第22回受賞作品
受賞の言葉
友近賞受賞

受賞の言葉
白状します。
小学校を卒業する頃、担任だった先生から「将来の夢はなにか」と訊かれました。もらったばかりだった卒業アルバムの中に「目指せ〇〇」といった形で、その夢を書いてくれようとしたのです。
そのとき咄嗟に「作家になりたい」とは言えなかったことを、今も覚えています。「作家になりたい」というのは「アイドルになりたい」ということと同じぐらい現実味がなくて恥ずかしいと思ったのです。
大人になってみて、あの頃の直感は正しく、作家になりたいというのはアイドルになりたいというのと同じぐらい現実味のない夢だったのだと分かります。
けれどもこのような賞に応募し、こうした賞まで頂いて、まだ「作家になりたいなんて思ってない」とは言えません。作家になりたい。作家になって自分が心震わせてきたような物語を書きたい。そんな気持ちを大人になった今も抱えている自分は、立派な子供おばさんです。
それに観念した今、一日でも早く一人の作家になれるよう、自分自身を精進させていきたいと思います。作品を読み選考して下さった編集部の皆様、WEBでお読み下さった読者の方々、ご講評して下さった選考委員の先生方、そして大切な一票を投じて下さった友近様に、心より感謝申し上げます。