川端康成文学賞



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2011/05/06 第37回 川端康成文学賞受賞作品発表

川端康成文学賞




受賞作品


「異郷」 津村節子

「文學界」 平成22年1月号/講談社刊『遍路みち』所収


受賞のコメント


 尊敬する川端康成の名を冠した短篇小説に与えられるこの賞は、文壇の大家が受賞する賞であると思っていた。近年になって、ユニークで新鮮な才能溢れる若い女性作家が受賞するようになってきて、この賞に対する想いは遠のいていた。
 電話で、賞を受けるかどうかの問い合わせがあった時、一瞬聞き違えかと思ったほどで、有難くいただきます、と返事をしてからも暫くは信じ難い思いが残っていた。十五年間も同人雑誌に短篇を書き続けてきた者にとっては、憧れの賞だったのである。
「異郷」を書いたときは、夫の死後知りびとのいない町に行って暮したいと思いつめ、周囲に気を使うこともなく、煩瑣な問題もない住み心地のよい町が気に入り、これからもずっと誰とも交流せずに暮したい、と思っていた。今思えば、あれは黄泉の国であった。



〔津村節子氏略歴〕
一九二八年福井市生まれ。学習院短大卒業。五三年に吉村昭と結婚。六四年「さい果て」で新潮同人雑誌賞、六五年「玩具」で芥川賞、九〇年「流星雨」で女流文学賞、九八年「智恵子飛ぶ」で芸術選奨文部大臣賞を受賞。




候補作品


異郷 津村節子
変身の書架 奥泉光
うどん屋のジェンダー、またはコルネさん 津村記久子
ブーランジェリー 山田詠美
十時間 長嶋有
電話 中上紀

選考委員


秋山駿 アキヤマ・シュン

1930年東京生れ。早大仏文科卒。1960年、評論「小林秀雄」で群像新人文学賞を受賞。1990年、『人生の検証』で伊藤整文学賞受賞。1996年刊行の『信長』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。他に、『舗石の思想』『知れざる炎―評伝中原中也―』など多くの著書がある。日本芸術院会員。



辻原登 ツジハラ・ノボル

1945年、和歌山県生まれ。1990年「村の名前」で芥川賞、1999年『翔べ麒麟』で読売文学賞、2000年『遊動亭円木』で谷崎潤一郎賞、2005年『枯葉の中の青い炎』で川端康成文学賞、2006年『花はさくら木』で大佛次郎賞を受賞。他の著書に『黒髪』『発熱』『約束よ』『ジャスミン』『夢からの手紙』『円朝芝居噺 夫婦幽霊』『許されざる者』など。



津島佑子 ツシマ・ユウコ

1947(昭和22)年、東京生れ。作家・太宰治の次女。白百合女子大学英文科卒。在学中より「文芸首都」「三田文学」に参加。『寵児』(1978年女流文学賞)、『光の領分』(1979年野間文芸新人賞)、『黙市』(1983年川端康成文学賞)、『夜の光に追われて』(1987年読売文学賞)など受賞作多数。1991年10月から翌年6月までパリ大学東洋語学校で日本文学を講義する。『謝肉祭』『大いなる夢よ、光よ』『かがやく水の時代』など多くの作品がある。



堀江敏幸 ホリエ・トシユキ

1964(昭和39)年、岐阜県生れ。1999(平成11)年『おぱらばん』で三島由紀夫賞、2001年「熊の敷石」で芥川賞、2003年「スタンス・ドット」で川端康成文学賞、2004年同作収録の『雪沼とその周辺』で谷崎潤一郎賞、木山捷平文学賞、2006年『河岸忘日抄』、2010年『正弦曲線』で読売文学賞を受賞。おもな著書に、『郊外へ』『いつか王子駅で』『めぐらし屋』『バン・マリーへの手紙』『アイロンと朝の詩人―回送電車III―』『未見坂』『彼女のいる背表紙』『書かれる手』ほか。



村田喜代子 ムラタ・キヨコ

1945年、福岡県北九州市八幡生まれ。1985年、自身のタイプ印刷による個人誌「発表」を創刊。1987年『鍋の中』で芥川賞を受賞。1990年『白い山』(文藝春秋刊)で女流文学賞を、1992年『真夜中の自転車』(文藝春秋刊)で平林たい子賞を、1998年『望潮』で川端康成賞を受賞した。『花野』(講談社刊)、『蕨野行』『蟹女』『龍秘御天歌』(文藝春秋刊)などの著書がある。



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