新潮社

村上龍『MISSING 失われているもの』

{ 著者からのメッセージ }

短い「あとがき」ただし、連載

更新:2020年3月13日

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「小説っていったい何だろう」と思ったのは確かですが、じゃあ何なのか、という答がわかるわけもありません。当たり前ですが、書いているときは何も感じません。そのチャプターを書き終えて、考えたり、疑問を持ったりします。ただし、そういった考えや疑問は長続きしません。すぐに忘れます。とくに『半島を出よ』みたいな作品の場合は、とにかく前に進むことしか頭にないので、考えや疑問そのものが湧いてきません。
『MISSING』は、『半島を出よ』とは違いました。あまりに自分に近い小説だったので、戸惑いました。母のことが強く影響していると思います。母は、『69』を何度も繰り返し読んでいます。読んでいて楽しいのだそうです。『MISSING』は、たぶん読まないだろうと思います。いずれにせよ、存命中に、書き上げることができてよかったと思っています。

村上龍

(不定期更新)

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