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[貫井徳郎『灰色の虹』刊行記念インタビュー]

波 2010年11月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2010/10/27

発売日 2010/10/27
JANコード 4910068231109
定価 105円(税込)

[貫井徳郎『灰色の虹』刊行記念インタビュー]
貫井徳郎/冤罪と復讐がミステリーに結実するまで

太田 光『マボロシの鳥』
太田 光/ライオンのように――はじめての小説集『マボロシの鳥』のあとで

いしいしんじ『遠い足の話』
戌井昭人/土管のいしいさん

朝吹真理子『流跡』
河野多惠子/悠然と水路を行く

藤田宜永『還暦探偵』
児玉 清/人生の謎を解くがごとく

[辻村深月『ツナグ』刊行記念]
【対談】飯島奈美×辻村深月/生きること、食べること

群 ようこ『ぎっちょんちょん』
まついなつき/わたしが若い女だった頃

片岡 弘『634(ムサシ)』
田原総一朗/ライオンがプレゼンする新タワー小説

安東能明『撃てない警官』
西上心太/読み逃し厳禁“欲張り”な警察小説

田牧大和『数えからくり―女錠前師緋名―』
末國善己/天才女錠前師・緋名が帰って来た!

里見 蘭『さよなら、ベイビー』
大森 望/ヒッキー探偵の爽快ドタバタ育児コメディ

[葉室 麟『橘花抄』刊行記念インタビュー]
葉室 麟/己を信じて生きる男たち

大澤信亮『神的批評』
町田 康/自己を厳しく問う

村上建夫『君たちには分からない―「楯の會」で見た三島由紀夫―』
原田 泰/三島の貴重な言動の記録

松本健一『三島由紀夫と司馬遼太郎―「美しい日本」をめぐる激突―』(新潮選書)
関川夏央/ふたつの「戦後」がぶつかった日

ジョン・バンヴィル『無限』(新潮クレスト・ブックス)
イッセー尾形/神のなせる業!

松本 修『「お笑い」日本語革命』
百田尚樹/根っからのテレビマンにして学者の新説

白洲正子『金平糖の味』(新潮文庫)
平松洋子/こころ惹かれる耽溺のしかた

薮中三十二『国家の命運』(新潮新書)
薮中三十二/この国の「今、そこにある危機」を思う

映画「桜田門外ノ変」公開記念
栗原正哉/吉村昭さんからの手紙

コラム
とんぼの本編集部通信
三橋曉の海外エンタ三つ巴
「考える人」─ドリトル先生はわれらの同時代人

連載
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第8回
吉川 潮/【対談】寿限無の言い分 立川志の輔(前篇)
蓮池 薫/拉致と決断 第7回
片山杜秀/未完のファシズム 第2回
小林朋道/ヒト、動物に会う 第6回
山折哲雄/長谷川伸と日本人 第11回
三田 完/モーニングサービス 第3回
佐木隆三/わたしが出会った殺人者たち 第6回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、十月二十九日に、はじめての小説集『マボロシの鳥』が刊行される、爆笑問題・太田光氏。誰よりも小説を愛し、誰よりも小説に愛される芸人、太田光が、ついに作家としてデビューします。
「びっくりした。太田光という人は、本気で信じているのだ。私たちのあるべき世界は、もっとうつくしくてまっとうなはずだと。そのことに私は本当に胸を打たれる」(角田光代氏)、「どうせ爆笑小説とか言うコントだろう。えっ、マジ小説? おいらより先に直木賞とったら許さないからね。コノヤロー!」(ビートたけし氏)〈単行本帯より〉。
 舞台芸人の一瞬の輝きを一羽の鳥に託した表題作ほか、父との不和に悩む娘やイジメにあう男子高校生の葛藤から、人類の行く末、そして神の意志まで、持てる芸のすべてを注いで描き尽くした九編。かつて読んだことのない感動の形がここにあります。
◇二〇一〇年のノーベル文学賞が、ラテンアメリカ文学の代表的作家で、ペルー出身のマリオ・バルガス=リョサ氏に授与されることが決定しました。その授賞理由には、〈「権力の構造」の見取り図を明確に描き、個人の抵抗、反抗や敗北を鮮やかに表現した〉ことがあげられています。
 バルガス=リョサ氏は一九三六年、ペルー南部のアレキーパの生れ。五九年短篇集『ボスたち』、六三年『都会と犬ども』を出版、一躍脚光を浴びました。六六年に発表した『緑の家』により中南米文学を代表する最も優れた作家の一人としての地位を確立しました。八一年の長篇歴史小説『世界終末戦争』など重厚な作品のほか、近年は推理小説やポルノ小説風といった作風の広がりを感じさせる作品も発表しています。
 小社からは、作家を志す若者へ、実作者としての熱い思いを綴った、『若い小説家に宛てた手紙』(木村榮一訳)が刊行されています。

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。