本作は、受賞作と同じ短編集。八篇がそれぞれに、短いながらも人生をたしかに描き切っていて、まるで長編を読んだかのような豊かな読後感を届けてくれます。短編で直木賞を受賞した荻原浩の、これがまさに真骨頂です。
実はこの作品、荻原作品のなかでも書店員さんの支持がひときわ熱く、注目されたきっかけも仙台のとある書店さんの応援でした。多くの本の中でも特に「応援したい!」という気持ちが掻き立てられるのは、この作品に登場する大人たちがみなひたむきだからでしょうか......大人になったからこそ流せる涙って、ありますよね。
「人生に二周目があればいいのに」の手書き帯と表紙の美しい観覧車が目印です。ぜひ書店に足を運んで、明日から通勤鞄のなかに携えてみてください。大変な日々の中で、頑張るあなたにやさしい力をくれるはずです。
新潮文庫にはディズニーリゾート関連本がいくつかあります。以下、順に紹介して参りましょう。
まずは、TDR研究会議『ディズニーリゾート150の秘密』です。TDR研究会議さんがガンガン雑学を集めた名著です。最初は『ディズニーランド101の謎』(TDL研究会議著)として、「新潮OH!文庫」で出たのですが、その後、「ディズニーシー」の雑学も増補して、表題の書名になりました。「東京ディズニーシーは実はアメリカのボツ企画だった/絶対に別の場所で同時出演しないミッキー驚異のスケジュール管理の真相」などなど、どうやって調べたのかちょっと怖いようなディープな雑学が満載の一冊です。
『ひと目で見分ける580種 散歩で出会う花 ポケット図鑑』より |
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春になりました。さまざまな色の花が咲き乱れ、きれいな鳥のさえずりが聞こえて来る季節です。
その場で開いてすぐ分かる、写真とイラスト満載の新潮文庫『ポケット図鑑』シリーズを手に、自然の中に飛び出してみてはいかがでしょうか。
身近な散歩で出会う花、野や里に咲く花、高山で見かける花、そして野鳥から身近な生き物まで何でも載っています。
自然との触れ合いが、いっそう楽しくなるでしょう。
「全国の書店員がいちばん売りたい本」を選ぶ「本屋大賞」。
昨年は和田竜さんの『村上海賊の娘』(小社刊)が選ばれ、大きな話題となりました。
本年度(第12回)は1月21日(水)にノミネート10作品が発表され、小社からは米澤穂信さんの『満願』と、柚木麻子さんの『本屋さんのダイアナ』の2作品が選ばれました。2015年本屋大賞は4月7日(火)に発表されます。
新潮文庫には、小川洋子『博士の愛した数式』(第1回大賞)をはじめ、恩田陸『夜のピクニック』(第2回大賞)や伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』(第5回大賞)などの本屋大賞受賞作品、さらに梨木香歩『家守綺譚』や三浦しをん『風が強く吹いている』、近藤史恵『サクリファイス』など上位10作品に選ばれたノミネート作品も数多くあります。
博士の愛した数式 小川洋子 [ぼくの記憶は80分しかもたない]博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた──記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。第1回本屋大賞受賞。 ISBN:978-4-10-121523-5 発売日:2005/11/27 |
重力ピエロ 伊坂幸太郎 兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。 ISBN:978-4-10-125023-6 発売日:2006/06/28 |
4TEEN 石田衣良 東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だって飛べるかもしれない――。友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受けとめて成長してゆく14歳の少年達を描いた爽快青春ストーリー。直木賞受賞作。 ISBN:978-4-10-125051-9 発売日:2005/11/27 |
12月、1月の2ヶ月にわたって展開される大型フェア「発表! いま読んで欲しい100年目の新潮文庫」が開催中です。
100年目の新潮文庫を彩る強力ラインナップを取り揃えて全国の書店さんで展開していますので、皆様のお越しをお待ちしています!
フェアでは21世紀に入ってからの新潮文庫発行部数ランキング1位~10位を発表しています。話題になった書名をこの機会に是非お求めください。
第10位 越谷オサム『陽だまりの彼女』
陽だまりの彼女 越谷オサム 幼馴染みと十年ぶりに再会した僕。かつて「学年有数のバカ」と呼ばれ冴えないイジメられっ子だった彼女は、モテ系の出来る女へと驚異の大変身を遂げていた。でも彼女、僕には計り知れない過去を抱えているようで──その秘密を知ったとき、恋は前代未聞のハッピーエンドへと走りはじめる! 誰かを好きになる素敵な瞬間と、同じくらいの切なさも、すべてつまった完全無欠の恋愛小説。 ISBN:978-4-10-135361-6 発売日:2011/05/30 |
第9位 道尾秀介『向日葵の咲かない夏』
向日葵の咲かない夏 道尾秀介 夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。 ISBN:978-4-10-135551-1 発売日:2008/07/29 |
第8位 太宰治『人間失格』
人間失格 太宰治 「恥の多い生涯を送って来ました」。そんな身もふたもない告白から男の手記は始まる。男は自分を偽り、ひとを欺き、取り返しようのない過ちを犯し、「失格」の判定を自らにくだす。でも、男が不在になると、彼を懐かしんで、ある女性は語るのだ。「とても素直で、よく気がきいて(中略)神様みたいないい子でした」と。ひとがひととして、ひとと生きる意味を問う、太宰治、捨て身の問題作。 ISBN:978-4-10-100605-5 発売日:1952/11/03 |