川端康成文学賞



最新情報

2010/05/06 第36回 川端康成文学賞受賞作品発表

川端康成文学賞




受賞作品


「トモスイ」 高樹のぶ子

「新潮」 平成21年4月号


受賞のコメント


 これまで長編を多く書いてきて、一般的には長編作家と思われているのだろうと想像していたので、短編に与えられる本賞受賞は大変有り難く、また新しい世界が拓けたようにも感じました。受賞作は18枚です。SIAプロジェクトでタイ訪問後、朗読作品として書いたものです。SIA報告会では作品朗読に割ける時間が限られていて、ごく短い枚数の中に「聴くだけで伝わるリアルな世界」を出現させなくてはならず、毎回苦労しているうち、やわやわと条理を外す面白さに目覚めました。とはいえ言葉は条理ですから条理を使って条理を外す、この手加減のコワさと快楽。骨格確かなものと格闘してきた私が、背骨の無い生きものに吸い付く愉楽を知ったのは、こうした現実的な制約があったからですが、辿り着いたトモスイはなかなかの美味で、今後の創作の中で条理に疲れたとき、妖しくエロチックに、栄養補給をしてくれるような気がしています。選考委員の皆様に、あらためて感謝いたします。


〔高樹のぶ子氏略歴〕
昭和二十一年山口県生まれ。東京女子大学短大卒。昭和五十九年「光抱く友よ」で芥川賞、平成六年「蔦燃」で島清恋愛文学賞、平成七年「水脈」で女流文学賞、平成十一年「透光の樹」で谷崎潤一郎賞、平成十八年「HOKKAI」で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。




候補作品


aer 川上弘美
トモスイ 高樹のぶ子
日本私昔話より じいさんと神託 藤谷治
すばらしい骨格の持ち主は 川上未映子
寄生 小川洋子
夏旅 金原ひとみ

選考委員


秋山駿 アキヤマ・シュン

1930年東京生れ。早大仏文科卒。1960年、評論「小林秀雄」で群像新人文学賞を受賞。1990年、『人生の検証』で伊藤整文学賞受賞。1996年刊行の『信長』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。他に、『舗石の思想』『知れざる炎―評伝中原中也―』など多くの著書がある。日本芸術院会員。



井上ひさし イノウエ・ヒサシ

(1934-2010)山形県生れ。上智大学文学部卒業。浅草フランス座で文芸部進行係を務めた後に「ひょっこりひょうたん島」の台本の共同執筆など放送作家としてスタートする。以後『道元の冒険』(岸田戯曲賞、芸術選奨新人賞)、『手鎖心中』(直木賞)、『吉里吉里人』(読売文学賞、日本SF大賞)、『腹鼓記』、『不忠臣蔵』(吉川英治文学賞)、『シャンハイムーン』(谷崎潤一郎賞)、『東京セブンローズ』(菊池寛賞)、『太鼓たたいて笛ふいて』(毎日芸術賞、鶴屋南北戯曲賞)など戯曲、小説、エッセイ等に幅広く活躍した。2004(平成16)年に文化功労者、2009年には日本藝術院賞恩賜賞を受賞した。1984年に劇団「こまつ座」を結成し、座付き作者として自作の上演活動を行った。



辻原登 ツジハラ・ノボル

1945年、和歌山県生まれ。1990年「村の名前」で芥川賞、1999年『翔べ麒麟』で読売文学賞、2000年『遊動亭円木』で谷崎潤一郎賞、2005年『枯葉の中の青い炎』で川端康成文学賞、2006年『花はさくら木』で大佛次郎賞を受賞。他の著書に『黒髪』『発熱』『約束よ』『ジャスミン』『夢からの手紙』『円朝芝居噺 夫婦幽霊』『許されざる者』など。



津島佑子 ツシマ・ユウコ

1947(昭和22)年、東京生れ。作家・太宰治の次女。白百合女子大学英文科卒。在学中より「文芸首都」「三田文学」に参加。『寵児』(1978年女流文学賞)、『光の領分』(1979年野間文芸新人賞)、『黙市』(1983年川端康成文学賞)、『夜の光に追われて』(1987年読売文学賞)など受賞作多数。1991年10月から翌年6月までパリ大学東洋語学校で日本文学を講義する。『謝肉祭』『大いなる夢よ、光よ』『かがやく水の時代』など多くの作品がある。



村田喜代子 ムラタ・キヨコ

1945年、福岡県北九州市八幡生まれ。1985年、自身のタイプ印刷による個人誌「発表」を創刊。1987年『鍋の中』で芥川賞を受賞。1990年『白い山』(文藝春秋刊)で女流文学賞を、1992年『真夜中の自転車』(文藝春秋刊)で平林たい子賞を、1998年『望潮』で川端康成賞を受賞した。『花野』(講談社刊)、『蕨野行』『蟹女』『龍秘御天歌』(文藝春秋刊)などの著書がある。



ページの先頭へ戻る