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楊 逸「すき・やき」(190枚)

新潮 2009年6月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2009/05/07

発売日 2009/05/07
JANコード 4910049010693
定価 特別定価996円(税込)

◆すき・やき(190枚)/楊 逸
高級牛鍋屋でバイト中の中国人留学生、虹智は21歳。初めての日本、初めての労働、初めての恋――。彼女の前で、世界のすべてが瑞々しい。

◆俺俺【新連載】/星野智幸
盗んだ携帯電話が震動するたび、世界はすこしずつ狂っていく。情報化時代の「俺」狂奏曲。

◆終の住処(110枚)/磯崎憲一郎
覚醒した眼差しで描かれた白昼夢としての世界。

◆掌中の針/古井由吉

◆『月』について、/金井美恵子

◆空のかなたの坊や/ニーナ・サドゥール  訳・解説 沼野恭子

◆キ/吉増剛造/セ/撮る撮られ/キ  /古川日出男

■第35回〈第二期第十回〉川端康成文学賞発表
・かけら/青山七恵

【選評】秋山 駿/井上ひさし/辻原 登/津島佑子/村田喜代子

■新潮
・七歳と二十二歳と/天埜裕文
・ツアー・パフォーマンスという演劇/高山 明
・高群逸枝をもう一度/丹野さきら

◆第42回《新潮新人賞》応募規定

◆第22回三島由紀夫賞候補作品発表

■ 対話 ■
・いのちのふるまいを記述する方法/川上弘美+福岡伸一
・とりとめなく文学的な午後のおしゃべり/清水 徹+絲山秋子
・近代知識人の教養と使命/松浦寿輝+苅部 直

【大型企画】日本小説技術史 第四回/渡部直己

■生き延びるためのアメリカ文学(十六)/都甲幸治
 名前をめぐる冒険――コルソン・ホワイトヘッド『エイペックスは傷隠す』

■四方田犬彦の月に吠える(十八)[文化月評]/四方田犬彦

■見えない音、聴こえない絵(64)/大竹伸朗

■本
・中上 紀『海の宮』/青山真治
・津島佑子『電気馬』/安藤礼二
・島田雅彦『小説作法ABC』/谷崎由依
・中村文則『何もかも憂鬱な夜に』/田中弥生
・川勝正幸『丘の上のパンク――時代をエディットする男・藤原ヒロシ半生記』/横田 創

■連載
・還れぬ家(三)/佐伯一麦
・幸福の森(十八)/加賀乙彦
・随想(六)/蓮實重彦
・残夢整理(六)/多田富雄
・母性のディストピア――ポスト戦後の想像力(八)/宇野常寛
・高畠素之の亡霊(十七)/佐藤 優
・明治の表象空間(三十五)/松浦寿輝

編集長から

楊逸「すき・やき」
◎哲学者カント曰く「笑いは、緊張した期待が突然無に転化することから生じる情緒である」。ならば、中国人女性・虹智を主人公にした楊逸氏「すき・やき」(190枚)を充たす可笑しみとは、異国の地で21歳の留学生が味わう緊張と期待と溜息の小気味よい連続がもたらすものではないか。高級牛鍋屋で接客バイトをすることになった虹智は、のっけから和服の着付けに悪戦苦闘し、布と紐で全身を縛り付けられながら、祖国の父が大量の長ネギを紐で束ねる姿を思い出し、思わず嘆息するだろう。同居する姉とその日本人配偶者、虹智に思いを寄せる韓国人留学生、虹智を誘惑する牛鍋屋店長、そして訳ありの客たちと触れ合う主人公の日々は、まさに具材たっぷりのすき焼き鍋だ◎星野智幸氏の新連載「俺俺」の主人公は、軽はずみなオレオレ詐欺を働いたかに見えて、たちまち「俺」自身の分裂劇に巻き込まれる。氏の新たな代表作となる予感がする。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞