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特集[城山三郎『そうか、もう君はいないのか』刊行記念]

波 2008年2月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/01/27

発売日 2008/01/27
JANコード 4910068230287
定価 105円(税込)


特集[城山三郎『そうか、もう君はいないのか』刊行記念]
児玉 清/静かに深く心にしみこむ、夫婦の絆
河瀬直美/共に生きる命への感謝

筒井康隆『ダンシング・ヴァニティ』
川口晴美/繰り返しの笑いと戦慄

あさのあつこ『ぬばたま』
瀧井朝世/恐怖の中に潜む、大きな赦し。

井口ひろみ『月のころはさらなり』
大森 望/現実をしっかりと見据える、“本物の小説”

竹内 真『ワンダー・ドッグ』
石黒謙吾/レモン水のような感覚がじわじわと

G・ガルシア=マルケス『予告された殺人の記録/十二の遍歴の物語』
木村榮一/少年の眼差し

リチャード・バック『フェレットの冒険』(I)・(II)
坂崎千春/今の自分に素直に響いてくる物語

梶原しげる『すべらない敬語』
梶原しげる/すべり続けた総理

松田美智子『越境者 松田優作』
森 達也/松田優作という巨大な触媒

泉 流星『エイリアンの地球ライフ―おとなの高機能自閉症/アスペルガー症候群―』
市川拓司/「同じだ!」

鈴木敏文『朝令暮改の発想―仕事の壁を突破する95の直言―』
野中郁次郎/日本が世界に発信する実践的経営書

野口悠紀雄『戦後日本経済史』
香西 泰/日本衰退の理由はなにか

吉岡幸雄『日本人の愛した色』
田中敦子/日本の色の語り部

養老孟司・宮崎 駿『虫眼とアニ眼』(新潮文庫)
加藤登紀子/巨匠と呼ばれる二人の少年

コラム
宮部みゆきアーリーコレクション刊行開始
とんぼの本編集部通信
考える人─小林秀雄賞受賞のふたりによる新連載
新潮文庫の海外エンターテインメント

連載
【新連載】桶谷秀昭/素人の読む『資本論』
佐藤寛子/グラビアアイドルのヨムヨム生活(6)
秋山 駿/忠臣蔵 第5回
池谷伊佐夫/古本つれづれ草 第8回
宮城谷昌光/古城の風景 第56回 韮山城
日高敏隆/猫の目草-「なぜ?」の「なぜ?」
花村萬月/百万遍 流転旋転 第14回
保阪正康/即位と崩御 第14回
西村 淳/身近な物で生き残れ! 第6回
松久 淳+田中 渉/あの夏を泳ぐ 天国の本屋 第5回
東 直子/薬屋のタバサ 第6回

・編集室だより ・新潮社の新刊案内

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、昨年三月に逝去した城山三郎さん。この一月に、亡き奥様への思いを綴った絶筆『そうか、もう君はいないのか』が刊行されました。表紙の写真の撮影場所は、城山さんの茅ヶ崎の仕事場。机の上に広げられているのは、『そうか、もう君はいないのか』の自筆の原稿です。もちろん、写真立ての中の写真は、若かりし頃のご夫妻。撮影のために、城山さんの仕事場にうかがったのは、昨年暮れのことでした。そこは、茅ヶ崎の海が一望できるマンションの一室で、迎えてくれた次女の紀子さんによると、冬晴れの日などは房総から伊豆まで見はるかすことができるという話でした。部屋は、生前に城山さんが使っていたままの姿で残されていました。窓際に置かれた一脚の椅子、デスクに広げられた書類や原稿、読みかけの本、愛用のペン。書棚には、文学青年だった若き日を偲ばせる現代詩や海外文学なども並んでいます。今にも城山さんが、「待たせたね」と言って外出先から戻ってくるのではないかと思うほどでした。この部屋で、どんな思いで亡き奥様との人生の日々を、振り返っていらしたのか――。巻頭の特集でも紹介した『そうか、もう君はいないのか』は、城山さんの万感の思いが凝縮した一冊です。生涯、海と空を愛した城山さん。その日も午前中の明るい日差しが書斎一杯に差し込んでいました。
◇『普通の家族がいちばん怖い』の刊行を記念して、著者の岩村暢子さんと気鋭の社会経済学者・松原隆一郎さんとの対談「幸せな家族って?」が、二月一日(金)一九時より東京・新宿の紀伊國屋ホールで開催されます。入場料は、全席指定で一〇〇〇円(税込み)。詳しくは、紀伊國屋ホール(03-3354-0141)にお問い合わせ下さい。
◇今月号より、桶谷秀昭氏の新連載「素人の読む『資本論』」が始まります。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。