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古川日出男「冬」(170枚)

新潮 2010年7月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2010/06/07

発売日 2010/06/07
JANコード 4910049010709
定価 特別定価996円(税込)

◆冬(170枚)/古川日出男
青年は愛する老犬を道連れに長い旅に出る。京都へ。その地下世界へ、境界域へ。稀代のヴィジョナリーが放つ想像力の最前線。

◆ザ・キャラクター(戯曲)/野田秀樹
東京の書道教室に立ち上がるギリシア神話の「時間」。信じる思いは狂信に変わり、集団は変容する。目くるめく野田ワールド最新作。

◆昭和以降に恋愛はない(12の詩篇)/大江麻衣
 書かれるべき詩/高橋源一郎

[特集]101年目の遠野物語
日本民俗学の開拓者・柳田國男が岩手県遠野地方の民間伝承を編んだ『遠野物語』。その奇跡の書へのオマージュと批評。

[創作・遠野物語異聞]
◆山の人生/村田喜代子
◆桑の木の下で/皆川博子
◆手紙/日和聡子

◆『遠野物語』の百年/安藤礼二
◆『遠野物語』と文学者たち/岡谷公二
◆『遠野物語』と心理療法――異界と日常、ネットとリアル/岩宮恵子

◆第43回《新潮新人賞》応募規定

■第23回三島由紀夫賞発表
【受賞作】クォンタム・ファミリーズ(一部掲載)/東 浩紀
【選評】辻原 登/川上弘美/町田 康/小川洋子/平野啓一郎
【記念エッセイ】現実はなぜひとつなのだろう/東 浩紀

[討議]
◆東浩紀の11年間と哲学 『クォンタム・ファミリーズ』から『存在論的、郵便的』へ
 /東 浩紀+國分功一郎+千葉雅也

[対話]なんか知りたい、この世の秘密を/よしもとばなな+飴屋法水

◆ノルウェーの森/四方田犬彦

□追悼・多田富雄
 遺文『残夢整理』と盟友への追悼/加賀乙彦

■アメリカスケッチ2.0 ウェブと文化の未来を考える/池田純一
 第三回 ベルトウェイと遍在化するウェブ

■島尾敏雄 終戦後日記(十一) 昭和二十五年一月一日――十二月三十一日

■生き延びるためのアメリカ文学(二十八)/都甲幸治
 心の揺れを捉える――チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『なにかが首のまわりに』

■見えない音、聴こえない絵(七十七)/大竹伸朗

■新潮
・ユング『赤の書』の意味と時代性/河合俊雄
・太宰を“映像”で読んでみた/長嶋甲兵
・パンティストッキングで背中を/天埜裕文

■本
・福嶋亮大『神話が考える ネットワーク社会の文化論』/宇野常寛
・M・フーコー『カントの人間学』/國分功一郎
・野崎 歓『異邦の香り ネルヴァル『東方紀行』論』/谷崎由依
・辻原 登『闇の奥』/沼野充義

■連載
・爛(四)/瀬戸内寂聴
・空に梯子(六)/角田光代
・マザーズ(七)/金原ひとみ
・フィルムノワール/黒色影片(七)/矢作俊彦
・慈雨の音(十)/宮本 輝
・還れぬ家(十六)/佐伯一麦
・幸福の森(三十一)/加賀乙彦
・明治の表象空間(四十五)/松浦寿輝

編集長から

終わらない旅
 先月号の大型企画「文學アジア3×2×4」は、文学が沸き立つように生起する場を日本の外部に求めた小誌なりの〈旅〉だった。だがそれは、内部を未知の外部として再発見するための旅でもある。そう、今月号の誌面には小説・批評・戯曲・詩という文芸の全領域から、生まれたばかりの言葉が殺到している。話題の書下ろし長篇『MUSIC』刊行直後の古川日出男氏は早くも「冬」(170枚)を発表。野田秀樹氏の最新戯曲「ザ・キャラクター」(上演6月20日~)は表現者としての氏の絶頂期をさらに更新。特集「101年目の遠野物語」では、私達の想像力にとってインスピレーションの源泉であり続ける柳田國男の偉業を創作と批評の両面から見つめ直す。他に、ライフワーク『王国』四部作を完結させたよしもとばなな氏と演出家・美術家の飴屋法水氏の対話、超大型シンポジウム「東浩紀の11年間と哲学」等。文芸誌の旅が終わることはない。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞