「ぬしさまへ」
――大モテの仁吉さんの袖にはいつも山ほどの恋文が入れられているのですが、今回の恋文は百年の恋も冷めるほど字が汚い! なんとか差出人の名前だけは判読できた若だんなですが、その本人が火事の最中に殺されてしまい、仁吉さんに疑いがかけられてしまいます。
「栄吉の菓子」
――栄吉さんが作った茶饅頭を食べて、三春屋の常連客のご隠居が死んでしまうなんて!? 噂は広まり、三春屋の売り上げは、もちろん大激減。落ち込む親友のために、若だんながご隠居の死の真相究明に乗り出します。
「空のビードロ」
――松之助さんが桶屋東屋でご奉公していた頃のお話です。長崎屋にご奉公することになったきっかけや理由は、『しゃばけ』とこのお話をお読みいただければわかりますよ。
「四布(よの)の布団」
――若だんなのために仁吉さんが注文した布団から、夜毎、面妖な泣き声が……。どうやら手違いで古物が届いてしまったようなのです。翌日、腹の虫がおさまらない藤兵衛様と仁吉さんに連れられ、若だんなは繰綿問屋の田原屋へ。そこで若だんなが出会ったのは、通い番頭の死体でした。
「仁吉の思い人」
――薬を飲んだら仁吉の失恋話を聞かせてあげますと佐助さんにそそのかされ、苦いクスリを飲み込んだ若だんな。あの仁吉が失恋だなんて、若だんなは信じられなかったのですが、仁吉さんには辛い辛い失恋の思い出があったのです。しかもそのお相手とは……。
「虹を見し事」
――やかましいくらいの妖たちが忽然と若だんなの前から姿を消してしまいました。手代の二人も別人のよう。あまりに奇怪な状況に、若だんなは自分は誰かの夢の中に入ってしまったのだと推理し、そこから出ようとなさいます。しかし、この時ばかりは若だんなの推理も大正解ではなかったようなのです。