本・雑誌・ウェブ
The Shincho
Monthly
August
2000
【表紙のことば】
『中村 未紀』 藤原新也
 この写真を撮った昨年、まだ彼女は中学三年だった。ひょうきん者で落ちつきがない。笑いはじめると笑い上戸のように止まらない。携帯電話中毒で、ひどい時には月に六万円もの請求がある。学校も不登校がちで、先生や親の言うことにはそっぽを向く。そんな彼女が一連の写真撮影のあと、とつぜん人が変わったようになった。ひょうきんな面はそのままだが、落ちつきが出てきた。笑い上戸も止まった。なにより携帯電話の使用量が極端に減って十分の一くらいになった。今年になって進学高校に受かった。狐につままれた思いである。


新潮8月号目次

生者へ 自伝・三六〇枚  丸山健二

  求めるのは真の自由! 史上最年少で芥川賞を受賞して34年。
  激しく燃える魂に導かれるまま、文壇の外部から小説の高峰
  に挑み続ける孤高の作家が自らの生の秘密を全て明かす!


水位  稲葉真弓

文鎮  川上弘美

◆短期集中連載第5回
笑いオオカミ  津島佑子

午後のパレット8
夢がたり    森内俊雄

◇発言◇
純粋テロルの夢  見沢知廉

◇Books in my life◇
本から離れられない  多田道太郎

◇新潮◇
小説と映像     篠田浩一郎
沖縄と「魂の原郷」 西谷修
論争の世紀     巽孝之

〈21世紀への対話8〉
自然と人工の両極  養老孟司 藤原新也
解剖学者と写真家が日本人の「身体」の今を語り尽くす白熱の時間

天は仰がず――小説家中上健次  福田和也

◇2000年文学の旅◇
『白鯨』の新訳  柴田元幸
富小路禎子 第五段――引つめ髪の女  高橋順子

◇本◇
福田和也『江藤淳という人』       桶谷秀昭
堀江敏幸『子午線を求めて』       饗庭孝男
又吉栄喜『陸蟹(おかがに)たちの行進』 清水良典
藤沢周『愛人』             城戸朱理

◇文芸時評◇ 曾根博義

◇連載◇
場所――第八回          三鷹下連雀  瀬戸内寂聴
郊外の文学誌(八)        川本三郎
東大講義「人間の現在」(三十六) 立花隆
雲の都(八)           加賀乙彦
秘事(十三)           河野多惠子
天の夜曲(十三)         宮本輝

新潮◆FORUM
Special   安岡章太郎氏の傘寿を祝う会
Garden   丸山健二氏の「白い庭」
Adieu    コミさん・ふらふら節
Memories  後藤明生氏を東京で偲ぶ
Books    大正文学全集刊行開

編集長から
第三十三回《新潮新人賞》応募規定
 

 
このホームページでは、月刊文芸雑誌「新潮」の内容紹介と記事の一部抜粋をご覧頂けます。「新潮」8月号は特別定価900円(税込)で全国書店にて発売中です。書店に在庫のない場合は、小社営業部読者係(電話03-3266-5111)までお問い合わせください。