第2回R-18文学賞 受賞者対談
正木陶子×渡辺やよい

――受賞おめでとうございます。今年は、優秀賞の正木さんは堅めの会社にお勤めで、読者賞を受賞なさった渡辺さんは官能漫画家という両極端なお仕事ですが(笑)、どうしてR-18文学賞に応募しようと思われたんですか。

正木:以前に、コバルト文庫の文学賞の三次選考に残ったことがありまして、ちょっといい気になったんですね(笑)。で、また応募しようと思って、いろんな文学賞をネットで検索していたら、この賞を見つけたんです。枚数もあまり多くなかったし、これなら書けるかもしれないと思って応募しました。R-18文学賞はコバルト文庫には絶対にないジャンルだったので、それも書いてみるきっかけの一つでした。

渡辺:私は、一昨年、去年あたりに不況のあおりを食って、本業の漫画の依頼が少なくなって、ちょっと焦りまして。最初、フランス書院の長編小説募集に応募しようと、原稿を書いていたんですが、そうこうしているうちに漫画の仕事がまた忙しくなって、締め切りに間に合わなくなってしまったんです。それで他の官能小説の文学賞を探していたら、R-18文学賞にぶつかったんですね。私はずっとレディースコミックを描いてきたので、女性のための官能のほうが書けそうだと思いました。

――どのくらいの期間で書かれたのでしょうか。

正木:こんな感じの話にしようと思って書き始めてから、2週間くらいですね。最後は締め切りに間に合わせるためにちょっと焦りました。

渡辺:私は1日! 本業のほかに手のかかる子供がいるので、平日はまったく時間が取れないんです。夏休みが丸1日取れたとき、一気に書き上げました。3作応募したのですが、どれも1日で一気に書き上げました。

―― 子供の頃から、文学少女だったのでしょうか。なぜ小説を書こうと思われたんですか。

正木:学生時代はミステリーなどばかりで、まったく「文学」なんか読んだことなかったんですが、大学受験のちょっと前になって突如、「純文学を読もう!」と思い立ったんです。学校の図書館の棚の一番はじっこにあった文庫本を手にとったら、堀辰雄の本だったのですが、半分読んだところで挫折。全然、文学少女じゃありませんでした。コバルトに応募したのは、大賞を取った作品を読んだらラストシーンに救いがなくて、すごく悲しい気持ちにさせられたので、それなら私がさわやかな気持ちになるものを書こう! と思ったからです。「パートナー」もなるべく明るいラストにしようと思って書きました。

渡辺:正木さんとは正反対で、私は根っからの文学少女。いまは子供に読み聞かせるくらいしか本を読む時間がないのですが、子供の頃から辻邦生さんや、耽美小説が大好きで、高校時代『背教者ユリアヌス』を漫画にしてみたりしたくらいハマッていました。漫画から小説に移行しようと思ったきっかけは、歳のせいかな(笑)。漫画って、どうしても一人では描けなくて、何人かのアシスタントさんとの共同作業になるんです。いまはとてもいいアシさんが来てくれて非常に平和なんですが、一時期、いろいろあって人間関係に疲れてしまって、一人でやれる官能の仕事はないかと思って小説を書き始めたわけです。

――最終候補に残ったとき、どんなお気持ちでしたか。

正木:最終候補に残ったほかの作品を読んだときは、「しまった!」と思いました。もっと「そういうシーン」をたくさんにするべきだったのか、と。私はいわゆる官能小説というものを読んだことがなくて、さらりと書きすぎたような気がしたんです。

渡辺:私は、HPの最終候補に自分の名前を見つけてからも、読むと落ち込みそうだったので、他の作品は読みませんでしたね。実は、最終候補に残ったことを知ったのも、R-18のHPを見た友達から、「最終候補に、残ってるよ!」と言われたからなんです。応募してから、まったく何の連絡もなかったので、「ダメだったんだなぁ」と思って応募したことも忘れていたので、びっくりしました。

――それはすいません(笑)。受賞が決まるまで、ご連絡は差し上げないもので。受賞が決まったときは?

正木:受賞のメールをいただいたとき、「優秀賞ってなに? どういうこと?」と思って、あまり実感が湧きませんでした。うれしいんですが、なんとも言えない複雑な気持ちになりました。

渡辺:やったじゃん! という感じでしたね。漫画を描いているときも、常に読者に支持されるものを描きたいと思っているので、読者が投票してくれた結果の「読者賞」というのもうれしかったです。

――今後の抱負を聞かせてください。

正木:ヒマがあると小説のことを考えているので、チャンスをいただけるなら、どんどん書いていきたいです。実はこの3月で勤めを辞めて、もうすぐイギリスに留学する予定なのですが、留学先でも書きつづけたいと思っています。

渡辺:漫画の仕事と子育てもありますが、この受賞と前後して、他媒体で活字の仕事をいただいたので、どんな形にしろ書きつづけていきたいとは思っています。

――ぜひ、がんばってください! では最後に、次回の応募者に一言お願いします。

正木:次回は、一読者として安心して読めますし(笑)、とても楽しみにしています。がんばってください。

渡辺:これは自分の失敗なのですが、枚数はしっかり数えたほうがいいと思います。書式設定を間違えて、自分では50枚ぴったりに書いたつもりだったのに、実際はずいぶん少なかったんです。選考委員の山本文緒さんの選評で、もうちょっと長めに書いたらよかったのでは、との指摘があって、ショックを受けました。ですので、くれぐれも書式設定には、お気をつけて。それから、応募したら、HPはこまめにチェックしましょう(笑)! 

――ありがとうございました。