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柄谷行人「哲学の起源」(新連載)

新潮 2011年7月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2011/06/07

発売日 2011/06/07
JANコード 4910049010716
定価 特別定価996円(税込)

[新連載]哲学の起源(第一回)/柄谷行人
国家や共同体に回収されない思想はいかに可能なのか? 「交換様式D」は宗教という形でしか生成しえないのか? 古代イオニア諸都市に哲学の「起源」を発見する画期的論考。

不愉快な本の続編[中篇](160枚)/絲山秋子
趣味は金貸し。職業はヒモ。特技は嘘。性癖は変態。不穏な男は東京から新潟、富山、呉へと彷徨い続ける。時間と言葉が陽光に燃え尽きる瞬間に向けて。21世紀の『異邦人』!

馬たちよ、それでも光は無垢で[長篇](200枚)/古川日出男
行け。お前が被曝しろ。ただ、見ろ。私は福島県の中通りに生まれた。私は浜通りに行かなければならない――。創造と行動が未知の融合を果たす。『聖家族』外伝あるいは新生。

犬/稲葉真弓

さまよう/助けになる
/ブライアン・エヴンソン  柴田元幸/訳

◆第44回《新潮新人賞》応募規定

■第24回三島由紀夫賞発表
【受賞作】こちらあみ子(一部掲載)/今村夏子
【選評】辻原 登/川上弘美/町田 康/小川洋子/平野啓一郎
◆受賞記念エッセイ/インタビュー  今村夏子

■ 特別対談 ■
現実を変容させるフィクション/星野智幸+岡田利規

■福永武彦 「一九四九年日記」の発見についての報告/池澤夏樹

■夜露死苦現代詩2.0 ヒップホップの詩人たち/都築響一
 第二回・となりにはJOKERが座っていたんだ――B.I.G. JOE

■往復書簡[連載完結] 再会と別離(第六回)/四方田犬彦+石井睦美

■正岡子規(七)/ドナルド・キーン  角地幸男/訳

■批評時空間 第七回・風景について(その2)/佐々木 敦

■アメリカスケッチ2.0 ウェブと文化の未来を考える/池田純一
 第十四回 情報的想像力からエネルギー的想像力へ

■屋根裏プラハ(二十)[連載完結]/田中長徳

■生き延びるためのアメリカ文学(四十)[連載完結]/都甲幸治
 時計としての身体――ポール・ハーディング『修繕屋』

■見えない音、聴こえない絵(八十七)/大竹伸朗

■新潮
・醜文の弊害/西村賢太
・本来いるべき場所――映画『デンデラ』のこと/天願大介
・『本を生みだす力』が生まれるまで/佐藤郁哉

■本
・大和田俊之『アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで』/大谷能生
・ピエル・パオロ・パゾリーニ『パゾリーニ詩集』/小池昌代
・長野まゆみ『デカルコマニア』/小泉義之
・池澤夏樹
 『池澤夏樹の世界文学リミックス』
 『完全版 池澤夏樹の世界文学リミックス』/谷崎由依


■連載小説
・空に梯子(十八)[連載完結]/角田光代
・フィルムノワール/黒色影片(十八)/矢作俊彦
・還れぬ家(二十五)/佐伯一麦
・幸福の森(四十三)/加賀乙彦


編集長から

哲学の起源と文学のハードコア
◎柄谷行人氏の『世界史の構造』は、〈交換様式〉という視点を通じ、古代から現代までの社会構成体の歴史を捉えた画期的著作である。だが、氏の探求が止まることはない。新連載「哲学の起源」は明快かつ驚くべき認識から開始される。哲学は古代アテネ(プラトンやアリストテレス)ではなく、それに先行する古代イオニア諸都市の滅亡の危機から始まった――。氏による世界史の考察が眼前の社会のリアルな変革と直結していたように、哲学の誕生を巡る根源的な思考は、私達の911後・311後の生と直結するはずだ◎絲山秋子氏は「不愉快な本の続編」(百六十枚)で、物語の快楽と批評を未知の地平で統合してみせた。近年の絲山文学の充実は驚くほどだ。古川日出男氏「馬たちよ、それでも光は無垢で」(二百枚)は、東北六県を舞台にした代表作『聖家族』の外伝にして、311後の世界への強烈な叫びだ。現代文学のハードコアが、この二作にある。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞