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受賞作品
「トモスイ」 高樹のぶ子
「新潮」 平成21年4月号


受賞のコメント

これまで長編を多く書いてきて、一般的には長編作家と思われているのだろうと想像していたので、短編に与えられる本賞受賞は大変有り難く、また新しい世界が拓けたようにも感じました。受賞作は18枚です。SIAプロジェクトでタイ訪問後、朗読作品として書いたものです。SIA報告会では作品朗読に割ける時間が限られていて、ごく短い枚数の中に「聴くだけで伝わるリアルな世界」を出現させなくてはならず、毎回苦労しているうち、やわやわと条理を外す面白さに目覚めました。とはいえ言葉は条理ですから条理を使って条理を外す、この手加減のコワさと快楽。骨格確かなものと格闘してきた私が、背骨の無い生きものに吸い付く愉楽を知ったのは、こうした現実的な制約があったからですが、辿り着いたトモスイはなかなかの美味で、今後の創作の中で条理に疲れたとき、妖しくエロチックに、栄養補給をしてくれるような気がしています。選考委員の皆様に、あらためて感謝いたします。


〔高樹のぶ子氏略歴〕
昭和二十一年山口県生まれ。東京女子大学短大卒。昭和五十九年「光抱く友よ」で芥川賞、平成六年「蔦燃」で島清恋愛文学賞、平成七年「水脈」で女流文学賞、平成十一年「透光の樹」で谷崎潤一郎賞、平成十八年「HOKKAI」で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。

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