ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:新潮 > 雑誌詳細:新潮 2013年2月号

黒川 創「暗殺者たち」(長篇280枚)

新潮 2013年2月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2013/01/07

発売日 2013/01/07
JANコード 4910049010235
定価 特別定価996円(税込)

暗殺者たち/黒川 創
演題は「ドストエフスキーと大逆事件」。ある日本人作家がロシア人学生に語る動乱とテロルのドラマは、“幻の夏目漱石原稿”を発端に、暗殺者たちの運命をスリリングに描き出す!
[280枚]

数えられない言葉/堀江敏幸

海と陸(おか)/橋本 治

あくび/神 慶太

死小説[第七章]/荒木経惟

マイケル――“IT CHOOSES YOU”より/ミランダ・ジュライ
 岸本佐知子/訳・解説

■連載小説
・波の上で死にまする[遊女考(十四・完結)]/村田喜代子
・ニッチを探して(八)/島田雅彦
・満月の道(十三)/宮本 輝

■新潮
・上林暁の詩的散文/坪内祐三
・唐さん中毒/寺門孝之
・日々のこと/神里雄大

◆第45回《新潮新人賞》応募規定

■ 新連載 ■
◆有限性の方へ 第一回・モンスターと穴ぼこ/加藤典洋
過失=責任の関節がはずれた無・責任の世界。文明論的視座で探究する3・11後の時代の姿。

■ 長篇評伝 ■
◆石井桃子と戦争/尾崎真理子
翼賛体制は児童文学界をも巻き込んだ。痛恨の国策協力を石井はいかに「贖罪」したのか?
[後篇130枚]

■ 対談 ■
◆せめぎあう母性・女・小説/高樹のぶ子+金原ひとみ
◆原子力の享楽に抵抗せよ/斎藤 環+國分功一郎

鏡花、水上、万太郎[其の二]/福田和也

吉田健一[第六回]/長谷川郁夫

地上に星座をつくる/石川直樹
 第九回・船で越えた国境

世界同時文学を読む/都甲幸治
 第十八回・死ねない男――ブライアン・エヴンソン『不動』

見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
 第一〇四回・ニューソウルな月夜

■本
・吉田修一『路(ルウ)』/池田雄一
・ミハイル・シーシキン『手紙』/江南亜美子
・奥泉 光『虫樹音楽集』/福永 信
・津村記久子『ウエストウイング』/古谷利裕

編集長から

黒川創「暗殺者たち」の
大きな眺め
 ある日本人作家が演壇に立っている。そこはロシアのサンクトペテルブルク大学。聴衆は同大日本学科の学生たち。やがて作家は演題「ドストエフスキーと大逆事件」を告げ、まず夏目漱石と安重根(伊藤博文の暗殺者)の知られざる関わりについて話しだす……。黒川創氏の長篇小説「暗殺者たち」(280枚)が私たちに示す時空間は、ロシアの教室から百年前のハルビンへ、東京へ、紀州へ、一行ごと一頁ごとに、ぐんぐんと広がっていく。小説家の語りに魅了された読者は、いつしか作品全体をレンズとして、とても大きな眺めを目にしていることに気づくだろう。国際化と国粋化が火花を散らし、国家の創出と破壊が同時多発的に生じた近代日本が立ち上がる姿。あるいは、動乱とテロルの時代を生き延び、あるいは殺害された者たちの苛烈な精神のドラマ。本作の「大きな眺め」を読者に贈りたい。二〇一三年の今、私たちは次の創出と破壊の時代を生きている。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞