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ミステリを更新し続ける作家・道尾秀介さんの『雷神』『風神の手』同時刊行!

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 ラスト1ページを読んだあとに再読すると作品に隠された真実が明らかになる『いけない』、読む順番によって720通りの物語が誕生する『N』、作中の二次元コードから再生する音が真相へと導いてくれる『きこえる』など、体験型ミステリを次々発表している道尾秀介さん。文庫最新刊の『雷神』『風神の手』も、その超絶技巧が冴えわたる長編ミステリです。

『雷神』は道尾さんのデビュー作『背の眼』にも通じる、因習残る山村を舞台にした作品です。雷が多いことで知られる新潟県の羽田上村出身の姉と弟が、忌まわしい過去に対峙する長編小説です。いくつもの謎が絡み合い、終盤は怒濤の謎解きと伏線回収の嵐! けれど、それを上回る衝撃がはしるのが最後の2行。あまりの驚愕に放心すること間違いなしの結末です。

『風神の手』は遺影専門の写真館・鏡影館を舞台にしたミステリ。撮影に訪れた母と娘。小学五年生の男子二人組。余命いくばくもない高齢女性......。幾多の嘘が見たこともない奇跡を呼び起こしてくれる、感涙のラストです。

 この二作、どちらともタイトルに「神」がつくことにお気づきでしょうか。2012年刊行の『龍神の雨』(新潮文庫)とあわせて、これらは「神三部作」とも言うべき三作となりました。「神」とは、運命なのか、偶然なのか、人知を超えた力なのか――。悲しい過去をもつ人々が数奇な巡り合わせに翻弄される衝撃のミステリを、ぜひ三冊合わせてお読みください。シリーズものではありませんので、どの「神」から手にとってもお楽しみいただけます。

 そして、「神三部作」は内容もさることながら、カバーにも謎が隠されています。ぜひ書店店頭で手にとり、さまざまな角度から見つめてみてください。

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2024年03月15日   今月の1冊
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