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謎のヒットに注目集まる 筒井康隆『旅のラゴス』が売れています!


 筒井康隆さんの『旅のラゴス』が売れています。これまでも売れていなかったわけではなく、1994年に新潮文庫版が刊行されて以来、息の長いロングセラーとして読まれ続けてきた作品です。ところが、最近の売れ方はレベルが違うのです。

 毎年3,000~4,000冊ぐらい売れていた本書の売れ行きが加速し始めたのは昨年の初めごろ。ちょうど活字を大きくしたタイミングでしたが、それだけでこれほどまでに売れるようになった例はありません。なんと、この1年あまりで10万部を超える大増刷となったのです。なぜこんなに売れているのでしょう? 実は、私たちにも分かりません。

 テレビで有名人が紹介したわけでも、新聞に大きな書評が掲載されたわけでもありません。特別なきっかけに思い当たるものはないのです。ただ、インターネットで検索してみると、いつしか「面白かった小説」といったテーマの「まとめサイト」でよく見かけるようになりました。たくさん平積みしてくれる書店さんも増えました。

 今では「面白かった」という評判を耳にしたり書店の平積みを見て手に取った人が、「本当に面白かった」とSNSなどで発信し、それがまた次の読者を呼び込む……という好循環が起きています。先日は日本経済新聞の「ベストセラーの裏側」でもこの現象が取り上げられました(4月15日付夕刊)。

 じわじわと注目が集まる『旅のラゴス』の謎のヒット。その理由はどこにあるのか、読んで想像してみてください。




旅のラゴス
筒井康隆

北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か? 異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。

ISBN:978-4-10-117131-9 発売日:1994/03/30

新潮文庫の100冊

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2015年04月22日   今月の1冊
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