979年、奈良県生まれ。京都大学農学部大学院修士課程修了。2003年、『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、小説家デビュー。2007年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を、2010年『ペンギン・ハイウェイ』で日本SF大賞を受賞する。『四畳半神話大系』『有頂天家族』『有頂天家族 二代目の帰朝』はTVアニメ化もされた。ほかの著書に『四畳半王国見聞録』『聖なる怠け者の冒険』『夜行』等がある。

この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ (外部リンク)

書評

美点満載の、文句なしの快作

日本ファンタジーノベル大賞事務局編

――第15回日本ファンタジーノベル大賞・「小説新潮」選評より抄録

 あの酒見賢一氏の『後宮小説』から始まり、いよいよ第15回を迎えた日本ファンタジーノベル大賞。自由闊達な作風が特徴の本賞は、これまでにも現選考委員である鈴木光司氏など多くの才能を輩出してきた。第13回優秀賞を『しゃばけ』で受賞した畠中恵氏もその続編『ぬしさまへ』とともに注目されている。そして今回、いつにもましてユニークで楽しめる二作品が選ばれている。
 大賞を受賞したのは森見登美彦氏の『太陽の塔』。作者は京都大学大学院に在籍する現役京大生で最年少の大賞受賞者だ。また、優秀賞は、渡辺球氏の『象の棲む街』に決定した。
 では、小説新潮9月号に掲載された選考委員の選評を抜粋、再録し、各作品を紹介していこう。まずは『太陽の塔』をストーリー紹介も含めて、井上ひさし氏の選評から。
「美点満載の、文句なしの快作だった。なによりも文章が常に二重構造になっているのがすばらしい。では、それはいったいどういう仕掛けになっているのか。京都大学を〈休学中の五回生〉の『私』が主人公で語り手をかねているのだが、この『私』が女性にモテたくてたまらないのにまったくモテないので、客観的にはみじめで哀れな毎日を送っている。ところが『私』には、つまり主観としては、自分がモテないのは世の中がまちがっているように見えている。この客観と主観のズレが全編に絶え間なく愉快な諧謔を作り出していて、読者はいつも主観と客観の、抱腹絶倒の二重唱を聞くことになる。持って生まれた才能だろう。この才能がこれからもまっすぐに伸びて行くことを切に祈っている」。
 との評だった。他の選考委員も高く評価し、椎名誠氏は、
「この作品は、マンガ家いしいひさいちのいろんな作品の、単純で滑稽で常にどこか不条理で結構屈折した哲学なども含有している、あのヘンテコな面白さに通じている、と思った。たとえば東淀川大学に所属する貧乏できったなくて本能に貪欲で変に気位の高い落ちこぼれ学生群を描く『バイト君』を文学にするとこんなふうになるのではないか、と。有名マンガを文学にするというのはなかなか難しい。たとえば『サザエさん』を優れた長編小説にするのは相当なハンデと努力がいるだろう。この作品はそういう意味で作品世界全体がファンタジーになっているのではないか、とぼくは広義に解釈した。久しぶりに力のある変な小説を書く新人が出てきたのではないか」。
 との言葉を贈っている。重ねて小谷真理氏の評。
「一読して、一番強烈で、一番笑いこけた作品は『太陽の塔/ピレネーの城』(注・受賞時の題)である。――中略――これは七○年代頃読みまくったムツゴロウ、庄司薫遠藤周作といった青春文学のなつかしい味わいだ」。
〈懐かしさ〉を現代の学生が表現したという点では荒俣宏氏も同じ意見で、
夏目漱石や『けんかえれじい』を思いださせる青春妄想小説であり、男子寮の知と痴が暴力的にからまりあう。京都における京大生の尊大ぶりと稚戯性とを巧みなレトリックで描きあげた。地域も時代も極度に狭いだけに、危い妄想に満ちみちている。それでいて、どこかに純な心情があふれている。まるで岡本太郎の作品のように突拍子もない『彼女』の研究を通じ、よい意味で明治文学の真面目さを感じさせる小説であった」。
 と絶賛だった。
 かたや『象の棲む街』を一番に推したのは鈴木光司氏。
「作者によって構築された異世界が冒頭からすんなりと頭に入ってきて、これが小説だとうならされた。世界大戦が起こったであろう百年後の東京が舞台で、四千万人という人口を抱える巨大都市の猥雑さが、臭いまで喚起するかのように生々しく伝わってくる。最初に全部説明することなく、短編を紡ぐ描きかたで、徐々に世界の輪郭を浮かび上がらせてゆくところがいい。世界大戦後の近未来という設定は使い古されて陳腐だが、作者は独自の表現方法を身につけていると思われる。今回、ぼくがもっとも高得点をつけた作品である」。
 他にも「堂々たるファンタジーで、連作形式のストーリー群に多彩な幻想シーンが盛り込まれていた」(荒俣氏)、「怖ろしい現実の閉塞感とともにリアルさが伝わってくる。説得力あふれる文章の端正さにも、感心した」(小谷氏)、「この作者には『場面』をおもしろく作る才能がある」(井上氏)などの好評を集めた。
 全く異なる魅力を持つこの二作品、このあわいこそ本賞の楽しみでもある。是非合わせてご一読ください。

日本ファンタジーノベル大賞事務局編
波 2004年1月号より
単行本刊行時掲載

判型違い(書籍)

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