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THE STORY OF A DAY いしいしんじ「ある一日」(170枚)

新潮 2011年9月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2011/08/06

発売日 2011/08/06
JANコード 4910049010914
定価 特別定価996円(税込)

THE STORY OF A DAY

2010/10/13
ある一日(170枚)/いしいしんじ
誕生という奇跡。出産という創世記。京都の産院から西マリアナ海嶺、南米の地下までを貫く、たった一日の壮大な物語。

1945/08/15
その日東京駅五時二十五分発(120枚)/西川美和
その日、焼け野原と化した日本を一本の汽車が疾走した。滅亡の後を生き抜く19歳の戦記。

1904/06/16
[新訳]ユリシーズ 第11章/ジェイムズ・ジョイス  柳瀬尚紀/訳・解説
鐘を鳴らせ! 「20世紀文学史上最も有名な一日」に人生の交響曲が鳴り渡る。超絶的新訳。

良い夜を持っている(120枚)/円城 塔
現実・夢・プログラムが境界を失う時、小説は驚くべき迷宮となる。想像力の真の最前線!

ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ/金井美恵子

温室で/ブライアン・エヴンソン  柴田元幸/訳

■連載小説
・爛(八)/瀬戸内寂聴
・フィルムノワール/黒色影片(二十)/矢作俊彦
・還れぬ家(二十七)/佐伯一麦
・幸福の森(四十五)/加賀乙彦


◆第44回《新潮新人賞》応募規定

哲学の起源[第三回]/柄谷行人

【討議】
いま始まる生存と創造/石川直樹+岡田利規+坂口恭平
3月11日直後に被災地入りした石川。九州移住を決めた岡田。「新政府」を立ち上げた坂口。震災後の現実をめぐる三者三様の思考と行動。

“フクシマ”、あるいは被災した時間/斎藤 環

創元社と「小林愛雄」/高橋英夫

世界同時文学を読む(二)/都甲幸治
もう一つの国際語――『グランタ』特集「スペイン語圏の若手作家ベスト」を読む

夜露死苦現代詩2.0 ヒップホップの詩人たち/都築響一
 第四回・だからタトゥーのように音に痛みを乗せる――田我流

批評時空間/佐々木 敦
 第九回・そこにはいないひとについて(ここにはいないひとについて)/佐々木 敦

正岡子規(九)/ドナルド・キーン  角地幸男/訳

アメリカスケッチ2.0 ウェブと文化の未来を考える/池田純一
 第十六回 パレード的コミュニケーションのポテンシャル

見えない音、聴こえない絵(八十九)/大竹伸朗

■新潮
・やっぱりふしぎな、キリスト教/橋爪大三郎
・鏡、迷宮、そしてヴェネツィアの夜/村上香住子
・出シュッパン記/豊田 剛

■本
・青木淳悟『私のいない高校』/大和田俊之
・ミゲル・シフーコ『イルストラード』/小山太一
・西村賢太『寒灯』/村田沙耶香
・松浦寿輝『不可能』/山城むつみ


編集長から

ある一日
THE STORY OF A DAY
◎人の誕生や死、大災害、社会的事件……それらはいずれも固有の日付を持つ。ある者にとっては平凡な一日でも、別の者にとっては生涯忘れることのない日かもしれない。〈一日〉の無限の豊かさを物語ること。それは、有限な生を有限な言葉で描く小説にとって、特別な課題ではないだろうか◎いしいしんじ「ある一日」(170枚)は一つの命が誕生した2010年10月13日を。西川美和「その日東京駅五時二十五分発」(120枚)は終戦日1945年8月15日を。そして柳瀬尚紀の新訳によるジョイス「ユリシーズ第11章」はダブリンの1904年6月16日を。〈一日〉を描いた三つの小説がほぼ同時に編集部に届いたとき、心底驚いた。文芸誌に起きたささやかな奇跡として読者と共有できることを喜んでいる◎円城塔「良い夜を持っている」(120枚)、石川直樹・岡田利規・坂口恭平の討議「いま始まる生存と創造」も掲載。充実した誌面となった。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

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