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第42回新潮新人賞発表

新潮 2010年11月号

(毎月7日発行)

特別定価1,047円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2010/10/07

発売日 2010/10/07
JANコード 4910049011102
定価 特別定価1,047円(税込)

◆第42回新潮新人賞発表◆
【受賞作】工場/小山田浩子
超巨大工場の謎の労働、奇妙な生物。カフカ+マジックリアリズム!?
仕事と自分の間の深いみぞ【インタビュー】

【受賞作】ののの/太田靖久
生者を連れ去る川。怪鳥の棲む白い本の山。決壊寸前の世界の物語。
僕の小説を読まない人のために【インタビュー】

【選評】浅田 彰 桐野夏生 福田和也 町田 康 松浦理英子

死の接吻(160枚)――雪の練習生 第二部――/多和田葉子
わたしたちは同じ夢を見ていた。諸言語が溶けあい、凍りついて海に浮かぶ、あの場所で。

分身/藤沢 周

電話/中上 紀

落ちぶれて袖に涙のふりかかる/西村賢太

デカルコマニア〈短期集中連載・IV(完結篇)〉/長野まゆみ

■連載小説
・爛(六)/瀬戸内寂聴
・マザーズ(十)/金原ひとみ
・空に梯子(十)/角田光代
・フィルムノワール/黒色影片(十一)/矢作俊彦
・慈雨の音(十三)/宮本 輝
・還れぬ家(二十)/佐伯一麦
・幸福の森(三十五)/加賀乙彦

第43回《新潮新人賞》応募規定

第18回萩原朔太郎賞発表
【受賞作】コルカタ/小池昌代
【選評】入沢康夫 岡井 隆 白石かずこ 高橋源一郎 平田俊子

■ 対談 ■
ミランダ・ジュライ――「みんな」の声が物語に/岸本佐知子+山崎まどか

■追悼 三浦哲郎
・三浦哲郎さんを送る/秋山 駿
・ひたすらに書き続けた一生/高井有一

暁の鐘(冒頭部)【遺稿】/三浦哲郎

村上春樹における解離と超越〈短期集中連載〉/河合俊雄
第二回・聖なる愛と人間の愛

世の見方の始まり(最終回)――山本周五郎・路地/池内 紀

■新潮
・溺れそうな気持ち/宮地尚子
・透明人間、翻訳を語る/マイケル・エメリック
・つむり脂/鶴川健吉

■本
・小川洋子『原稿零枚日記』/青山七恵
・綿矢りさ『勝手にふるえてろ』/安藤礼二
・島尾敏雄『島尾敏雄日記 『死の棘』までの日々』/大和田俊之
・ミランダ・ジュライ『いちばんここに似合う人』/福永 信
・多和田葉子『尼僧とキューピッドの弓』/松永美穂
・蓮實重彦『随想』/山根貞男

■連載評論・エッセイ
・アメリカスケッチ2.0 ウェブと文化の未来を考える(七)/池田純一
・屋根裏プラハ(十四)/田中長徳
・生き延びるためのアメリカ文学(三十二)/都甲幸治
・明治の表象空間(四十九)/松浦寿輝
・見えない音、聴こえない絵(八十一)/大竹伸朗

編集長から

「新しい」文学
◎第42回新潮新人賞が小山田浩子氏(26歳)の「工場」と太田靖久氏(34歳)の「ののの」に決定した◎二千作超の応募作が数段階の予備選考により五篇に絞られ、選考委員五名に届けられた。二篇が評価を集めたが、すんなりと同時受賞が決まったわけではない。選考とはもっとも優れた作品を決めることなのだ。一方を推す委員は、その長所や作者の可能性を主張し、時に厳しく対抗作の欠点を指摘する。自らとは異なる判断に反論し、同時に、深く耳を傾ける。充実した討議の結果、選考会が到達した結論は、妥協とは無縁の、いわば賭け金を二倍に引き上げることだったのだ◎だが、興味深いことに、あらためて受賞作二篇を読むと、差異以上に共通点が感じられる。労働からの根深い疎外感。都市に棲息する異形の生物。印刷物への徴候的なこだわり。新人が無条件に「新しい」とは限るまい。だが、新しい文学が生まれるならば、それは今だ、と思えてならない。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞