テンノヤキョクルテンノウミダイヨンブ
天の夜曲―流転の海 第四部―


宮本輝

運命の濁流の中、人は光と闇を見る。人間ドラマの最高峰『流転の海』シリーズ待望の新作!

昭和三一年春、妻子を富山に置き、松坂熊吾は単身、大阪に向かう。中古車事業発足のために奔走し、踊り子西条あけみに再会した夜、彼に生気が蘇った。だが彼女は顔に大火傷を負い、事業はやがて裏切りに遭う。還暦を前にして金策の泥沼に沈んだ熊吾は、妻を大阪に戻し、息子伸仁を北陸の地に一人残す覚悟を決めた。商人宿で過す別れの夜、傷ついた一家を、静かな鈴の如き音曲が包み込む……。

発行形態 : 書籍
判型 : 四六判変型
頁数 : 458ページ
ISBN : 978-4-10-332513-0
C-CODE : 0093
ジャンル : 小説
現代の小説(純文学)
発売日 : 2002/06/27

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あらすじ

宮本輝
ミヤモト・テル

1947(昭和22)年、兵庫県神戸市生れ。追手門学院大学文学部卒業。広告代理店勤務等を経て、1977年「泥の河」で太宰治賞を、翌年「螢川」で芥川賞を受賞。その後、結核のため二年ほどの療養生活を送るが、回復後、旺盛な執筆活動をすすめる。『道頓堀川』『錦繍』『青が散る』『流転の海』『優駿』(吉川英治文学賞)『約束の冬』『にぎやかな天地』『骸骨ビルの庭』等著書多数。

The Teru's Club / 宮本輝公式サイト


 昭和三十一年、富山で中古車部品販売の開業を目論む高瀬勇次に共同経営を誘われ、熊吾一家は富山に移った。台風で浸水して使い物にならなくなった消火ホース修繕用接着剤の廃棄処分による事業撤退、食中毒の濡れ衣による中華料理店の閉店が重なった。失意の転居であった。
 四年生になった伸仁は、高瀬家の三兄弟を子分に従え、富山弁も操るようになったものの、臨時担任のために心因性の発熱と蕁麻疹に悩まされる。
 房江は雪国の風土になじめず、折からの更年期による気鬱も相俟って、重い喘息の発作に苦しむ。
 鈍重な高瀬に見切りを付けた熊吾は、単身大阪へ戻り、関西中古車業会の設立と共同展示販売会の実現へと奔走する。
 一方、旧知のヌードダンサー森井博美が頭部を大火傷し、事故現場に居合わせた熊吾は治療に尽力する。秘蔵の名刀、関の孫六を海老原太一に土下座して換金するが、その一部は治療費に消える。
 全てを賭けて大勝負に出た熊吾だったが、頼みにしていた久保敏松が、集めた資金を持ち逃げしてしまっていた……。

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