大賞受賞
「自縄自縛の二乗」蛭田亜紗子

 
蛭田亜紗子(ひるた・あさこ)
1979年11月28日生まれ。札幌市出身・札幌市在住。広告会社勤務。好きな作家はトルーマン・カポーティ、安部公房、谷崎潤一郎ほか。好きな香りはローズマリー、フランキンスセンス、春の匂い、飼い猫の匂い。

受賞者対談
受賞の言葉
 ひとりで穴を掘っていたら、ただの闇だと思っていた穴の向こうから、ふいにひとの声が届きました。ひと知れず掘っていたはずの穴は、ある日突然別の地点につながって、向こう側にはちいさな光のようなものがひとつ、見えました。
 今回、私のつたない小説に大賞という素晴らしい賞を与えてくださり、本当にありがとうございます。作品を世に出す判断をしてくださった選考委員の先生方、そして新潮社の方々、そのほかこの賞にかかわる皆様方に、深く感謝をしております。
 小説を応募すれば、たとえ一次選考で落ちても確実にひとりは読んでくれる。最終選考に残れば、プロである選考委員の方々に選評をいただける。ひとりも読者を持たない私は、いつもそれを励みに書いてきました。

 私の小説を書くための筋肉は、まだまだ脆弱です。しかし、スタートのピストルが鳴り響いたからには、走り出さなければいけません。与えていただいたチャンスを最大限に生かすため、栄養を貪欲に取り込んで、すべてを血と肉に変えて走りたい。そしていつか立ち止まって足もとを見たときに、そこが目指していた地点であったならば、と思います。
 今後ともよろしくお願いいたします。