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丸谷才一[八年振りの長篇小説]「持ち重りする薔薇の花」(300枚)

新潮 2011年10月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2011/09/07

発売日 2011/09/07
JANコード 4910049011010
定価 特別定価996円(税込)

持ち重りする薔薇の花[長篇300枚]/丸谷才一
元・経団連会長が告白する、伝説の弦楽四重奏団(ストリング・クヮルテット)の秘められた過去とは? 芸術の〈聖〉と人間の〈俗〉が、胸躍らせる響きを放つ! 著者八年振りの長篇小説。

[新潮新人賞受賞第一作]お神さん/太田靖久
死後の労働と引き換えの基本所得が約束された世界で、人は誰を愛し、何を祈るのか?

うらん亭[新連作短篇]/黒川 創

■連載小説
・爛(九)/瀬戸内寂聴
・フィルムノワール/黒色影片(二十一)/矢作俊彦
・幸福の森(四十六)/加賀乙彦


■新潮
・「フェイル・セーフ」の抜け穴/外岡秀俊
・残像残香遺失物係/齋藤芽生
・ベネチアになったソウルからの小話/金 杭

◆第10回《小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞》発表

◆第43回《新潮新人賞》予選通過作品発表

◆第44回《新潮新人賞》応募規定

哲学の起源[第四回]/柄谷行人

■ 特別対談 ■
震災後の文学の言葉/古井由吉+平野啓一郎
戦災から66年ぶりに日本の広域を襲った「崩壊」は生に、表現に、何をもたらすのか?

■ 特別対談 ■
小説を産む/金原ひとみ+いしいしんじ
「マザーズ」の母として、「ある一日」の父として、命=物語に肉薄した作家二人の対話。

【新連載】“フクシマ”、あるいは被災した時間(一)/斎藤 環

ゴア・ヴィダル会見記/川本 直

震災と死者の詩学 小林秀雄からよしもとばななへ/若松英輔

小説記述の「歴史化」への試み/関川夏央 ――宮本輝『流転の海』第六部『慈雨の音』を読む

世界同時文学を読む(三)/都甲幸治
 曖昧な哀しみ――アレハンドロ・サンブラ『盆栽』『樹々の私生活』

夜露死苦現代詩2.0 ヒップホップの詩人たち/都築響一
 第五回・これは断片化された紙芝居みたいなあたしのひとり試合――RUMI

批評時空間/佐々木 敦
 第十回・記録について(その1)

正岡子規(十)/ドナルド・キーン  角地幸男/訳

アメリカスケッチ2.0 ウェブと文化の未来を考える/池田純一
 第十七回 ブルームバーグとソーシャルメディア

見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
 第九十回・夢の膜

■本
・大城立裕『普天間よ』/陣野俊史
・古川日出男『馬たちよ、それでも光は無垢で』/沼野充義
・金原ひとみ『マザーズ』/野崎 歓
・よしもとばなな『ジュージュー』/平松洋子
・町田 康『ゴランノスポン』/日和聡子

編集長から

丸谷才一氏、8年ぶりの長篇
「持ち重りする薔薇の花」
 音楽に心を震わされるとき、私たちは精神を癒され、励まされ、時に美を超えた崇高さや神秘さえも感じるだろう。だが、音楽家や音楽ビジネスが「崇高」だとは限らない。『輝く日の宮』以来、丸谷才一氏が実に8年ぶりに発表する長篇小説「持ち重りする薔薇の花」(300枚)では、なんと元・経団連会長が、伝説の弦楽四重奏団(ストリング・クヮルテット)の秘められた過去を告白する……。本作が真に「音楽的」なのは、一方で音楽の聖性を、他方で音楽家の生臭いまでの人間らしさを、両極において描き得たからだと思う。二重の意味での「NO MUSIC, NO LIFE」!? そう、この小説家は音楽と人間を心から愛しているのだ。「人間関係の面倒くささといふまことに無慙な、世俗的な俗悪きはまるものと、藝術といふ魔法みたいなエンジェリック……天使的なものとが一挙に衝突して効果をあげてゐる」。老経済人が弦楽四重奏の魅力を語った台詞は、そのまま本作に当てはまる。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞