ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:新潮 > 雑誌詳細:新潮 2010年10月号

【新発見】福永武彦戦後日記

新潮 2010年10月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2010/09/07

発売日 2010/09/07
JANコード 4910049011003
定価 特別定価996円(税込)

◆祖母の退化論(130枚)――雪の練習生 第一部――/多和田葉子
巨大な雪野原の白紙と向き合い、自伝を書く〈わたし〉。遥かなる幼年期の記憶が呼び覚ます、白い毛皮を纏った三世代の物語。

◆表に出ろいっ!(戯曲)/野田秀樹
滅び行く世界の中の滅び行く家族。出口はどこに? 「ザ・キャラクター」と対を成す戦慄のコメディ。

百貨店残影/諏訪哲史

デカルコマニア〈短期集中連載・III〉/長野まゆみ

◆◆アジアに浸る Soaked in Asia [最終回(第十回)インドネシア]◆◆
・時を彫る男/オカ・ルスミニ
・芳香(ハルム)日記/高樹のぶ子
・苔むす文化の寛容さ=インドネシアSIA/高樹のぶ子

■連載小説
・空に梯子(九)/角田光代
・フィルムノワール/黒色影片(十)/矢作俊彦
・慈雨の音(十二)/宮本 輝
・還れぬ家(十九)/佐伯一麦
・幸福の森(三十四)/加賀乙彦

◆第9回《小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞》発表

◆第42回《新潮新人賞》予選通過作品発表

◆第43回《新潮新人賞》応募規定

◆◆新発見◆◆ 福永武彦戦後日記
終戦直後、武彦は文学の志と病魔の間に実存を引き裂かれ、妻・澄子は生活の窮状から精神の平衡を失す。長男・池澤夏樹の手で蘇る、若き文学者の凄絶な内省。
・出会いから日記まで/鈴木和子

・福永日記のこと/池澤夏樹

■ 特別対談 ■
書くことと生きることは同じじゃないか/吉本隆明+よしもとばなな

◆村上春樹における解離と超越〈短期集中連載〉/河合俊雄
第一回・ポストモダンの意識

◆〈やつし〉と〈もどき〉/磯崎 新
フレドリック・ジェイムソンの『建築における「日本的なもの」』書評に応える

◆Gozo(よろこび)の庭/朝吹真理子

■新潮
・ツイッター小説/星野智幸
・『西洋古典学事典』を編んで/松原國師
・私は道楽者である/広小路尚祈

■本
・舞城王太郎『獣の樹』/岩宮恵子
・奥泉 光『シューマンの指』/大野ゆり子
・辻 邦生・北 杜夫『若き日の友情――辻邦生・北杜夫往復書簡』/鹿島 茂
・長野まゆみ『野川』/鹿島田真希
・中村文則『悪と仮面のルール』/亀山郁夫
・橋本 治『リア家の人々』/小池昌代
・加藤幸子『〈島〉に戦争が来た』/日和聡子

■連載評論・エッセイ
・アメリカスケッチ2.0 ウェブと文化の未来を考える(六)/池田純一
・屋根裏プラハ(十三)/田中長徳
・生き延びるためのアメリカ文学(三十一)/都甲幸治
・明治の表象空間(四十八)/松浦寿輝
・見えない音、聴こえない絵(八十)/大竹伸朗

編集長から

新発見
『福永武彦戦後日記』
◎新発見『福永武彦戦後日記』を公開する。日本敗戦の年(福永氏27歳)より3年間、断続的に綴られた日記の衝撃と意義は、長男・池澤夏樹氏の以下の言葉が十二分に証しているだろう。「一読して、これが福永武彦という文学者のなりたちを解く上で重要な文書であることはすぐにわかった。武彦にとってはまこと波瀾に満ちた混乱の時期であり、彼の苦悩、妻である澄子の懊悩、病気と貧困、混乱の時代相……」(「福永日記のこと」)。戦後を代表する文学者の精神の記録は一級の〈文学作品〉と呼ぶに相応しい。「過去を思ひ未来を思ふ。生と死、愛と犠牲を思ふ。晴夜尚寒し。今宵も亦眠られざるべし」(47年6月30日)◎多和田葉子氏の「祖母の退化論」(130枚)は三部構成の長篇『雪の練習生』第一部。動物および動物としての人間たちが織り成す作品世界の独創性とスケールに、読者は悦ばしい眩暈を覚えることだろう。三号連続でお届けする。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞