大船渡線(10)「廃線を求める声が相次いだ」朝日新聞

 親の代から購読している朝日新聞に「目が覚める」記事が載った。10月1日付け朝刊である。看過できないので、ここに紹介したい。
「新駅、街づくりの中核に」「被災JR線、移設合意」という見出し。仙石線や石巻線で沿線自治体とJRが内陸移転に合意したという記事。「目が覚めた」のは後段の部分。交通手段見直しを求める声もある――として「8月に開かれた岩手県大船渡線の復興計画策定委員会では、『JR線復旧の必要はない』と委員から廃線を求める声が相次いだ。
 廃線。地元ではすでに廃線が議論されているのだ。もしも大船渡線気仙沼~盛が廃線になれば、三陸の鉄道ネットワークが途切れ、三陸鉄道南リアス線(釜石~盛)が復旧しても、盲腸線になってしまう。復旧をめざしてあらゆる可能性を追究している三陸鉄道の真摯な姿とは好対照である。
 この記事に反応したのは私だけではなかった。原武史さんはツイッターで叫ぶようにつぶやいた。

「今日の朝日第二社会面の記事に異議あり。大船渡駅の乗車人員が46人しかいないことを根拠にあげ、地元はJR廃止を望んでいるとしているが、大船渡市の中心駅は隣の盛に移っている。乗車人員は328人で、気仙沼や久慈よりも多い。現地に足を運んで書いた記事とはとても思えない。」(10月1日)


大船渡湾に近く、商業地にある大船渡駅。津波で駅施設はほぼ全損した 撮影/編集部 5月28日

 まず驚いたのは、大船渡駅の乗車人員が46人(2010年度1日平均)であることだ。46人という乗車人数は五能線岩館、只見線会津宮下と同数である。にわかには信じられない数値だが、JR東日本の出している数値である。ただしこの数字だけを取り上げて、大船渡線を代表させるには無理がある。いや悪意さえ感じる。
 原さんも指摘しているように、隣の盛の乗車人員は328人である。大船渡駅周辺には商業施設が集中しているのに対し、盛駅周辺には大船渡市役所をはじめ、官公庁や大病院がある。
 JR東日本が発表している大船渡線の乗車人員を見てみると、気仙沼287人、陸前高田220人、小友102人、細浦80人で、乗車人員が発表されている駅の中でも、大船渡の人数が突出して少ない。この数値だけが一人歩きをしないよう微力ながら、釘を刺しておきたい。


盛駅駅舎。こちらは役所などがある地区。津波で停車中の車両が床下浸水したものの、駅施設に大きな損傷はなかった 撮影/編集部 5月2日


大船渡線 <投稿日:2011年10月03日>
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