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【新連載】佐伯一麦「還れぬ家」

新潮 2009年4月号

(毎月7日発行)

943円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2009/03/07

発売日 2009/03/07
JANコード 4910049010495
定価 943円(税込)

◆還れぬ家【新連載】/佐伯一麦
萎縮した脳が老父を変えたとき、血族の魂の棲む〈家〉は揺るぎ始めた。私小説作家の新たな挑戦!

◆学問【完結篇150枚】/山田詠美
思春期の〈性〉を光源に〈生〉が鮮やかに輝く。著者最大の主題が結実した新・代表作の終幕。

◆牛の眼/古井由吉

◆週末の葬儀/田中慎弥

◆パンと友だち/横田 創

◆ファントム、クォンタム(第六回)/東 浩紀

■はるばるここまで(150枚)/辻 仁成
引退した格闘家。親に棄てられた少年。アカシアの咲く函館で、ひと夏だけ寄り添った二つの魂。

◆◆アジアに浸る Soaked in Asia [第七回 タイ]◆◆
・ぼくと妻/女神 /カム・パカー
・トモスイ/高樹のぶ子

・男女を越えた第三の性=タイSIA/高樹のぶ子

■新潮
・谷岡ヤスジの天地人/平岡正明
・新約聖書の翻訳の話/田川建三
・朝蜘蛛/東 ゆみこ

◆第41回《新潮新人賞》応募規定

□追悼 ジョン・アップダイク/イアン・マキューアン

□二十五年かけて一冊の本を通読すること/坪内祐三
 ――エリアーデ・インタビュー集の翻訳刊行に寄せて

□新訳『ダブリナーズ』が奏でるジョイスフルな奇策(トリック)/柳瀬尚紀

□酷児(クイア)と怪胎(クイア)のあいだで/垂水千恵
 ――「台湾セクシュアル・マイノリティ文学シリーズ」刊行をめぐる経緯

■生き延びるためのアメリカ文学(十四)/都甲幸治
 アメリカに外はあるのか
  ――ジュディ・バドニッツ『素敵で大きいアメリカの赤ちゃん』

■四方田犬彦の月に吠える(十六)[文化月評]/四方田犬彦

■見えない音、聴こえない絵(62)/大竹伸朗

■本
・奥泉 光『神器 軍艦「橿原」殺人事件(上・下)』/鴻巣友季子
・小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ』/蜂飼 耳
・瀬川昌久+大谷能生『日本ジャズの誕生』/細川周平
・青木淳悟『このあいだ東京でね』/前田 塁

■連載
・幸福の森(十六)/加賀乙彦
・随想(四)/蓮實重彦
・残夢整理(四)/多田富雄
・母性のディストピア――ポスト戦後の想像力(六)/宇野常寛
・高畠素之の亡霊(十五)/佐藤 優
・明治の表象空間(三十三)/松浦寿輝

編集長から

「知的に贅沢な散文」
◎「早大生協の書店でタダでもらったリトル・マガジンに何と知的に贅沢な散文が載っているのだろうと、二十五歳の私は、わくわくしながら読んだ」。これは、宗教学者ミルチャ・エリアーデの『エリアーデ 自身を語る 迷宮の試煉』翻訳刊行に際し、坪内祐三氏に寄稿していただいた随筆「二十五年かけて一冊の本を通読すること」からの一節。〈リトル・マガジン〉とは他ならぬ「波」のことで、〈知的に贅沢な散文〉とは、大江健三郎氏が『エリアーデ 自身を語る』英語版を紹介した原稿だ。「新潮」はタダでもリトルでもないけれど、〈知的に贅沢な散文〉を読者に届けたい。そう願いつつ、上述の坪内氏随筆、I・マキューアンのJ・アップダイク追悼、柳瀬尚紀氏のジョイス『ダブリナーズ』新訳記、垂水千恵氏の台湾セクシュアル・マイノリティ文学紹介を掲載する◎佐伯一麦氏の新連載「還れぬ家」、山田詠美氏の「学問」連載完結など、小説も充実。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞