ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:新潮 > 雑誌詳細:新潮 2012年5月号

古井由吉「窓の内」(新連作小説)

新潮 2012年5月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/04/07

発売日 2012/04/07
JANコード 4910049010525
定価 特別定価996円(税込)

窓の内/古井由吉
とっとと失せろ、と窓の内で首斬人(くびきりにん)が笑う。
人生の際に知らず作家が耽る死の瞑想。
[新連作小説]

ひらいて/綿矢りさ
存在するだけで私の胸を苦しくさせる人間がこの教室にいる。彼の眼差しが、私を静かに支配する――。真っ暗闇を疾走する愛の行方。
[長篇240枚]

癒しの豆スープ/よしもとばなな

愛について ちょうちんそで/江國香織

双頭の船(2)/池澤夏樹

笑う母/森内俊雄

■連載小説
・満月の道(五)/宮本 輝
・あたいたっちゃ(私たちは) 一つ事(おんなじに) ないもした(なり申した)[遊女考(七)]/村田喜代子
・フィルムノワール/黒色影片(二十八)/矢作俊彦
・還れぬ家(三十四)/佐伯一麦

■新潮
・岡上淑子の世界――コラージュとお裁縫/金井久美子
・もう一隻の「タイタニック」/與那覇 潤
・うつり行く希望/林 央子

◆第45回《新潮新人賞》応募規定【募集開始】

■■ 対談 ■■
現代にゆらめく壁画の炎/ヴェルナー・ヘルツォーク+石川直樹
先史時代の壁画から人類の未来へ。映画監督と写真家が語る「人間の条件」。

■■ 新連載 ■■
地上に星座をつくる 第一回・ウサギ狩り/石川直樹

吉田健一[第三回・100枚]/長谷川郁夫

マイナス1、プラス1/古谷利裕
福永信『星座から見た地球』と『あっぷあっぷ』のなかを「動いている」もの

■追悼 吉本隆明

・「自然史過程」について/中沢新一
・森が賑わう前に/加藤典洋
・疲労と憤怒/松浦寿輝
・ごわごわしたものの手触り/福嶋亮大

【連載完結】“フクシマ”、あるいは被災した時間(八)/斎藤 環
 ――創造的回復は可能か?

夜露死苦現代詩2.0 ヒップホップの詩人たち/都築響一
 第十一回・さっきまで楽しかった自分 まあ慣れてるそんな気分――ERA

【連載完結】批評時空間/佐々木 敦
 第十六回・終わりについて

アメリカスケッチ2.0 ウェブと文化の未来を考える/池田純一
 第二十三回・記憶に繋がる情報群の再編成

世界同時文学を読む(十)/都甲幸治
 美の力――メアリー・ゲイツキル『ヴェロニカ』

■本
・谷川俊太郎・多和田葉子ほか『それでも三月は、また』/マイケル・エメリック
・福永 信『こんにちは美術』/岡崎乾二郎
・津村記久子『とにかくうちに帰ります』/藤野可織
・いしいしんじ『ある一日』/湯浅 学

編集長から

古井由吉の言葉
綿矢りさの言葉
◎言葉は老いるのか? 『古井由吉自撰作品』(全八巻、河出書房新社)の刊行開始とほぼ同時に始まる古井氏の新連作第一回「窓の内」を読みながら、そんなことを考えた。作家の肉体は老いる。本もいつか朽ちる。だが、言葉は? 「窓の内」の語り手は老いているが、彼の意識や夢の中に在る自身の姿は、時に少年であり、時に壮年である。『自撰作品』に収められた最初期作を再読しつつ、そこに描かれた路地と七十四歳の最新作の路地、そこを過る生者と死者の気配が一つのもののように思える。小誌誌面に古井氏が刻んだ言葉は生まれたばかりだ◎では、言葉にとっての「若さ」とは? 綿矢りさ氏の長篇小説「ひらいて」(二四〇枚)で、高校生達が必死に闘っているのは「若さ」なのではないか。未だ体験していない事が瞬時に失われ、既に体験した事に変貌してしまう日々。それを書ききった綿矢氏も「若さ」と格闘し、文学のコアを確実に掴んでみせた。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞