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狂おしいまでに多感で孤独な少女の姿を繊細な筆致で描き上げた米女流作家の最高傑作! 村上春樹が新訳《村上柴田翻訳堂》シリーズ第一弾!

結婚式のメンバー

カーソン・マッカラーズ/著、村上春樹/訳

637円(税込)

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発売日:2016/04/01

読み仮名 ケッコンシキノメンバー
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-204202-1
C-CODE 0197
整理番号 む-6-1
ジャンル 文芸作品、評論・文学研究
定価 637円

この街を出て、永遠にどこかへ行ってしまいたい――むせかえるような緑色の夏、12歳の少女フランキーは兄の結婚式で人生が変わることを夢見た。南部の田舎町に暮らし、父や従弟、女料理人ベレニスとの日常に倦み、奇矯な行動に出るフランキー。狂おしいまでに多感で孤独な少女の心理を、繊細な文体で描き上げた女性作家の最高傑作を村上春樹が新訳。《村上柴田翻訳堂》シリーズ開始。

著者プロフィール

カーソン・マッカラーズ McCullers,Carson

(1917-1967)ジョージア州コロンブス生れ。アメリカの女性作家。南部の風土を舞台に社会に順応できない人々の孤独や少女の心理を精緻に描き、独自の小説世界をつくり出した。デビュー小説『心は孤独な狩人』(1940)や『結婚式のメンバー』(1946)は20世紀米文学の傑作と評される。中産階級出身で音楽的才能にも恵まれていた。長編・中編小説のほか、多くのエッセイ・戯曲を残している。

村上春樹 ムラカミ・ハルキ

1949(昭和24)年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1979年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ノルウェイの森』、『国境の南、太陽の西』、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』、『1Q84』(毎日出版文化賞)がある。『神の子どもたちはみな踊る』、『東京奇譚集』などの短編小説集、エッセイ集、紀行文、翻訳書など著書多数。海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、2009年エルサレム賞、2011年カタルーニャ国際賞、 2016年アンデルセン文学賞を受賞。

書評

大人にも子供にも属せない孤独を抱えて

角野栄子

 カーソン・マッカラーズの作品に出会ったのは、半世紀プラス十年も昔の事でした。大学の英文科の学生だった私は、『結婚式のメンバー』が入った作品集をたまたま手に入れ、未熟な英語力で、行ったり来たりしながら繰り返し読むうちに、登場する少女たちが、自分のことのように感じられ、卒論はこの作家について書いてみたい、と強く思いました。それに、まだだれも書いてない! 第一発見者のようなちょっとのぼせた気分でもありました。でも、本国での出版と同年、一九四〇年に、『心は孤独な狩人』が『話しかける彼等』というタイトルで、日本で出版されていたのです。訳者は、画家、中川一政氏の夫人、中川のぶ(本名は暢子)さんでした。
 その後まもなく海外暮らしに入ったこともあって、私はマッカラーズから長く離れていました。でも帰国後、映画『バスストップ』で、マリリン・モンローがマッカラーズの本を手にしていたのを見て、「とってもすごい作家なの。翻訳を出して」と出会う編集者に勧めたりしていました。この度、村上春樹氏の訳で再会を果たしました。素晴らしい解説付きです。待てばいいことがありました。
 マッカラーズの書く少女、『結婚式のメンバー』のフランキーと『心は孤独な狩人』のミックはともに十二歳です。ずいぶん年上だったにもかかわらず、当時の私は、彼女たちとどこかで息がふっと合ってしまったのです。自分の十二歳の頃を振り返ってみても、「変!」としか言いようのない、おかしな時期でした。「私、私」と主張したいのに、できない。かといって、簡単に自分を受け入れられるのも嫌……。
『結婚式のメンバー』のフランキーも、まさしくそんな季節の中にいます。身長は日々恐ろしいほど伸び続け、このままでは「フリークス館」の見世物になってしまいそう。大人にも子供にも属せない孤独を抱えて、焦げてしまいそうな暑い夏、出ることも入ることもできない街をさまようのです。ここではない何処かへ行かなくちゃ、という妄想にとりつかれ、内側から噴き出てくる訳のわからない情熱を抱えながら。
「結婚式に恋する人間がいるなんて話は初めて耳にしたよ」使用人のベレニスはフランキーに言います。でも、彼女にとって、兄の結婚式は、ここではない何処かへ向かうメンバーになるための重要な道だったのです。
 ストーリーは、さして大きく動くわけではありません。けれども、熱も、乾きも、光も、影も取り込んで、音楽を奏でるようにゆっくりとまわっていきます。聞こえたり聞こえなかったりする猿使いのオルガンの音を謎めいたアクセントにして……。数十年経って読み返しても、なんとも不思議な作品です。それでいて恐ろしいほどリアル。この感触をお伝えするには、もう十二歳のフランキーに出会ってもらうほかありません。

(かどの・えいこ 童話作家)
波 2016年6月号より

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