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特集[絲山秋子『ばかもの』刊行記念対談]

波 2008年10月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2008/09/27

発売日 2008/09/27
JANコード 4910068231086
定価 105円(税込)

特集[絲山秋子『ばかもの』刊行記念対談]
佐々木 敦×絲山秋子/短く不器用な、愛の言葉

本谷有希子『偏路』
榎本正樹/「ハートフル」こそ「グロテスク」

仁木英之『薄妃の恋 僕僕先生』
【インタビュー】仁木英之/広大な世界の一隅の愛おしい出来事

宇江佐真理『深川にゃんにゃん横丁』
梓澤 要/猫と人のユートピアは涙で満たされている

梶尾真治『穂足のチカラ』
坂木 司/善なる進化

立川談四楼『一回こっくり』
児玉 清/一世一代の人情噺

保坂和志『小説、世界の奏でる音楽』
【インタビュー】保坂和志/小説は遠くからやってきて、人を遠くまで連れてゆく。

高山文彦『孤児たちの城―ジョセフィン・ベーカーと囚われた13人―』
桐野夏生/高山文彦の、同一性を巡る長い失意の旅

森 功『ヤメ検―司法エリートが利欲に転ぶとき―』
佐木隆三/元「正義の味方」の無防備さ

佐藤卓己『輿論と世論―日本的民意の系譜学―』(新潮選書)
渡辺 靖/「輿論」再興へ向けた画期的論考

会田弘継『追跡・アメリカの思想家たち』(新潮選書)
吉崎達彦/保守主義者は愛国主義者ではない

山内昌之『歴史のなかの未来』(新潮選書)
阿川尚之/読む人

李明博『李明博自伝』(新潮文庫)
竹中平蔵/不屈の指導者のドラマティック人生

山下聖美『新書で入門 宮沢賢治のちから』(新潮新書)
山下聖美/「賢治伝説」ふたたび

ナンシー・ヒューストン『時のかさなり』(新潮クレスト・ブックス)
堀 茂樹/人間の自由が輝く世界

【刊行記念コラボレーション】『新 三河物語』×『古城の風景 5』
宮城谷昌光・原田維夫/『古城の風景』で巡る『新 三河物語』の舞台

小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞決定発表

コラム
とんぼの本編集部通信
新潮クレスト・ブックス創刊10周年によせて
「考える人」─堀江敏幸と歩くパリとその周辺
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
【新連載】松本健一/三島由紀夫と司馬遼太郎
宮城谷昌光/古城の風景 第64回 山中城
佐藤寛子/グラビアアイドルのヨムヨム生活(14)
鹿島 茂/パリの日本人 第8回
東 直子/薬屋のタバサ 第14回
桶谷秀昭/素人の読む『資本論』 第9回
花村萬月/百万遍 流転旋転 第22回
保阪正康/即位と崩御 第22回
田牧大和/三人小町の恋 ふたり拝み屋手控帖 第3回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、『白洲次郎と白洲正子―乱世に生きた二人―』(牧山桂子・青柳恵介・須藤孝光)が、九月十日に刊行された白洲次郎氏。一九二五年冬、英国・ケンブリッジ大学クレア・カレッジに留学中の白洲次郎は、親友とともに愛車ベントレー3Lを駆って欧州旅行に出ました。写真中央に写っているのは、その際のアルバムの見返し頁に記された自筆の旅のルート。※印は宿泊地を示しています。上の写真はアルバム内の一枚でスペインにて撮影されたもの。左上に写っているのはドライヴィング・キャップとゴーグル、右のネクタイはクレア・カレッジのスクール・タイです。(撮影・野中昭夫)
◇第七回小林秀雄賞(主催・財団法人新潮文芸振興会)が決定しました。この賞は、「対象は、日本語によって行われた言語表現作品一般とし、自由な精神と柔軟な知性に基づいて新しい世界像を呈示した作品に授与」されるものです。今回の受賞作は、多田富雄氏の『寡黙なる巨人』(集英社)。
 また、「ジャーナリスティックな視点から現代社会と深く切り結び、その構成・表現において文学的にも良質と認められる作品一篇に授与」される、第七回新潮ドキュメント賞(主催・財団法人新潮文芸振興会)は、長谷川まり子氏の『少女売買―インドに売られたネパールの少女たち―』(光文社)に決定しました。
 選評など詳しい選考の経過は、小林秀雄賞は、「考える人」秋号(十月四日発売)、新潮ドキュメント賞は、「新潮45」十月号(発売中)で、それぞれ御覧ください。
◇今月号より、松本健一氏の「三島由紀夫と司馬遼太郎」の連載が開始します。ご愛読の程、よろしくお願い致します。
◇日高敏隆氏の連載「猫の目草」は休載致します。
◇『時のかさなり』の著者ナンシー・ヒューストン氏が十月に来日、東京・京都で講演を行います。詳細が決まり次第、新潮社ウェブ・サイトにてお知らせします。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。