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よしもとばなな「どんぐり姉妹」(180枚)

新潮 2010年8月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2010/07/07

発売日 2010/07/07
JANコード 4910049010808
定価 特別定価996円(税込)

◆どんぐり姉妹(180枚)/よしもとばなな
全部がここにあるんだ、なにもしなくても――。ネット上にしか存在しない姉妹が、広大な意識と情報の海のなかで触れた〈ウェブ時代の真実〉。

◆デカルコマニア〈短期集中連載・I〉/長野まゆみ
その古書に中世の活字で綴られていたのは、23世紀を生きる一族の物語。電子書籍ゼロ年に放たれた、物語の未来。

◆陰雲晴れぬ/西村賢太

◆真珠譚/諏訪哲史

◆火ごもり/稲葉真弓

◆島尾敏雄 終戦後日記(最終回)昭和二十六年一月一日―十二月二十九日
解説・「一九四九年八月十二日。夏が逃げて行く。借金。」/鈴木直子

■連載小説
・空に梯子(七)/角田光代
・マザーズ(八)/金原ひとみ
・フィルムノワール/黒色影片(八)/矢作俊彦
・慈雨の音(十一)/宮本 輝
・ネバーランド(十六)[連載完結]/藤野千夜
・還れぬ家(十七)/佐伯一麦
・幸福の森(三十二)/加賀乙彦

◆第43回《新潮新人賞》応募規定

■ 対話 ■ 言葉は不思議/谷川俊太郎+多和田葉子

■ 対話 ■ 映画の全盛期は動乱の後にくる/四方田犬彦+青山真治

■俺(おれ)が俺(おまえ)で俺(おまえ)が俺(おれ)で。/前田 塁
 ――星野智幸『俺俺』をめぐる独白(ダイアローグ)

■裁かれた虚空――高村薫とドストエフスキー/亀山郁夫

■自走する悪しき建築/椹木野衣
 シェイプ・フォルム・カオス――再生なき破滅*ラウンジ論

■反イルカ猟映画『ザ・コーヴ』と「正義」/想田和弘

■世の見方の始まり(十一)――佐藤春夫・水/池内 紀

■新潮
・舞台の原理、その一(チェルフィッチュの教え)/岡崎乾二郎
・遠い読者/田中慎弥
・主人公ちゃん・キル・ミー/最果タヒ
・小学生がラップを書いたらどうなるか?/柴 幸男

■本
・島本理生『あられもない祈り』/田中弥生
・ロベルト・ボラーニョ『野生の探偵たち(上・下)』/豊崎由美
・福永 信『星座から見た地球』/中村佳子
・田中慎弥『実験』/蜂飼 耳
・高橋源一郎『「悪」と戦う』/平野啓一郎

■連載評論・エッセイ
・アメリカスケッチ2.0 ウェブと文化の未来を考える(四)/池田純一
・屋根裏プラハ(十一)/田中長徳
・生き延びるためのアメリカ文学(二十九)/都甲幸治
・明治の表象空間(四十六)/松浦寿輝
・見えない音、聴こえない絵(七十八)/大竹伸朗

編集長から

リアル・ウェブ・夢・死
◎世界は風・火・土・水の四元素で構成されると古代ギリシャ人は考えた。ならば、現代世界は、リアル・ウェブ・夢・死(性)の四要素からなるのではないか? よしもとばなな氏の最新作「どんぐり姉妹」(180枚)を読みながら、そのようなことを思った。主人公の姉妹は、顔の見えないネット投稿者にささやかな癒しを与えるウェブサイトを運営している。彼女たちのもとへ、屈託を抱えた現代人の心の声が日々寄せられるだろう。もちろん姉妹は、ただ他者を癒すだけではなく、自らも過酷な過去と不透明な未来の狭間でリアルな世界を懸命に生きている。笑い、泣き、夢を見て、死や性に直面する。この中篇小説が鮮やかに捉えたのは、「莫大な情報の中にぽつんと浮いている自分のはかなさ」と真摯に向き合う二〇一〇年代の人間精神だ◎谷川俊太郎氏と多和田葉子氏(初対談)、四方田犬彦氏と青山真治氏による対話二篇は実にスリリング。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞