ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:新潮 > 雑誌詳細:新潮 2011年2月号

古川日出男「疾風怒濤」(210枚)

新潮 2011年2月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2011/01/07

発売日 2011/01/07
JANコード 4910049010211
定価 特別定価996円(税込)

疾風怒濤(210枚)/古川日出男
果てなく続く性交。蛇を殺す少年。鳴り響くバッハ。前世を売る教団。全ては春の京都に在る。新しい想像力による未知の小説世界。

我が異邦(120枚)/藤谷 治
日本中が恐怖に慄いた1995年、私はアメリカで独り暮らしていた。あの一晩を除いては――。

お上がりなされ[新連作短篇「遊女考」]/村田喜代子
遊女とはいったい何なのか? 一枚のゴザの上から始まり、女の聖性の起源に迫る新連作!

あめりかむら(100枚)/石田 千
亡き友の声が不意によみがえる。旅先の大阪で“異変”を感じた女の身と心。その危機と再生。

腐泥の果実/西村賢太

甘露経/諏訪哲史

枯草熱/谷崎由依

僕もあの娘とハイタッチがしたい/喜多ふあり

■連載小説
・マザーズ(十三)/金原ひとみ
・空に梯子(十三)/角田光代
・フィルムノワール/黒色影片(十四)/矢作俊彦
・慈雨の音(十五)/宮本 輝
・還れぬ家(二十二)/佐伯一麦
・幸福の森(三十八)/加賀乙彦

【新連載】往復書簡 再会と別離/四方田犬彦+石井睦美
23年ぶりに再会した映画史家と児童文学者が、50代半ばとなり、人生において避け得ない「別離」「和解」「死別」を考え抜く。魂の告白と交歓。

批評時空間/佐々木 敦
第二回・歴史について

正岡子規(二)/ドナルド・キーン  角地幸男/訳

アメリカスケッチ2.0 ウェブと文化の未来を考える/池田純一
第九回 シカゴから始まるアメリカ

屋根裏プラハ(十六)/田中長徳

生き延びるためのアメリカ文学(三十五)/都甲幸治

見えない音、聴こえない絵(八十三)/大竹伸朗

■新潮
・トーマス・マンの『夢のコンサート』/飯吉光夫
・東尋坊に愛された彼は/島本理生
・天命反転住宅と闘った記憶/鹿島田真希

■本
・江國香織『抱擁、あるいはライスには塩を』/栗田有起
・藤野千夜『ネバーランド』/東 直子
・宮内勝典『魔王の愛』/星野智幸
・平野啓一郎『かたちだけの愛』/前田 塁
・萩野正昭『電子書籍奮戦記』/渡邉裕之


◆第43回《新潮新人賞》応募規定

編集長から

疾風怒濤
◎文学者の生み出したテキストが編集・印刷・流通を経て、読者に届く。この過程の総体はひとつの「環境」であり、紙の本か電子書籍かという以前に、文学環境の電子化はとどまることがない。たとえばツイッター。書き手と読者が直接交流し、読者の文学体験が140字以内のツイートの連鎖で別の読者達に波のように広がっていく。小誌においても、既にツイッターは読者と文学体験を相互的に交換し、新しい誌面を構想するために不可欠な存在となっている。18世紀後半のドイツで新しい文学運動に与えられた言葉に倣うなら、今を生きる文学者も読者も文芸誌も新たな「疾風怒濤(Sturm und Drang)」の時代に生きているのだ◎本号の巻頭作は古川日出男氏「疾風怒濤」(210枚)。著者が発見した新しい想像力により生み出され、読者に未知の想像力を体験させる野心作だ。2011年、小誌は文学の疾風怒濤を全誌面で表現したい。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞